長い時間話し合ったが、今のところ何も得られていない。まったく何も。

 
昨日の続きです。

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4月6日、7日の両日に渡り、米中首脳会談が行われました。

両首脳は、北朝鮮の核開発阻止に向けた協力を強化することで合意したとなっていますけれども、首脳会談後の共同会見も共同声明もありませんでした。これは事実上、合意できたものは何もなかったということです。

唯一、ティラーソン国務長官が会見で、「習主席が『北朝鮮の核開発の進展が深刻な段階に達した』とするトランプ大統領の見解を共有した。両首脳が北朝鮮の核開発阻止に向け協力を強化することで合意した」と発表しましたけれども、何をどうするといった具体的な言及はなく、今後の状況によってはアメリカが独自の対応に乗り出せると示唆するに止まりました。

8日、中国外務省の王毅外相が米中首脳会談後、記者団に語った会談内容をサイトで公表し、台湾、チベット問題で、3つの米中共同声明と「一つの中国」政策に基づいて適切に処理するようアメリカ側に求めたことを明らかにしました。

三つの共同声明とは、1972年の上海コミュニケ、1978年の外交関係樹立に関する共同コミュニケ、1982年の八・一七コミュニケのことですけれども、要はアメリカとの国交回復と一つの中国に関するものです。

ここで中国が態々、米中共同声明に加えて「一つの中国」政策と付け加えていますけれども、これは、「一つの中国」の解釈を巡ってアメリカと中国の認識がそれぞれ違っているからです。

これについて産経新聞が「一つの中国」に関する米中の立場として、次のように伝えています。
中国の「一つの中国」の「原則」は、台湾当局が名乗る「中華民国」を念頭に
(1)(世界に)中国は一つしかない
(2)中華人民共和国政府は中国の唯一の合法政府
(3)台湾は中国の領土の不可分の一部分-とする3要素からなる。

一方、米国の「政策」は1972年、78年、82年の3つの米中共同声明と、台湾との非公式関係や武器供与を定めた79年の国内法「台湾関係法」に基づく。

共同声明で米国は、中華人民共和国政府を「承認」する一方、「中国は一つであり、台湾は中国の一部」の2点は、中国側の「立場を認識する」にとどめている。

と、台湾について、中国が完全に中国の一部だとしているに対して、アメリカは中国の立場は認識している、に留めているのですね。

今年2月にトランプ大統領は習主席と電話会談をしていますけれども、その時、習主席は中国の立場である「一つの中国」の原則を順守するよう求めていたのですけれども、今回の米中首脳会談では、「一つの中国」政策と、アメリカの認識に近い要求に引き下げた訳です。

しかし、この要求にアメリカがどう反応をしたかは伝えられていません。

会談に関する中国側は「米中関係を良くする理由は千もあるが、悪くする理由は一つもない」といった習主席の対米重視発言を強調し、具体的成果として、米中の対話枠組み拡大や、貿易不均衡の早期解消の取り組みを盛り込んでいます。

中国国内では、アメリカ製自動車、農産物の輸入拡大が訪米の「手土産」として伝えられたようですけれども、中国が期待した「一帯一路」経済構想やインフラ投資へのアメリカの参加では成果が無かったようです。

会談後、トランプ大統領は「長い時間話し合ったが、今のところ何も得られていない。まったく何も。しかし、われわれは長期的にみれば友好関係を構築できるだろう」とコメントしているところを見ると、少なくともアメリカが期待する成果は何もなかったと思われます。

今回、トランプ大統領は、米中首脳会談中にシリア攻撃を行いましたけれども、アメリカのメディアによると、トランプ大統領は夕食会の間、国家安全保障会議高官から攻撃の進展状況を聞くなど、「重大行動」に取り組む自らの姿を習主席に誇示するように振る舞ったそうです。あからさまな砲艦外交を見せつけた訳です。習主席一行は食事が終わるや、すごすごと宿舎のホテルに引き返したそうですから、その効き目は十分だったということですね。

今回の米中首脳会談では大した成果もなく、特に北朝鮮問題では平行線に終わったようですけれども、昨日のエントリーで述べたように、北朝鮮に関しては5月9日までと期限が切られていると筆者は見ています。

中国が如何なる回答をしてくるのか。半島情勢は緊迫の度を増しています。

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