見せしめと自力救済
今日はこの話題です。
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東京・台東区のメガネ販売店「めがねお~」が自身のホームページ上に「商品を万引きした犯人」として男性の画像を公開していることが話題になっています。
今月4日、商品棚からメガネのフレームがなくなっているのに気づいた店側が、防犯カメラの映像を調べたところ、男性が複数のフレームを男性がトレイに載せている様子とその後、棚からなくなった様子が写っていたことから公開に踏み切ったということです。
今のところ公開画像には、顔にモザイク処理を施しているのですけれども、店側は来月1日迄に返却や支払いに応じなかった場合はモザイクを外して公開するとしています。
店の社長は「彼に復讐したいとか、個人的に私刑にしたいとかじゃなくて、返してもらいたいだけ……本当は載っける気持ちない。それまでに出てきてくれれば」とコメントしています。
店の被害届を受理した警視庁は窃盗の疑いで調べを進めていますけれども、容疑者と断定されていない人物の画像を犯人として公開することの是非が議論を呼んでいるようです。
けれども、過去にもこれに類することはありました。
2014年8月、東京都中野区の古書店「まんだらけ」が、「鉄人28号」のブリキ製人形を万引きしたとして、防犯カメラに写っていた人物の画像を顔の部分が分からないように加工してホームページなどに掲載、「おもちゃを返さないと顔の画像を公開する」と警告したことがありました。
結局、警視庁の要請により顔写真の全面公開は中止となり、程なくして容疑者が逮捕されたのですけれども、今回のメガネのケースも同じと言えます。
「まんだらけ」のケースも当時は議論になったのですけれども、その賛否について、明確な結論は出ていなかったように記憶しています。
ただ、法的にどう判断されるかについては、読売がフィクションとして記事にしたことがあります。
その記事では、この例は、私人が私人に対して行う「見せしめ」、「責任追及」といった事案の延長線上にある出来事であり、「自力救済禁止の原則」に抵触する危険がある、としています。
自力救済とは、「何らかの権利を侵害された者が、司法手続きによらず実力をもって権利回復をはたすこと」であり、裁判やその他の公的手段が整備されている社会では不要であること。また「見せしめ」による権利の実現を認めると社会秩序や平和が保たれなくなるという理由で、日本では自力救済は禁止されています。
これはこれで真っ当な取り決めだとは思います。
記事では、警告文掲載や画像の公開には刑事上・民事上の様々な責任を問われる可能性があるとしています。
それでも、こうした映像公開による警告が行われるということは、店にとって万引き被害が無視できないものであり、警察抑止が十分ではなく、現状に不満を持っていることを意味していると思われます。
ただ、実際この「見せしめ」という手段は少なからず心理的抑止効果を持っていることも事実です。いわゆる「一罰百戒」ではないですけれども、"少ない労力で最大の効果"を期待する方法の一つといえます。
これを国家権力が行うとどうなるかというとフィリピンのドゥテルテ大統領のような対応になるわけです。
その是非は置いておくにしても、何らかの根本対策が打たれない限り、今後も似たようなことがまた起きるのではないかと思いますね。
この記事へのコメント
翠子