トランプの国境税調整は吉と出るか凶と出るか

 
今日はこの話題です。

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アメリカのトランプ政権が取り組んでいる抜本的な税制改革が注目を集めています。その目玉は法人税改革で、現在の35%から20%に引き下げるのですけれども、その上で導入が検討されている「国境税調整」が焦点となっています。

この国境税調整(Border Tax Adjustment)は、去年の6月に、下院の共和党が税制改革下院案を発表した際、税制改革案の構成要素の一つとして盛り込まれた概念で、輸入品には20%の国境税調整を課し、一方、米国内の企業が法人税を払うときは、国内利益だけに20%の法人税を課すというものです。

つまり、輸入品には20%の関税がかかり、米国企業が輸出して得た利益は無税になるという税制です。

これにより、向こう10年間で1兆ドルの増収になると試算されているようです。

アメリカは国内法人に対し、国内外で得たすべての所得に対して課税する「全世界所得課税方式」を採用しています。

これに対して殆どの外国は源泉地国課税(Territorial Tax System)と呼ばれる制度を採用しています。これは国内での利益には課税するけれども、企業が海外で儲けた分に関しては関知しないというものです。

要するに、アメリカ企業は国内販売は元より、輸出先で得た利益についても課税されているということです。

これに対し、アメリカ以外の国の大半は付加価値税(VAT:Value Added Tax)を適用しています。付加価値税とは、日本でいえば消費税に相当するものですね。これは、売買する度に課税されてしまう方式ですから、様々な材料を使って、多くの工程を得て完成する製品には、それまでの間に何度もチョコチョコと課税されてしまうのですね。

これでは、輸出の時に競争力が無くなってしまうので、特例として輸出品に限り付加価値税を還付する仕組みを設けています。

これに対してアメリカは、最終消費者に対してのみ掛ける「売上税」はありますが、全ての売買に対して掛ける「消費税」相当の税はありません。故に、他の国のように輸出品に対する付加価値税相当の還付はありません。其の分、相対的に競争力が落ちてしまう訳です。

2月16日、共和党のライアン下院議長は、記者会見で「日本製品は輸出時に免除される上、米国に入ると課税されない」とし、是正のためアメリカの法人税に、輸出課税を
免除して輸入課税を強化する「国境調整」を導入すべきだと述べています。

要するに、それぞれの国で異なる税制があり、それによってアメリカの輸出産業に不利になっている部分をイーブンにしたい、という要求なのですけれども、WTOから認めて貰っている付加価値税の還付とは違い、「国境調整」は関税障壁的なイメージが付き纏います。この辺りをWTOや世界に説明して納得して貰えるか。

打ち出す分には結構ですけれども、そうすんなりと行く話ではないように思いますね。

この記事へのコメント

  • 774

    これで中国共産党の力を削り取る予定なので、ゴリ押しするんじゃないでしょうか。
    2017年02月21日 02:31

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