中朝の溝と接近するロシア

 
今日はこの話題です。

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5月3日、朝鮮中央通信は、論評で「朝中関係悪化の責任をわれわれに転嫁して米国に同調する卑劣な行為について弁明している……朝中関係の根本を否定し親善の伝統を抹殺する容認できない妄動だ」と強く批判し、1992年の中韓国交正常化や2015年に韓国の朴槿恵前大統領が北京での抗日戦争勝利70年記念式典に参加したことを取り上げ、中国の「信義のない背信的な行動」だとしました。

中国の専門家によると「北朝鮮が中国を公に非難したのは、過去の文化大革命の時さえなかった初めてのことだ。中朝の緊張は最大限に高まっている」と異例であるとコメントし、5月4日、武大偉朝鮮半島問題特別代表は訪中した自民党の高村正彦副総裁らに「北朝鮮は名指しして中国を批判している。中国は北朝鮮に強い姿勢を取っている」と不満を漏らしていたそうです。

一方、中国側は外務省の耿爽・副報道局長が4日の記者会見で「中国は客観的で公正な立場を堅持し、事案の是非により問題を判断し、処理してきた」と反論、同じく4日、環球時報が論評で北朝鮮について「非理性的な思考に陥っており、中国は論戦に付き合う必要はない……レッドラインがどこにあり、新たな核実験をした場合は前例のない厳しい対応を取るということを分からせるべきだ」と、切り捨てています。

中朝間の間の溝は相当深まっているようです。

既に中国は北朝鮮からの石炭輸入を1年停止するなどの処置をしていますけれども、核開発停止向けての目立った動きはありません。

尤もジャーナリストの山口敬之氏によると、石炭禁輸前に中国は既に1年分の石炭を購入済みだそうで、これが本当であれば、制裁は全く名ばかりのものだということになります。

この処置が、北京からの指示なのか、或いは、北部軍区(旧瀋陽軍区)の独断なのかは分かりませんけれども、もしも後者であれば、北京が北部軍区を掌握できておらず、事実上制裁は不可能になっている可能性が高くなります。

筆者はこれまで、北朝鮮を制裁するには、石油供給を止めるのが一番だと述べてきましたけれども、北部軍区が北朝鮮の味方になっているとするならば、実際に石油供給を止めるのは難しいかもしれませんね。

更に、北朝鮮にロシアも接近を始めています。

4月30日、北朝鮮の韓成烈外務次官は駐朝ロシア大使と会談し「アメリカの核戦争の脅威から国の自主権と生存権、朝鮮半島の平和を守るため、核抑止力を強化する措置を引き続き講じていく」と述べ、核開発を継続する方針を示唆し、ロシア大使も北朝鮮の立場に理解を示し、「情勢が一日も早く緩和されることを望む」と述べ、さまざまな分野で協力を強化する考えで一致したようです。

北朝鮮を巡って、周辺国のパワーバランスに変化が起きる可能性も出てきました。まだまだ有事を想定した対応が必要だと思いますね。

この記事へのコメント

  • 泥田の落武者

    ただ、ロシアも万景峰号の就航を延期しましたね。対米関係の改善のカードにしたいだけなのでは???
    2017年05月05日 13:24

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