ミサイルを撃たず祝電を打った北朝鮮

 
昨日の続きです。

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北朝鮮の核・ミサイルによる挑発で緊張高まる中、10月18日、北朝鮮の朝鮮労働党中央委員会は中国共産党の第19回党大会に祝電を送ったと朝鮮中央通信が報じています。

祝電の内容は「中国人民はこの間、共産党の正確な領導下で中国独特の社会主義建設の偉業遂行で大きな前進を実現し、大変うれしく思っている……中国共産党大会を熱烈に祝賀し、第19回大会が円満な成果を挙げることを心から祈る」といったものなのですけれども、北朝鮮が中国への祝電を公開したのは昨年6月30日、金正恩委員長が共産党創建95年に際し習近平国家主席に祝電を送って以来のことです。

ただ、今回の祝電はこれまでのものとは違い、「中朝親善」に関する言及もありませんでした。これは、中国が北朝鮮の核実験を受けた国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁に賛同し、中朝関係が冷え込んでいるためとみられています。

因みに前回2012年の中国共産党大会に際し、北朝鮮が送った祝電の内容は、「中国共産党の第18回大会を熱烈に祝福し、大会を通じ貴党の党員と中国の人民に心からの挨拶を送る。我々は今後も中国の同志とともに、伝統的な朝中親善の強化・発展に向け積極的に努力する」でした。

並べてみると、確かに今回の祝賀はニュアンスが大分違っています。前回のは祝賀の言葉の後に「今後も中国の同志とともに、伝統的な朝中親善の強化・発展に向け積極的に努力する」と北朝鮮は中国と共に歩む同志だ、的なニュアンスがあったのに対して、今回は「円満な成果を挙げることを心から祈る」と一歩引いたというか、他人行儀的な文言になっています。

しかも「円満な成果を挙げること」も何か含みのある表現ですね。まるで、今回の中国共産党大会が"円満ではない"ことが前提となっているような口振りです。

今年3月の第12期全国人民代表大会第5回会議は、議論や指導部への批判などは一切議題に上がらず、全く波乱のないまま閉幕しています。

今回の共産党大会の政治報告で習近平主席は、過去5年間で国防と軍隊の改革に「歴史的な前進」があったとし、2020年までに軍隊の機械化と情報化を進め、2035年には「国防と軍隊の現代化」を実現する考えをのべ、今世紀半ばごろまでに「世界一流の軍隊」を建設する長期目標を示しています。

また、香港や台湾における独立の動きを念頭に「国家の主権と領土保全を断固として守り、国家の分裂という歴史的悲劇が繰り返されることを断じて許さない……『台湾独立』勢力によるいかなる形の分裂活動も打ち破る意思と自信と能力がある」と宣言しています。

更に、共産党政権の下での中国の発展モデルは「繁栄している」とし、ほかの発展途上国に「新たな選択肢」を提供したとした上で、「世界の舞台の中心に立ち、人類により大きな貢献をする時が来た」と述べました。

専門家の多くは、習主席は党大会中に党内での地位をより強固なものにするとの観測を示していますけれども、中国の国営メディアは党が規約を改正し、習氏の「指導理念」あるいは政治思想を盛り込む見通しだと報じていますから、やはり一段と権力集中が進むものと思われます。

大会を取材したBBCのジョン・サドワース特派員は「習氏が言及した反腐敗運動には大きな拍手が上がった」とツイートしています。24日までの予定の共産党大会はで、まだ始まったばかりですけれども、今のところは"円満"な出だしで、波乱の様子はなさそうです。

北朝鮮の思惑が何処にあるかはまだ分かりませんけれども、北朝鮮が祝電を送ったことは、中国と伝統的な関係は依然として維持している、あるいは維持したい意思の現れだと見る事もできますね。

北朝鮮にとって中国は貿易の9割を占める国です。いくら関係が冷えているからといって、断絶は望んでいないということでしょうね。

一部では、共産党大会の開幕に合わせて北朝鮮がミサイルを発射するのではないかという観測もありましたけれども、ミサイルではなく、祝電を打った。北朝鮮包囲網が形成される中、やはり中国に扉を閉められるのだけは嫌がっているのかもしれませんね。

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