昨日の続きです。
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「ロシアンルーレットで異世界へ行ったら頭脳派の魔法使いになっていた件」連載中!
加計学園の獣医学部の新設をめぐり、「官邸の最高レベルが言っている」などと記された文書について、文部科学省は、改めて文書が存在するのかどうか、追加の調査を行う方針を固めました。
これについて萩生田官房副長官は記者会見で「資料の存在の確認をするというのがまず調査の内容になるんだろうと思います。で、例えばですね、その資料が実在したとしても、例えば最初に出た8枚の紙の中に私のコメントとか書いてありました。私記者会見でも公の議会の場でも『私の発言とは異なる』と申し上げてるわけですから、その紙自体が正しいかどうかっていうのはその次の話だと思いますよ」と述べ、文書の存在とその中身の信憑性は別であると指摘しています。
この文書の中身の信頼性について、嘉悦大学の高橋洋一氏は「文科省が、特区で内閣府・特区有識者委員と交渉してきたのは、課長レベルである。交渉に負けたとき、負けた者は組織の幹部に報告するとき、いい加減なことをいう。筆者からみれば、それが『総理の意向』である」と述べています。
つまり、文科省の担当官僚が負けた言い訳に「総理の意向」を使ったというのですね。
では、何に負けたのかというと、高橋氏は国家戦略特区ワーキンググループを取りあげ、2015年6月8日と2016年9月16日の議事録を読めば、規制緩和推進派が完勝していると分かると指摘しています。
筆者もその議事録を読んでみましたけれど、確かに規制緩和推進派が圧倒的な勝利を納めています。双方のやりとりを無理やり単純化すると次の通りでした。
文部科学省「獣医は足りている。獣医系大学の新設は需要の動向を見ながら、全国的見地から検討すべき。新設は出来ない」とまぁ、こんな感じです。文科省は完全に負けてます。規制緩和派と文部科学省の議論は、戦略の階層が違っていますね。要するに文科省は「世界観」で負けてしまっていますから、就職先がどうのといった低い戦略の階層でいくら頑張って反論しても駄目なのですね。獣医が増えても国民は困らない、という規制緩和派の高い戦略の階層に基づいた主張には敵わないということです。
規制緩和派「バイオテロや危機管理発生時の越境国際感染症だとか、さまざまなリスクに対応するために獣医師の増加は必要ではないのか」
農林水産省「現状で対応できている。これからもしっかり対応していきたい」
規制緩和派「新興感染症だとか、バイオテロだとかという危険が非常に高まっている中、供給の拡大が望ましいのではないか。獣医師、あるいは獣医学部の学生の定員が決められている中で、あらゆることに対応しなくてはいけない。量的な確保がなされているのか」
文部科学省「量的な問題は獣医師の需給見通しを含めて検討すべきだ。農林水産省からの需要の見通しに基づいて検討することになる」
農林水産省「現状で対応できている」
規制緩和派「文科省は大学新設の基準は何をもとにしているのか。就職口まで新設大学の認可基準に入っているのか」
文部科学省「新設を規制している分野は、歯科医師と獣医師と船舶職員だ。医学部もしているが就職口は基準ではない」
規制緩和派「就職口が問題ではないなら、何が問題で規制しているのか」
文部科学省「需要に基づいて規制をしている」
規制緩和派「需要があるかどうかは役所が決めることではなくて市場に任せればよい問題だ。それを敢えて、歯科医師と獣医師と船舶職員の三分野で規制している理由は何か」
文部科学省「国民の生命、身体の安全という大きな問題にかかわる職種であるからだ」
規制緩和派「国民の安全を守るためだったら、供給は多ければ多いほど良い筈だ。そうした方が競争を通じて質も高まる。質の問題はどう考えているのか」
農林水産省「国家試験によって質は確保できている。量的なコントロールはしていない」
規制緩和派「国家試験では規制していない現状で、何故、大学の方で調整しなければならないのか」
文部科学省「質の確保の観点から望ましくない」
規制緩和派「質は農林水産省が国家試験によって確保できると言っている。無制限に獣医師が増えても国民は何も困らない」
文部科学省「獣医資格をとっても就職できないという問題も考慮しないといけない」
規制緩和派「それは、就職試験に失敗する学生がいるのと同じ話であって、文科省が心配することではない」
まぁ、かくいう筆者も、これを読むまで、需給をきちんと考えて議論せねば、と思っていました。その意味ではまんまと文科省のロジックにやられてしまっていた訳です。
筆者も、ここは規制緩和派がいうとおり、獣医はいくらいても困らない、市場原理に任せれば済む話である、に考えを改めます。
ということで、この議事録を読んだ後では、高橋洋一氏のいう「総理の意向文書は、議論に負けた文科省官僚の言い訳だ」論が説得力を持ってきますね。
ここは、萩生田官房副長官のいうとおり、その問題の文書のあるなしだけで終わらせずに、その中身の信憑性について調査・議論すべきだと思いますね。
この記事へのコメント
kazusa
面白いですね、就職口が規制の根拠ではないと言ったその口で窮すれば就職ガーですからね。
結局文科省は国民を見ず、競争が起きれば困る人たちを忖度して52年間も岩盤規制を強いていたわけですね、訳の分からない怪文書をもとに安倍政権を追及するよりも誰もが確認できる公の資料を基に文科省と獣医師会、獣医師会と関係ある議員の関係を追及するべきだと思います。