「一帯一路」を塗り替える安倍戦略
今日はこの話題です。
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12月17日、安倍総理は自身が掲げる対外政策「自由で開かれたインド太平洋戦略」を、中国の「一帯一路」と連携させる形で推進する意向を固めたと報じられています。
報道では、対中牽制であった「自由で開かれたインド太平洋戦略」を転換し、一帯一路構想との「共存共栄」を目指す姿勢を打ち出すとして、あたかも方針転換をしたかのように報じられていますけれども、安倍総理は今月になって急に「一帯一路」への協力を言い出した訳ではありません。
筆者は6月8日にエントリー「安倍総理が一帯一路構想に条件付き協力を示した真意とは何か」で、安倍総理は「一帯一路」を注視する発言をしたことを取り上げています。
件のエントリーでは、安倍総理は「一帯一路」に条件を付けることで、周辺国に警鐘をならし、トランプ政権の動き対する牽制をしたのではないかと述べていますけれども、どうやら、今がそのチャンスと見て、安倍総理は攻勢に出たのではないかと思うんですね。
なぜなら、此処に来て、中国が進めてきた「一帯一路」が破綻し掛かっている傾向が見えてきているからです。
12月6日のエントリー「火を噴くAIIBのお手並み拝見」では、中国の周辺国は、中国に大型インフラ事業を引き渡す代償は大きいと気付き、中国の『一帯一路』構想は、周辺国に長期的な植民地戦略ととらえ始められているという専門家の見解を紹介していますけれども、パキスタンやネパールが中国資本による大型インフラ建設計画をキャンセルしています。
そのタイミングで、日本が乗り出してきた。「自由で開かれた」インド太平洋戦略を掲げてです。
要するに、中国の「一帯一路」が危ういと気付いた中国の周辺国を中国から引き剥がし、日本に取り込んでしまえ、ということです。おそらくそうした狙いがあるのだと思いますね。
加えて「一帯一路」を推進するための資金供給源となるAIIBも上手く言っていません。
AIIBは12月11日、中国の大気汚染対策として、 北京の一般家庭に天然ガス利用を促す事業に2億5000万ドルを融資すると発表しましたけれども、AIIBは単独で融資できる能力は乏しく、融資案件の多くはADBや世界銀行との協調融資。金融関係者によると、「ADBなどに審査の手数料を払って資金を出させてもらっている」のが実態のようです。
このタイミングでAIIBに日本も"少しだけ"協力を検討しないでもない。その代り、透明性を確保することが条件だと中国に囁いて合意を取りつけることが出来たなら、「一帯一路」から中国の植民地戦略を抜き取ってしまうことも見えてきます。これは要するに「一帯≒自由で開かれたインド太平洋戦略」に「一路」を付け加えたようなもの、"拡大版"自由で開かれたインド太平洋戦略になる可能性すらあります。
まぁ、いきなりそんな絵を描いたように上手くいくとも思えませんけれども、中国が、バブル崩壊でお金がなく、AIIBの運営ノウハウもない上に、侵略の意思を顕にして周辺国から警戒されている今だからこそ、日本が乗り出してくる意味があります。
無論、相手は中国ですし、巻き返しの戦略を練っているでしょうけれども、「一帯一路」を乗っ取るとはいかないまでも雄株を奪えるチャンスは今しかないようにも思えます。
しかも、「自由で開かれたインド太平洋戦略」はトランプ政権も相乗りしている状況ですから、これ以上ない好条件が整っているようにも思えます。やはり安倍総理は策士ですね。
今後の推移には要注目ですね。
この記事へのコメント
金 国鎮
過去の中国の立場を考えれば中国が自国の立場を主張するのは当然。
中国を開放したのは中国共産党を中心とする中国人。
中国東北・朝鮮・台湾・東南アジアは彼らの歴史とは無関係だ。
アメリカのドル支配がある限りこの地域でアメリカが何かを言えるのは間違いない、それ以上ではない。
アメリカの軍事力を支えてきた科学者の多くはナチスドイツの支配から逃れてきたヨーロッパの科学者が多い、多民族アメリカの力だ。
それに対抗できる力を中国が作れるかは重要だ。
中国にそれを主張できる経済的基盤は出来上がってきたようだ。
過去に日本は満州国を作り五族協和を打ち出したが日本人開拓民の多くはそれを無視して満州に日本人村を作った、戦後は日本国内で同様の政策を長く続けてきたが、日本の勝手だろう。
これは韓国も同様だ。
さて中国共産党はどうするだろうか、今のところよくやっていると思う。
多民族中国の努力が続く限り問題はない。
船中・戦後のアメリカの成功はアメリカが独自の科学技術開発に成功したところに負うところが大きい。
中国に果たしてそれができるかどうかだ、それを支えるのは多民族中国だ。
秋津洲
何度も繰り返してきたが、トランプの狙いは、誅獄狂産党支配の解体です。
秋津洲