トランプの砲艦外交

 
昨日の続きです。

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4月1日、北朝鮮の国営放送・朝鮮中央通信は「3月15日から30日までの間に、グアム島に配備された核戦略爆撃機『B−1B』の編隊を5回にわたり延べ9機出撃させ、南朝鮮上空でわれわれの重要な対象物を不意に攻撃するための核爆弾投下訓練に狂奔した……特に3月28~30日には毎日、『B−1B』核戦略爆撃機編隊を南朝鮮上空に展開し、われわれに対する夜間の核先制攻撃の訓練まで行った」と伝えていたことが分かりました。

この報道について、韓国軍関係者は「『B−1B』が最近半月の間に5回出撃したのは事実」と報道内容を認めました。

B1-B、通称『ランサー』は、超低空侵攻による核/通常攻撃、通常の戦略爆撃、巡航ミサイルプラットホーム、などの任務をこなすため、地形追随レーダーや、赤外線監視装置、ドップラー・レーダー、ECMシステムなど、充実した電子機器を搭載しています。けれども、これは計画段階からロシアに対して核爆弾ないし核弾頭巡航ミサイルを投射する目的で開発された機体でした。

けれども、アメリカとロシアは2011年から、「新戦略兵器削減条約(新START)」と呼ばれる核軍縮に関する条約を結んでおり、「重爆撃機」「大陸間弾道ミサイル(ICBM)」「潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)」といった3種類の戦略核兵器投射手段について、その保有総数を合計800基機以内におさめる制限を受けています。

B1-Bについては、核兵器搭載能力を完全に削除することで、戦略核兵器投射手段の対象外とみなすとして、米ロ両国は合意しています。

従ってB1-Bは1994年に核攻撃任務から外され、現在配備されている機体はすべて核兵器の搭載能力を持っていません。しかし、B1-Bはバンカーバスターを搭載することはできますから、生半可な地下壕では吹き飛ばされてしまうでしょう。少なくとも、地上部分の核開発施設は確実に破壊できるものと思われます。

このことからB1-B派遣が、"非核の"爆撃ならいつでもできるぞ、とのメッセージを送ったことになります。

今週末の米中首脳会談が注目されていますけれども、先月19日、ティラーソン国務長官が、習近平国家主席と会談しています。メディアでは、北朝鮮問題についての協力で合意したものの、微妙な問題への言及は避けた、ということになったと報じていますけれども、青山繁晴参院議員によると、アメリカは既に、北朝鮮に対する攻撃準備を整えている、もし先制攻撃をした場合でも、介入しないで欲しいという旨を伝えたところ、中国側は拒絶し、介入すると回答したのだそうです。

けれども、それでも米中首脳会談が行われるということは、アメリカは諦めていない、というか全く退く姿勢を見せていません。なにせ米軍を半島周辺に張り付けておいてからの会談ですからね。なにやら、ありし日の砲艦外交を思い出させます。

実際、アメリカは着々と準備を進めています。

4月3日、アメリカ下院は本会議で、国務省に北朝鮮のテロ支援国家再指定を求める超党派の法案を可決しました。法案可決を受け、 下院外交委員会のロイス委員長「最近の金正男氏暗殺をみても、われわれが圧力を強めるときだ」とする声明を発表しています。

また、アメリカ海軍は4月1日に「ワスプ級強襲揚陸艦マキン・アイランドが中部司令部支援任務を終えて第7艦隊に復帰する」と発表しました。

「マキン・アイランド」はマキン・アイランド上陸準備戦隊の旗艦で、揚陸艦3隻と多数の航空機、ロサンゼルス級原子力潜水艦1隻を擁し、第11海兵遠征部隊が所属しています。

現在行っている、米韓軍事演習にはアメリカ第7艦隊の「ボノム・リシャール」を旗艦とする上陸準備戦隊があり、第31海兵遠征部隊2200人が所属しています。「マキン・アイランド」の第11海兵遠征部隊と合わせると合計4400人の海兵隊が集うことになります。

そのタイミングで、朝鮮戦争再開時の米韓軍事作戦「作戦計画5027」が、北朝鮮によるハッキングで流出していたと報じられています。

報道によると、ハッキングは昨年9月に発生し、12月に発覚したそうですけれども、それをこのタイミングで報じる辺りに、少し意図的なものを感じます。

もし、流出をアメリカ軍が知らなかった場合は「作戦計画がバレているから攻撃は諦めろ」という北朝鮮にとって都合のよい牽制になります。しかし、アメリカ軍が全てを知った上で、ワザと今報じさせたとするならば、これは「代わりの作戦計画など用意してある、ハッキングなどしても無駄だ」という北朝鮮へのプレッシャーとなります。

本当のところはどちらなのか分かりませんけれども、トランプ大統領は、軍を半島周辺に張り付け、日本と、英仏の協力も取り付けた上で、中国と会談する。口先だけではないという姿勢を見せての会談ですからね。それでも、習主席が、北を空爆するなら介入すると返事をしたらどうするのか。

注目の会談になりそうですね。

この記事へのコメント

  • sdi

    「作戦計画5027」なんて、北朝鮮に漏れたところで米軍は痛くも痒くもないでしょう。過去に日本の希少な軍事専門誌(何の雑誌か判ってしまうな)も記事にしたことがあったと記憶しています。なにしろ1990年代、既に存在していましたからね。
    今の米軍は装備もドクトリンも組織も当時と全く様変わりしています。「作戦計画5027」を今の米軍仕様に手直しするよゆり、新しい作戦計画を立てるほうがはるかにマシでしょう。むしろバケツに空いた穴を探すために古い情報を「故意」に漏らした可能性のほうを私は採りますね。
    2017年04月05日 01:57

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