カールビンソンの迷走は計算された作戦行動である
今日はこの話題です。
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北朝鮮による挑発行為への対抗措置として、シンガポールから朝鮮半島近海へ派遣したとされていた、アメリカの空母カール・ビンソンが、実際はインド洋での演習に向かっていたことが明らかになりました。
これは、アメリカ海軍が15日にインドネシアのジャワ島とスマトラ島の間にあるスンダ海峡を通過するカール・ビンソンを撮影した写真を公開したことで判明しました。
当初、アメリカ海軍は4月8日、ハリス太平洋軍司令官がカール・ビンソンにシンガポールから北上するよう命じたと発表。11日にスパイサー大統領報道官が朝鮮半島近海に向け「勢い良く進んでいる」と説明。更にトランプ大統領も同日「無敵艦隊を派遣した」と発言していました。
アメリカの政権高官は、国防総省とホワイトハウスの間に連絡ミスがあったとの見方を示しているそうで、ニューヨーク・タイムズは、ホワイトハウスが国防総省に困惑していると報じています。
けれども、軍事行動において、国防総省とホワイトハウスの間に連絡ミスがあるなどとは、およそ信じられません。そんなことがあれば文民統制が出来ていないことになります。ネットでも疑問の声が上がっているようですけれども、筆者もこれは、連絡ミスではなく、計画された作戦行動だと思いますね。
では、一体、何の作戦行動だったのか。
これは、筆者の妄想と想像に過ぎないのですけれども、中国がシーレーンを潰そうと画策したのではないかと思いますね。
現在、中東から石油を運ぶタンカーはマラッカ海峡かロンボク海峡を通過しています。
海峡については、2015年5月のエントリー「南シナ海を中国に獲られたらどんな危機が訪れるか」で取り上げたことがありますけれども、これらの海峡は水深が浅く、石油タンカーが通れるギリギリの水深しかないのですね。
例えば、これらの海峡で、中国が仕立てた、"便衣海賊船"が、中国海軍の手によって、偶然沈められたとしたら、それだけで、海峡封鎖できてしまいます。特にマラッカ海峡の一番狭いところでは、水深22.5m、通航帯幅が550mしかありませんから、ほんの数隻沈めてやるだけで、封鎖できてしまいます。
マラッカ海峡が封鎖されると、石油タンカーは大きく迂回しなければなりませんから、その分輸送コストが嵩み、日本経済に打撃を与えることが出来ますね。まぁ、これは証拠がありませんし、空想の域を出ないのですけれども、もしかしたら、そういうことを狙ったのではないのかとも思いますね。
中国は先の米中首脳会談でトランプ大統領に思いっきり面子を潰されましたからね。何処かで仕返ししてやろうか動機がないこともありません。
しかし、アメリカはカールビンソンを派遣して、事前に阻止した。或いは、朝鮮半島に向かったという"偽情報"を流して、中国がどう動くのかを監視していたのかもしれません。
本稿末尾にシーレーンの地図を載せましたけれども、カール・ビンソンが通過したスンダ海峡はマラッカ海峡、ロンボク海峡の中間地点にあり、どちらもカバーできるポジションです。
そのスンダ海峡をカール・ビンソンが通過する写真をアメリカ海軍が公開するということは、そのまま、シーレーン封鎖など許さないというメッセージになりますからね。中国への警告ではないかと思います。
半島に注目が集まる裏で、このような米中間の激しい牽制が行われている。仮定の話には過ぎませんけれども、実際にあり得る話だと頭の片隅に置いておいてもよいように思いますね。
この記事へのコメント
泥田の落武者
あ
悔しいのう~!
傍観者
やはり何らかの作戦と考えられます。
本当の目的はわかるのはかなり後と思います。
opera
北朝鮮情勢についてトークを展開したジャーナリストの山口敬之が「CNNの報道は誤報です。カール・ビンソンの位置情報については、アメリカ側から同盟国の日韓にも非常にゆっくり北上するという情報は4月の上旬段階にすでに入っています」などと話した。
http://kakaku.com/tv/channel=8/programID=54795/page=1816/
たまたまこの番組の動画(?)を見たのですが(どこにあるか、今もあるかは不明)、その目的は南シナ海近海の調査および中国軍に対する牽制と説明していました。朝鮮半島有事の際、南シナ海などで中国軍が動く可能性は以前から指摘されていましたから。
また、北朝鮮に対する攻撃に関しカール・ビンソンは囮で、現在横須賀港で定期点検整備中の(米軍最強空母)ロナルド・レーガンが整備を前倒し(四月下旬)して主力を担う、という話が以前からありました。
となると、来日中のペンス副大統領が19日、米海軍横須賀基地の原子力空母ロナルド・レーガン艦上で、米兵と海上自衛隊員約2600人を前に演説したことは、何を意味するか。
まぁ、今回米軍が中国・北朝鮮同時封じ込めを考えているという日比野さんの見立ては、大筋でその通りだと思います。