綱渡りの文在寅大統領

 
今日は感想エントリーです。

画像

 ブログランキングに参加しています。応援クリックお願いします。
画像「ロシアンルーレットで異世界へ行ったら頭脳派の魔法使いになっていた件」連載中!

韓国大統領府は、文大統領が今月29日と30日に、ホワイトハウスを訪れ、トランプ大統領と会談すると発表しました。

会談では、北朝鮮の核・ミサイル問題への対応などで連携を確認するものとみられていますけれども、環境影響評価を指示したTHAAD配備についてアメリカからきつく言われるものと思われます。

これについて、文大統領は会談では環境影響評価を加速することで予定通り配備する云々とヘタれるのではないかと思いますね。

なぜなら、日本との慰安婦合意については、公式にはヘタれているからです

6月13日、韓国の青瓦台は、女性家族部長官候補に鄭鉉柏・成均館大教授が指名されたと発表し、起用した理由の一つとして、「慰安婦合意の再交渉など喫緊の課題も解決できると期待している」と述べました。ところが、その50分後、「合意の再交渉」の部分を削除して訂正発表したのですね。

これは、再交渉という外交的な用語として公式に発表する場合、対日関係に少なからぬ影響を与えかねないと判断したのだろうとされていますけれども、対外的に不味いとなれば、即座に引っ込めた訳です。

おそらくTHAADについても、アメリカの様子を見つつ、配備延期は引っ込めるのではないかと予想します。

筆者の見るところ、どうも文大統領は、国家間合意或いは世界基準というものを軽く見ている節が感じられます。

慰安婦合意にしても「破棄」とも「再交渉」とも言わず「合意を韓国国民が受け入れられていない現実がある」と主張し、日本側が譲歩するように迫っています。韓国政府としての責任も義務も負わず、国民になすりつけているということです。

言葉を変えれば、「韓国国民の国民感情こそが全てであり、世界はそれに合わせるべきだ」というスタンスのように見えるんですね。

ゆえに、国際基準に沿って国家間合意を履行せよと迫っても、韓国の国民感情がその上にありますから、聞く気はないのではないかと思いますね。けれども、それを正直に外に出してしまうと色々差しさわりがあるので、表面的には、履行する意思を捨ててはいないように演技する。むにゃむにゃと履行する気はあるが、もう少し待ってくれ、と時間稼ぎを延々と続ける。そんな気がしますね。

では、そのひたすら"内向き"な文大統領の内政はというと、まだ閣僚指名も満足に出来ていません。

公正取引委員長候補として指名した金尚祚氏については、公正取引委員長として相応しいのかとの疑念を持たれており、これまで与野党で3度も話あったにも関わらず、合意できませんでした。

また、外交部長官候補の康京和氏についても、家族が過去、希望する学校に赴任や入学するため、実際の居住地とは別の場所に住所を移す「偽装転入」をしていたことが発覚するなどがあり、こちらも合意は取れていません。

韓国の国会は人事聴聞会法に基づき、人事聴聞会の開催を求める要請書が提出された日から20日以内に各候補の審査手続きを終えなければならないのですけれども、報告書が採択されない場合、大統領は10日以内の範囲で送付期日を定め、報告書の送付を再度要請し、再要請の期間にも採択されなければ大統領は首相などを除き、任命を強行することができるとなっていますから、大統領権限で、彼らを強行任命することは可能です。

実際、6月13日に文大統領は、公正取引委員長に金尚祚氏を任命しています。同様に、康京和氏についても強行任命する可能性はあるのですけれども、7日の国会人事聴聞会で、野党議員から「THAADがなければ、北朝鮮のミサイル攻撃に対する備えはどうするのか」と質問されると、全く答えられず、完全に黙り込んでしまいました。外相としての能力があるのかという批判の声もあるようです。

文大統領が、なぜそんな人物を指名するのか分かりませんけれども、それでも強行任命できるのは、ひとえに国民の支持があるからです。たしか9割近くあったかと思いますけれども、今のところ国民の支持を唯一の支えとして縋る他ありません。

先に強行任命した金尚祚氏についても、任命時に「国民の目線では、すでに検証に合格した」と発表しているんですね。それだけ国民の支持に頼っているということです。まぁポピュリズムといえばそうかもしれません。或は、以前のエントリーで取り上げたように、ポピュリズムを背景にした「下からのファシズム」の兆候なのかもしれませんけれども、これはもう少し様子を見なければ分かりません。

ただ、これほど文政権が支持率頼みなのであれば、支持率が落ちれば、全てが一気に瓦解することになります。

文大統領は高い支持率がある内に政権基盤を固めなければなりません。その時間がどれくらい残されているのか分かりませんけれども、既に綱渡りが始っているのかもしれませんね。

この記事へのコメント


この記事へのトラックバック