セキュリティダイアモンドは「俺様中国」を封じ込めることが出来るか

 
今日はこの話題です。

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2月1日、イギリスのメイ首相は中国を訪れ、習近平主席と会談しました。

習主席は自ら提唱する「一帯一路」構想について「市場ルールと国際ルールに基づき運用される」と強調し、メイ首相も「英中で一帯一路の協力を展開し、世界、地域の経済成長を促進したい」と応じました。

メイ首相は今回の訪中に企業幹部50人を同行させ、中国との間で、建設、金融、農業、科学技術など総額90億ポンドに及ぶ商談を行ったようです。

けれども、メイ首相は、中国側が承認を求めている「一帯一路」構想の覚書に署名しなかったようです。イギリス政府関係者は拒否の理由として「正しく実行されることが重要だ」と説明しています。

メイ首相は前日の1月31日に李克強首相と会談し、「一帯一路」構想について協力する意向を示す一方、「国際的な規範に合致させると共に、地域とどのような形で協力するのが最善かを議論した」と述べていましたから、中国のやり方が国際規範に則っていないと警戒しているということです。

翌日の会談で習主席が「市場ルールと国際ルールに基づき運用される」と発言したにも関わらず、署名を拒否したということは、その懸念が払拭できなかったということでしょうね。

中国は面目を潰した形ですけれども、これだけではありません。欧州諸国は中国に警戒感を隠しません。

1月9日、フランスのマクロン大統領は北京で習近平国家主席と首脳会談を行い、「一帯一路」の枠組みの下で協力を強めることで一致したと報じられていますけれども「一帯一路が新しい覇権の道となってはならない。一帯一路の上に国を隷属させてはならない」と釘を指しています。

そして極め付けはドイツです。

2月17日、ドイツのミュンヘンで行われた安全保障会議で、ドイツのジグマール・ガブリエル外相は、会議に出席した付瑩・人民代外事委員会主任を前にして「一帯一路一はマルコ・ポーロを感性的に回想するように見えるが、それは違う。中国の利益のために世界を全面改造することだ……自由と民主と人権の基礎の上にはないものだ」と批判しました。

ここまではっきりと「一帯一路は自由と民主と人権のルールに則っていない」と指摘されるのは唯事ではありません。それだけ懸念される振舞いをしたということでしょうね。

代わりにクローズアップされると思われるのが、安倍総理が提唱しているセキュリティ・ダイアモンド構想です。セキュリティ・ダイアモンドについては2013年のエントリー「安倍総理のセキュリティ・ダイヤモンド構想」で取り上げたことがありますけれども、中国の一帯一路とタメを張る構想です。

安倍総理はセキュリティ・ダイヤモンド構想を打ち出した当初からイギリスとフランスの参加を促し、外交を展開してきました。

イギリス、フランスにしてみれば「俺様ルール」をゴリ押しする中国と、自由主義圏の日本とどちらの構想に乗るかとなると、運用ルールや透明性では日本の方が安心でしょう。その一方、経済的利益では中国に軍配が上がるかもしれません。

ユーラシアを舞台として繰り広げられている日本と中国の経済構想の競争。どう推移していくのか注目ですね。

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