特別報告者の主張は国連の総意ではない
今日はこの話題です。
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5月26日、安倍総理はイタリア・タオルミナでのG7首脳会議で、テロに関する議論の中で、日本政府が「共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法改正案の今国会成立を目指していることに関連し「テロの資金源である組織犯罪対策の強化が必要であり、国際組織犯罪防止条約の締結のためのわが国の取り組みに対するこれまでの各国の支持に感謝したい」と謝意を述べました。
これは、4月のG7外相会合の共同コミュニケの「テロ・暴力的過激主義対策」の項で「我々は、UNTOCの締約国となるために日本が現在行っている努力を歓迎する」と記載されたことに対する謝意になります。
UNTOCとは正式には「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約」のことで、組織的な犯罪集団への参加・共謀やマネー・ロンダリング・司法妨害・公務員による汚職等の処罰、およびそれらへの対処措置などについて定める国際条約のことで、この条約以外にも「人身取引」に関する議定書、「密入国」に関する議定書 、「銃器」に関する議定書の、三議定書があります。2016年10月現在での署名国は147、締約国は187ヶ国。
日本は、この条約について、2000年12月に署名、2003年に国会承認をしたものの、まだ批准には至っていません。
なぜ、いまだ批准できないでいるかというと、条約で定められている、組織的な犯罪集団への参加・共謀やマネー・ロンダリング・司法妨害等についてきちんと処罰できる体制を整えなくてはならないからです。
政府は現行法での運用に十分ではなく、新たな罪状を新設しなければ条約を批准することができないとしています。先日衆院を通過した共謀罪はこの条約を批准するための法整備の一環だという訳です。
4月のG7外相会合の共同コミュニケに記され合意したことを、G7首脳サミットで態々謝意を述べなければならないということは、それだけ"世界の後押し"が欲しいということなのかもしれません。
というのも、安倍総理は27日に国連のグテレス事務総長と会談し、日本政府が国際組織犯罪防止条約締結に向け「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案の今国会成立を目指していることを説明しているのですね。
改正案については、国連特別報告者のケナタッチ氏なる人物が批判していたのですけれども、菅官房長官は「国連の国際組織犯罪防止条約締結のための法整備だ……特別報告者は、個人の資格で調査報告を行う。国連の立場を反映するものではない」と反論していました。
それに対して、ケナタッチ氏は再反論するなど、ちょっとしたバトルになっていたのですけれども、今回の安倍総理とグテレス国連事務総長との会談で、そのグテレス事務総長が「特別報告者は国連とは別の個人の資格で活動しており、その主張は必ずしも国連の総意を反映するものではない」と述べています。これで、はっきりと勝負あったということなのですけれども、ここまできっちりと潰して置くのは大事なことですね。
ケナタッチ氏の反論について、菅官房長官は「何か背景があるのではないか」と意味深なコメントをしていますけれども、政府を代表する官房長官の立場でここまでいうという事は、それなりの証拠を掴んでいる可能性が高いと思いますね。
また、この会談で、安倍総理は、慰安婦に関する日韓合意についても日韓双方が履行することの重要性を強調し、グテレス事務総長は、日韓合意に「賛意」と「歓迎」を表明したそうですから、こちらも抑えに掛かっているということです。
先日、韓国紙の東亜日報が日韓合意に関して、自民党の石破茂前地方創生担当相「納得を得るまで、謝罪するしかない」と述べたとするインタビュー記事を掲載して、ネット界隈で話題になっていましたけれども、これについて、産経新聞が石破氏に取材したところ、「『謝罪』という言葉は一切使っていない。『お互いが納得するまで努力を続けるべきだ』と話した」と記事の内容を否定しています。
このように韓国は、意図してかどうかは分かりませんけれども「ミスリード」が多いので油断がなりません。面倒でも都度きっちりと反論しておく必要があると思いますね。
この記事へのコメント
sdi
そしてそういうところを(官僚組織としての)国連が美味く操ってきた。都合がよいときは、特別報告者のレポートを「国連」の総意のように扱い、都合が悪いと今回のように切り捨てる、そんなところでしょう。
梯子をはずされたケナタッチ氏にしてみれば「話がちがうじゃないか」と言いたいのかもしれませんが。