今日はこの話題です


5月9日深夜、韓国大統領選を圧倒的リードで制した文在寅氏はソウル中心部・光化門の広場で自らの勝利宣言を行いました。
中央選挙管理委員会によると文氏の得票数は1342万3762票で、得票率は41.08%。投票率は77%で、文氏の圧勝です。
光化門の広場には、文氏の支持者らが集まり、文氏は大きく手を振って支持者らと握手。文氏は「正義感あふれる国、統合の国、原則と常識が通じる国らしい国をつくるため、共に行動してくれた偉大な国民の偉大な勝利……明日から私は、国民みんなの大統領になる……私を支持していなかった人のためにも働く、統合大統領になる」と述べました。
今回の選挙は朴前大統領の罷免に伴うという事情から、文氏は通常置かれる二ヶ月程度の準備期間なしに即日大統領に就任するという異例の対応となりました。
まぁ、当選直後の勝利宣言ですから、非常に口当たりのよい演説なのですけれども、よくよく見てみると結構際どい発言もしています。例えば常識が通じる国ですけれども、これは今現在、常識が通用しない、と認識しているということです。これは下手をすれば、前政権の否定という行動に繋がりかねません。
無論、選挙で選ばれた大統領ですから、国内はいくらでも前政権を否定するなり、粛清するなり出来るでしょうけれども、外交はそうはいきません。いくら前政権を否定しても、一旦結ばれた他国との合意事項をちゃぶ台返しすることは許されません。
産経新聞ソウル駐在客員論説委員の黒田勝弘氏によると、文在寅氏は愛想は良いけど、リーダーシップやカリスマ性があるわけではないと指摘しています。
リーダーシップやカリスマ性がない人が国家運営を行う場合、周りの協力が必要不可欠になります。どれだけ、与党が文在寅氏を支えられるかが重要になるということです。
文在寅氏はこれから人事に着手する訳ですけれども、副大統領格の首相の任命には国会の同意が必要となります。ところが、今度与党となる「共に民主党」は、国会定数300の約4割に当たる119議席しかなく過半数を持っていません。よって、首相を任命するにも、他政党の協力が必要になります。
しかし、ここでトップがリーダーシップやカリスマ性がないとなると、協力を得るために、他党と安易な妥協をする可能性も出てきます。
これについて、先の黒田勝弘氏は、「今回2位になっている保守派の勢力が危機感を感じて結集しているので、抵抗も非常にあるでしょうし、政局運営はなかなか難しいと思います」とコメントしています。
既に文在寅氏は首相候補に李洛淵・全羅南道知事を指名しました。李氏は知日派として知られ、日韓関係も関わる人達にとってはサプライズ人事だったようです。
ただ、これとて、悪化すると予想された日韓関係に、パイプを持った人がやってくるというだけで、そのパイプに何が流されるのかは別の話です。既に日韓合意で、流すものを取り決めている以上、その通りにできなければ、どんなパイプがあろうと無意味です。
知日派を重職に置いたからOKではなく、現実に何をやったのかに注目すべきだと思いますね。
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