アメリカのユネスコ脱退と日本の国益


 
今日はこの話題です。
 
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10月12日、アメリカとイスラエルはユネスコからの脱退を決めたと発表しました。

主な理由として、ユネスコの「反イスラエル的」な姿勢をあげているのですけれども、両国は世界遺産などをめぐってユネスコと対立していました。

今年7月、イスラエルはユネスコがヨルダン川西岸にあるパレスチナ自治区の「ヘブロン旧市街」を世界遺産に登録すると決定したことに猛反発し、国連への拠出金を100万ドル削減すると表明していました。

ヘブロンは、ユダヤ人の祖先にあたるアブラハム、イサク、ヤコブとその妻たちが埋葬されていると信じられている墓と、「イブラヒム・モスク」と呼ばれるイスラム教の史跡の両方があり、ユダヤ教とイスラム教の両方の聖地です。

1994年にイスラエルが入植を開始して以降、ヘブロンに住むパレスチナ人を追い出すために暴力的な行為を繰り返し、ユダヤ人入植者が大量に住み着くようになりました。現在、ヘブロン旧市街には約20万人のパレスチナ人と、イスラエル治安部隊が警備するユダヤ人入植者数百人が居住し、衝突が頻発。ヘブロンはパレスチナ自治区の中でも最もイスラエルとの対立が激しい町のひとつなのだそうです。

ヘブロンの世界遺産登録について、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は「ユネスコの新たな妄想的な決断だ……ユネスコはヘブロンにあるユダヤ人の父祖の墓を、ユダヤ教徒のものではなく、パレスチナの世界遺産として危機遺産リストに追加した。信じ難い」と怒りのコメントを出しています。

実は、2016年にもイスラエルはエルサレムの聖地に関するユネスコの委員会決議に反発しました。決議の中で、聖地の呼び名がユダヤ名の「神殿の丘」でなく、イスラム名の「ハラム・アッシャリーフ」とだけ記載されたことを問題視し、ユネスコはユダヤ教と聖地の関係を無視したと批判したのですね。

要するに、イスラエルの立場からいえば、ユネスコはパレスチナに肩入れし過ぎているということなのでしょう。

この問題について、イスラエルと長年の同盟関係にあるアメリカは一貫してイスラエル寄りの立場を取っています。

2011年にユネスコがパレスチナの正式加盟を承認したことについてもアメリカは反発し、それ以降、年間8000万ドルの分担金の拠出を停止しています。

ヘブロンの世界遺産登録についても、アメリカのニッキー・ヘイリー国連大使は、「遺憾で、政治的な動機に基づいた決定だった……ユネスコの目的は良いものだが、残念ながら極度に政治化し、絶え間ない混乱をもたらしている」と批判。

アメリカ国務省も12日の声明で「ユネスコは反イスラエル的偏向を続けている」と強く非難しています。

アメリカのユネスコ脱退は規定で18年末に発効し、その後はオブザーバーとして関与することになりますけれども、ユネスコの"政治的"な姿勢は日本にも影を落としています。いわずとしれた中韓に阿った姿勢のことです。

2015年、中国が申請した「南京大虐殺文書」が「世界の記憶」に登録されたほか、月内にも日中韓の民間団体などが申請した慰安婦問題の資料の登録が決定する可能性が高まっています。

これに対して日本政府は「世界の記憶」の制度改革を見極めるとして、ユネスコ分担金の今年度の支払いを留保していますけれども、アメリカの脱退はこれにも影響を及ぼす可能性もないわけではありません。

13日、野上浩太郎官房副長官は、アメリカのユネスコ脱退について「アメリカはオブザーバーとしてユネスコの関係を存続していくとしており、アメリカ側との協力を継続したい」と述べています。

アメリカはパレスチナが2011年にユネスコに加盟して以降、それに反対し続けていますけれども、日本は投票でアメリカに気を使い、棄権していますから、アメリカとの協力継続は必ずしも前向きな協力だけを意味するとは限らないでしょうね。

アメリカは過去、1984年に一度ユネスコを脱退し、2003年に再加盟していますけれども、その間に湾岸戦争とイラク戦争があったことから、ネットなどの一部では、アメリカが北朝鮮との戦争の準備を始めたとの噂が流れているようです。

確かに空爆で世界遺産を破壊する可能性もありますからね。北朝鮮には「高句麗古墳群」と「開城の歴史的建造物群と遺跡群」という2つのユネスコ世界遺産があります。

ただ正式な脱退は2018年末ですから、そこまで待つ程の時間が残されているとも思えません。従って、直接関係があるとは言い難いでしょう。

ただ、アメリカが今まで以上に国益を前面に出してきていることは間違いありません。

日本としても、国益をしっかりと意識した国家運営をしていかないと、損をするばかりになることは注意したほうが良いと思いますね。

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