昨日の続きです。


1月28日、韓国・北朝鮮が合同で開催する金剛山での五輪前夜祭に向け、韓国政府が発電用の軽油約1万リットルを提供することが明らかになりました。
韓国政府の当局者によると、北朝鮮側が「会場となる金剛山文化会館は韓国が建設した施設なので、北朝鮮からの安定的な電力供給は難しい」と述べたとして「韓国が軽油を提供しなければならないと思う」とコメントしていますけれども、五輪にかこつけた経済援助を問題視する声が上がっています。
言うまでもなく、国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁やアメリカの独自制裁に違反する可能性があるからです。
国連安保理の北朝鮮制裁決議第2397号は、国連加盟国が北朝鮮に搬出できる石油精製品の年間総量を50万バレルに制限していますし、昨年8月に改正されたアメリカの「対北朝鮮制裁履行法」の第14条には、石油精製品を北朝鮮に直接・間接的に供給した個人・団体はアメリカの独自制裁の対象に指定され得るとなっています。
これについて韓国政府の当局者は「まだ年初なので、安保理に搬出の事実と量を報告すれば制裁違反という議論は回避できるだろう」とし、アメリカの独自制裁についても「アメリカの法の解釈・適用権はアメリカ政府にある」として、事前協議で対応する方針を示しています。
相変わらずの身勝手さです。正に北朝鮮の言いなりです。
日米は北朝鮮への制裁を監視し、その効果の見積もりをしています。
昨年12月、アメリカと韓国のメディアが「中国船籍と推定される船が北朝鮮側に10月以降、30回ほどにわたり、石油を売ったとみられることがアメリカの監視衛星で確認された」と報じているのですけれども、それを受けて、トランプ大統領はツイッターで「現行犯だ。中国は北朝鮮に石油が入るのを許していて、大変がっかりだ」と中国を批判しています。
また、1月20日、海自の哨戒機P3-Cが上海沖の東シナ海の公海上で、北朝鮮籍のタンカーがドミニカ籍のタンカーと接触している現場を発見、撮影しています。防衛省幹部は「ドミニカ籍の船の正体は中国だろう。制裁にはこうした抜け穴がある」と述べています。
海自は昨年末から護衛艦や訓練支援艦をこれらの海域に派遣し、中国船やロシア船による北朝鮮船への密輸を監視、撮影した写真などをアメリカ軍に提供しています。トランプ大統領にも当然伝えられている筈ですね。
昨年末から日本の海岸に北朝鮮籍とみられる船が漂流・漂着していますけれども、日本政府は「制裁が効き始めている結果」として、今月16日にカナダで行われた北朝鮮核問題に関する外相級会合でその旨を説明しています。
また、アメリカ政府系のラジオ自由アジア(RFA)は、北朝鮮の金正恩の秘密資金が一連の核・ミサイル開発により枯渇しかけているとし、北朝鮮による平昌五輪参加の動きも経済的な苦境からの脱却を狙ったものだと報じています。
このように日米は北朝鮮への経済制裁は効果があると見ているのですね。
そして、それをぶち壊しに掛かっているのが、韓国の文在寅大統領だという訳です。
アメリカとしてはとても看過できるものではないでしょう。
自民党の青山繁晴参院議員によると、今回の安倍総理の日韓首脳会談と平昌五輪開会式への出席を決断したのも、やはり、この辺りの事情が大きく影響したようです。
つまり、これ以上の北朝鮮への傾注は許さない、と最後通牒をするようです。
もちろん、会談後の会見ではそんな事は殆ど口にしないでしょうけれども、その後の文大統領の動き、平たくいえば、最後通牒を突き付けられてもなお、北朝鮮への援助を続けるかどうかで半島の命運は決まるのではないかと思いますね。
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