先制攻撃論とSM3ブロック2A

 
今日はこの話題です。

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2月14日、安倍総理は外交・安全保障問題などに関する集中審議で「純粋に防衛戦略として考えれば大変厳しい。相手からの第一攻撃を甘受し、戦場になりかねない……ひとたび攻撃を受けると回避することは厳しい。先に攻撃した方が圧倒的に有利になる」と答弁しました。

更にミサイル技術の進展で命中精度が高まっているとし、「攻撃を受ければ回避するのは難しく、先に攻撃した方が圧倒的に有利になっているのが現実だ」とも述べました。

一部からはこの発言に「安倍総理は戦争したがっている」などと大騒ぎしているようですけれども、言っている内容自体は軍事的には当たり前のことです。

日本にはミサイル防衛があるではないかと言う声もありますけれども、それとて完璧なものではありません。

これまでミサイル防衛については、過去何度も取り上げてきましたけれども、日本のミサイル防衛システムは、貧弱ではないにしても完璧だとは言い難い。

軍事ジャーナリストの宮田敦司氏は「日本のミサイル防衛は、海上のイージス艦から発射するSM3と、地上のPAC3の二段構えです。ただ、北朝鮮のミサイルのうち、例えば、日本が射程範囲内のノドンは200基あると言われている。一度に20発は撃てる一方、1隻のイージス艦が撃ち落とせるのは、2発程度でしょう……撃ち落とし漏れにはPAC3が対応することになるのですが、こちらは、直径が20キロの範囲でしか対応できない。事態が迫って、市ヶ谷の防衛省に設置されたとしても、カバーできるのは山手線内とその周辺程度」と指摘していますけれども、これが現実です。

次期SM3、およびイージス・アショアで使用される日米共同開発中の「SM3ブロック2A」とて、1月31日に行われた迎撃実験に失敗しています。実験を遡ると、昨年2月は成功、昨年6月失敗、今年1月失敗、という結果です。

小野寺防衛省は1月の実験について「迎撃できなかったと捉えている……改善する点があれば今後の生産過程に反映していくことは十分可能と考えている。取得計画の変更が必要になるとは考えていない」と述べています。去年6月の失敗は人為的操作ミスで、ミサイルには問題なかったようですけれども、今回の失敗原因はきちんと突き止めて置かなくてはいけません。

現在、日本でSM3を運用しているイージス艦は全部で6隻あります。

それは、こんごう型イージス艦4隻と、あたご型イージス艦2隻で、こんごう型はSM-3ブロック1A、「あたご」型はブロック1Aの改良型であるSM-3ブロック1Bを運用しています。

今後、SM-3ブロック2Aを運用するために、8200トン型イージス艦2隻、イージスアショア2ヶ所を予定していますけれども、これらは2021年以降の話であり、今年来年でどうこうではありません。

ちなみに、現有イージス艦ではシステムバージョンの違いでSM-3ブロック2Aは運用できず、ブロック1A,1Bをそのまま使うことになります。

日本はもう既に北朝鮮のミサイル射程内に収まっていますけれども、実際にミサイル防衛をするとなると、

アメリカ海軍のイージス艦も協力することになると考えられますから、合わせて数十隻、数百発のSM3が用意可能だといえなくもありません。

ただしそのためには、日本近海にそれだけの数のイージス艦を浮かべておく必要がありますし、いきなり飽和攻撃的にミサイルを打たれた場合でも完全撃破できるのかは微妙だと言わざるを得ません。

となると必然的に、先制攻撃の方が確実ということになりますし、そうするかどうかは別としてその為の手段を保有するということが、抑止力になるということを知って置いた方がよいと思いますね。

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