トランプ大統領の「フェイクニュース大賞」発表が齎すもの

 
今日はこの話題です。

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1月20日、アメリカのトランプ大統領はツイッターを通じ「フェイクニュース大賞」と称して、自身が嘘だったと見なした11の報道を発表しました。

発表は、与党・共和党のホームページに誘導する形で行われたのですけれども、その11の報道とトランプ大統領の反論は次のとおりです。
【ニューヨーク・タイムズに】
一昨年の大統領選挙でトランプ大統領が勝利した際、ノーベル経済学賞を受賞した経済学者のポール・クルーグマン教授が「これで経済は決して回復しない」とした見解を掲載した報道。これに対しトランプ大統領は、就任以来、アメリカ経済は200万人近い雇用を創出し、8兆ドル以上の富を獲得。黒人やヒスパニック系の市民は歴史上で過去最低の失業率を享受していると反論。

【ABCテレビに】
先月、いわゆるロシア疑惑をめぐり、トランプ大統領がフリン前大統領補佐官にロシア側と接触するように指示したと報じた内容について、接触を指示した時期に誤りがあったとして担当した記者が停職処分になったことと、これによって株価が急落したことについて。

【CNNテレビに】
大統領選挙の期間中、内部告発サイト、ウィキリークスからハッキングされた資料を、当時のトランプ候補と長男のジュニア氏が入手したという報道。

【雑誌「タイム」に】
トランプ大統領が大統領の執務室からキング牧師の胸像を撤去したという報道。

【ワシントン・ポストに】
フロリダ州で開かれたトランプ大統領の集会にほとんど人が集まっていなかったとするツイッターの写真を載せたこと。これに対してトランプ大統領は大勢の人が会場の外でこれから入ろうとするところで、中に入れない人もいるほどだった。不誠実な記者が、人がいっぱいになる前の写真を掲載したと反論。

【CNNテレビに】
トランプ大統領が去年、日本を訪れた際、迎賓館でこいが飼育されている池に木箱の餌をすべて投げ入れた映像の編集を挙げ、過剰な餌のやり方に見せているが、先に餌をすべて投げ入れた安倍総理大臣にならっただけだと反論。

【CNNテレビに】
トランプ政権の元広報責任者のスカラムッチ氏がロシア側と接触していたという報道で、編集のプロセスが守られていなかったとして担当した3人の記者が辞職したことについて。

【週刊誌「ニューズウィーク」に】
ポーランドの大統領夫人がトランプ大統領と握手をしなかったという報道に対し、握手をしている写真を公開。

【CNNテレビに】
トランプ大統領がロシア疑惑をめぐる捜査の対象になっていないとする主張に対して、FBIのコミー前長官が議会の公聴会で異議をとなえる見通しとする報道。

【ニューヨーク・タイムズに】
トランプ大統領が気候変動に関する報告書を隠蔽していたとする報道。

【ロシアとの共謀をめぐる報道】
ロシアと共謀したとする報道はアメリカ国民に対する最大のでっちあげ。
このように11項目の報道をフェイクニュース大賞としたのですけれども、この中でトランプ大統領が来日した際の迎賓館での鯉の餌やりシーンまでもフェイクニュースに挙げているのは少し驚きました。もっともこのシーンは日本のネットでもフェイクではないかと話題になっていましたからね。この辺りまでもしっかりチェックしているということですね。

普通こういう類のナントカ大賞はTOP3とかTOP5、10位までとか切りの良い数字にするものなのですけれども、11個と中途半端な数になるあたり、フェイクと見做したニュースを全部挙げた感があります。

ただ、世の中にはトランプ大統領のツイッターをモニターしているウェブサイトというのもあって、それによると、トランプ大統領が就任以降、投稿した2600回に及ぶツイートのうち、「フェイクニュース」と書き込んだ回数は186回にもなるそうです。

更に主要メディアの名前を名指しで書き込んだ回数は、ニューヨークタイムズが38回、CNNが34回、NBCが31回で、その多くが批判とのこと。

その一方批判していないメディアもあり、保守系のテレビ局FOXについては、批判したことはないそうです。

今回のトランプ大統領のフェイクニュース大賞発表について、批判されたメディアは反発。

17日、ワシントンで開かれたトランプ政権を取材する記者らが参加したシンポジウムで、ホワイトハウスを担当するCNNのアコスタ記者は「トランプ大統領はわれわれをフェイクニュースと呼び、報道に対する信頼をおとしめている。大統領としてふさわしくない対応をしており、容認すべきでない……われわれの行動指針は真実を伝えることだ。大統領が誰であれ、われわれをなんと呼ぼうが、それがわれわれの仕事だ」と強調しました。

また、ワシントン・ポストは、フェイクとされた11のニュースの一つ一つに反論。

「経済は決して回復しない」とする経済学者の見解を掲載したニューヨーク・タイムズの報道については、「これはニュースではなくコラムニストの見解にすぎない。さらに、彼はこの見解をわずか3日後には取り下げている」とし、「トランプ大統領の集会にはほとんど人が集まっていなかったとする写真を掲載した」というワシントンポストの報道について「記者がツイッターに投稿したもので、数分後には訂正している。このため、記事にはしていないし記者はすでに謝罪している」と反論しました。

そして、「トランプ大統領が選んだ11の報道のうち、少なくとも8つについては、誤りを認めてすでに訂正しており、2つに関しては記者の停職処分や辞職といった措置をとっている」と述べているのですけれども、何のことはない、大賞となった11の報道は誤り(フェイク)だったと自ら認めているのですね。

これまでのメディア、特に日本のメディアはそうなのですけれども、自分達の報道は言いっぱなしで、責任を取らないケースが目立ちます。たまに訂正記事があっても三面記事で小さく乗せるだけ。言ったもの勝ち状態なのですね。

ところが、トランプ大統領の「フェイクニュース大賞」の発表によって、マスコミがフェイクを認め、訂正していること、フェイクを報じた記者に処分を下していることを改めて大々的に報じなければならなくなった。要するに、言ったもの勝ちは許さないということです。

確かに、トランプ大統領のやり方は敵を作り易いですし、過激に見えるものも多いのですけれども、今回の「フェイクニュース大賞」だとして発表するやり方は、フェイクを報じたメディアに「その影響力相応の責任を取っているのか」と強烈に問いかけている面があるように思うんですね。

その意味では、日本でも同じことをやっても同じような効果は期待できるかもしれません。けれども、メディアの反発はもっと激しいでしょうね。

18日、菅官房長官は記者会見で、トランプ大統領が「フェイクニュース大賞」を発表したことについて「他国の内政について日本政府としてコメントすることは差し控えたい」と答えたところ、記者団から日本国内のフェイクニュース大賞について問われ、「いろいろ、いろいろ思い当たる節はあるが、コメントを控える」と述べています。

流石に安倍総理は、トランプ大統領のように「フェイクニュース大賞」を発表することはないと思いますけれども、菅官房長官の発言を見る限り、官邸とは日本のマスコミ報道に対して含むところは感じているようです。

日本のマスコミが報道の自由を叫ぶのは結構ですけれども、それに見合った責任を問われる機会はもっとあってもいいかもしれないと思いますね。

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