イージス・アショアとMIMO
今日はこの話題です。
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8月17日、防衛省は、弾道ミサイルからの防衛能力を強化するため、陸上設置型の迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の導入を決め、必要経費を2018年度予算の概算要求に盛り込む方針を固めました。
それに伴い、小野寺防衛相は、アメリカのマティス国防長官に対し「イージス・アショア」を導入する方針を伝え、マティス国防長官は「しっかり協力する」との回答を貰ったということです。
小野寺防衛相によると「米側との協力を要請したいということの中で、先方からの歓迎する意向が示されたと思っている」とのことなので、導入に際してのアメリカ側の支障はないと思われます。
「イージス・アショア」とは平たくいえば、イージス艦のミサイル迎撃システムをそのまま地上配備するものです。具体的には、SPY-1レーダー、C4Iシステム、VLS(Vertical Launching System:Mk41ミサイル垂直発射システム)など、アーレイ・バーク級イージス艦の設備がそのまま陸上でも使用されることになります。
「イージス・アショア」の迎撃能力については、2015年にハワイで米空軍による迎撃実験が行われており、SM-3ブロック1Bによって準中距離弾道ミサイルの破壊に成功しています。
「イージス・アショア」の最大のメリットは、イージスシステムの地上配備そのものにあります。従来のイージス艦だと、修理・補給の為、定期的に帰港する必要があり、常時海上展開が出来ないのですけれども、地上配備だとその心配はありません。
また、イージスのSM-3は射程が長く、現行のブロック1Aが1200km、ブロック2Aとなると2000kmに及びます。つまり少数の配備で日本全体をカバーできることになるのですね。
更にいえば、従来のイージス艦とデータリンクできれば、イージス艦をSM-3発射ではなく、レーダー代わりに使うことによって、より早期迎撃が可能になる利点も考えられます
あえて問題があるとすれば、「イージス・アショア」を何処に配備するかということです。辺鄙なところにおいて、日本列島をカバーできなければ本末転送ですからね。
日本政府は、早ければ来年中には日本海沿岸を中心に配備先を選び、4~5年以内の配備を目指すとしています。速やかな配備を希望します。
また、防衛省の28年度の概算要求では、国産の次期警戒管制レーダー「MIMO」の試作費約196億円も計上するようです。
MIMOレーダーについては、6年前のエントリーに「F35とアンチステルス技術」、2年前のエントリー「MIMO-MUレーダシステム」、「軍事からみたMIMO-MU」で取り上げたことがありますけれども、複数の小型アンテナを分散配置し、それぞれのアンテナが受信した情報を統合処理することで検出精度を飛躍的に向上させる技術です。
防衛省は、平成35年度までに開発を完了し、平成36年度からの実戦配備を目指すとしていますけれども、2014年にMIMO等次世代レーダー研究開発を概算要求していて、当時10年後の実用化を目指すとしていましたから、ほぼ予定どおりの進捗ですね。
昨今の国際情勢をみれば、日本の防衛力向上は急務です。滞りのない実用化と配備を期待しています。
この記事へのコメント
sdi
今までは戦域防空は空自の担当でしたが、イージス・アショアは元が元だけに速やかに戦力化しようと思えばイージスシステムの運用実績を持つ海自の参画が不可欠でしょう。
さらに、仮想敵国が日本に弾道ミサイル攻撃する場合、イージス・アショア基地は目障り。都合のいいことにPAC3のような移動能力はない。となれば、弾道ミサイル攻撃の前に巡航ミサイル、空爆で叩きに来るでしょう。当然、日本はイージス・アショア基地を防衛せねばならないのですが、拠点防空となると陸自ということになりますね。