マクロンの前途は開かれているか

 
今日はこの話題です。

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5月7日行われたフランス大統領選で、中道系独立候補エマニュエル・マクロン元経済産業デジタル相が極右国民戦線のマリーヌ・ルペン候補を破り勝利しました。

マクロン氏は39歳とフランス史上最年少の大統領となり、また大政党に属さない大統領誕生も1958年以降の第5共和制では初めてと初物尽くしです。

投資銀行出身のマクロン氏は2014年にオランド政権で閣僚となり、日曜労働の規制緩和などを盛った法律(通称マクロン法)成立を牽引。16年には自身の政党「アン・マルシュ(前進)」を立ち上げ、今回の大統領選挙に出馬しました。

得票率はマクロン氏が66%、ルペン氏が34%ですから、表向きはダブルスコア近い大差での勝利です。

けれども、その中身を見る限り、諸手を上げて喜べるものではありません。

フランスは伝統的に、自国の民主主義に熱心な国で、投票率が高く、大統領選ともなれば80%を超えるのが当たり前のお国柄なのですけれども、世論調査会社イプソスが予測した今回の投票率は74%で、1969年以来最も低い値となりました。しかも無効票が10%を超えています。

更に、マクロン氏に投票した有権者の43%は、ルペンの大統領選出を阻止するためだけに投票したとのことで、いわゆる消極的支持が半分近くを占めているのですね。

マクロン氏もそのことは承知していて、勝利演説でも「実際に我々の考え方を信じていなくても票を託してくれたすべての国民に、それが正しい選択だったと確信させてみせる」と啖呵を切っています。尤も、具体的にどうするかは明示せず「フランスを守るためにやらなければならないことをすべてやる」と誓うだけでした。

見事、大統領の座を射止めたマクロン氏ですけれども、大変なのはこれからです。6月11日と18日に国民議会(下院)選挙が行われるからです。

フランスの政治体制は「半大統領制」とも言われ、「議院内閣制」と「大統領制」を組み合わせた政治体制です。

大統領は首相や閣僚の任命権や下院である国民議会の解散権、非常時における緊急措置の発動権などを持つ一方、大統領によって任命される首相や閣僚は議会に出席し、議会に対して責任を負います。つまり、首相や閣僚で作られる内閣は下院の信任を得ていなければなりません。

フランスの国会は下院(国民議会)と上院(元老院)の二つから構成され、下院のほうが権限は強くなっています。

下院の定数は577名で任期5年、解散があり国民による直接選挙で選出されます。一方、上院は定数321名、任期9年で3年毎に3分の1ずつ改選され、地方議会議員などによる選挙人団によって選出されます。

従って下院から信任される首相を任命しようにも、まず下院の議席で多数派を取っていなければ頗る困難になります。

しかしマクロン氏率いる政党「アン・マルシュ(前進)」の現有議席はゼロ。この状態で、6月の選挙を行っても「アン・マルシュ(前進)」が下院で過半数の議席が取れるとは思えません。

それは、マクロン氏も認めていて、先の勝利演説の中で「真の多数派、強い多数派、変革のための多数派」を築くいうのが精一杯でした。

畢竟、下院では連立政権を作る公算が高く、議会運営に頭を悩ませることになるのではないかと思われます。

フランス史上最年少の大統領のマクロン氏がこれからどうフランスを舵取りしていくのか。注目です。

この記事へのコメント

  • 傍観者

    今回のフランス大統領選挙はルペン氏は大勝利だったと思います。
    結構マスコミ様々の政治勢力から叩かれても善戦しました。
    コアな支持者を確認し,また新たに獲得しました。
    もう17%得票率を上げれば当選で,これは十分可能と考えます。
    マクロン氏は前途多難です。
    結局議会の多数党の傀儡状態になると思います。
    経済政策うまく行けば良いが,今の延長線上ではねえ。
    次回はルペン氏の目が出てきたと思います。
    2017年05月09日 11:25
  • 白なまず

    >日曜労働の規制緩和
    マクロン氏の政策は流石にグローバリストですね。キリスト教徒の事を無視して、働かせて、土曜日とか金曜日は現状でも労働可能でしょうから、イスラム教徒、ユダヤ教徒と同じ状況にするつもりなんですね。でも、どんなにサヨクな思考でも現状を良くするために経済と難民問題をなんとかしないと駄目なので、結局保守的で右翼的な政策を実行できないと短命に終わるとおもいます。現在のフランスで誰が大統領になろうと同じで、経済力でドイツを抜けないとフランスの雇用は維持できない。
    2017年05月09日 12:59

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