半島有事に中国が介入する4つのシナリオ

 
今日はこの話題です。

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12月21日、イギリスのデイリー・テレグラフ紙は、アメリカのトランプ政権が核・ミサイル開発を続ける北朝鮮に対する限定的な軍事作戦計画の策定を急いでいると報じました。

デイリー・テレグラフ紙は複数の元米当局者、現職の政権関係者らの話として、トランプ政権は一般的に考えられている以上に軍事行動の可能性に傾いていて、そのための準備が過去数ヶ月間で「劇的」に進んだとしています。

今年4月、トランプ政権はシリアのアサド政権が自国民に化学兵器を使用したとして、シリアの軍事施設にミサイル攻撃を行いましたけれども、テレグラフ紙は「レッドライン」を越えたアサド政権への警告として行われたこの攻撃が、北朝鮮への軍事行動の「下敷き」になるとみられているとしています。

とすれば、アメリカによる先制予防攻撃も有り得るということです。

具体的にどういう計画を立てているかなどは当然外に漏れることはありませんけれども、アメリカのシンクタンクであるランド研究所のブルース・ベネット上級研究委員は、朝鮮半島有事に際し、中国軍と米韓連合軍が対峙する可能性をシナリオ別に分析し、報告書に纏めています。

報告書では中国の介入シナリオとして4つのパターンを想定しています。それは次のとおりです。
1)中国軍が米韓連合軍との間に緩衝地帯を設ける目的で北朝鮮との国境を越える
2)中国軍が米韓連合軍との間に緩衝地帯を設ける目的で北朝鮮との国境を越え、寧辺の核施設付近を掌握する
3)中国軍が北朝鮮との国境を越え、寧辺の核施設付近を掌握する程度南下
4)中国軍が北朝鮮の寧辺の核施設および平壌を抑える程度に南下
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1)と2)のシナリオは、米韓連合軍との間に緩衝地帯を設ける目的は達成しますけれども、東西の前線の長さが500kmを超え、現実には維持が難しいという問題があります。
3)は平安北道博川郡沖から咸鏡南道定平郡沖を東西に結ぶ200Kmで米韓連合軍と対峙するというもので、1)、2)と比べて東西前線が比較的短く、最も現実的としています。
4)は南浦と元山を結ぶ東西250Kmの線で米韓連合軍と対峙するというもので、戦争可能性が最も高いとしていますけれども、中国人民解放軍が実際に検討しているシナリオだとしています。

ランド研究所は、上記のどのシナリオであってもアメリカ軍が存在する限り、中国軍は撤収せず、仮に中国軍が撤収する場合でも、アメリカ軍に対しソウル南方または韓半島から撤収するよう要求する可能性が高いと予測しています。

ベネット研究委員は「結局中国軍を撤収させるためには、韓国軍が北朝鮮全域を掌握し、安定化させるの力を示さなければならない」と韓国軍の独自作戦能力を速やかに向上させなければならないと指摘しています。

けれども、韓国軍の独自作戦能力を速やかに向上といっても、一ヶ月や二ヶ月でどうこうなるものでもないでしょう。半島情勢が切羽詰まったこの時期にそう提言されても、中々厳しいものがあります。

当然こうした分析は、トランプ政権およびアメリカ軍内部でも行われている筈です。

12月12日、ティラーソンアメリカ国務長官はセミナーで「米中は北朝鮮の内部で何かが起きた際のことについて話し合った。万一アメリカが休戦ラインを越えなければならない事態が生じても、再び38度線以南に後退すると中国側に説明した」と述べていますから、ランド研究所のシナリオに近いものを想定していたとするならば、シナリオの3)または4)辺りが念頭にあるのかもしれません。

デイリー・テレグラフ紙が「アメリカの軍事行動の準備が過去数ヶ月間で劇的に進んだ」と報じたということは、もうほぼその準備が整ったということでしょう。

有事はいつ起こってもおかしくないと備えていないといけないと思いますね。

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