トランプは台湾旅行法という大きな楔を打ち込んだ

 
今日はこの話題です。

画像

 ブログランキングに参加しています。応援クリックお願いします。
画像「妖印刻みし勇者よ、滅びゆく多元宇宙を救え」連載中!

3月16日、アメリカのトランプ大統領は、「台湾旅行法案」に署名し、法案は成立しました。

台湾旅行法は、あらゆるレベルのアメリカ当局者が台湾へと渡航しての会談、および台湾高官がアメリカに入国し、アメリカ合衆国国務省および国防総省の職員を含むアメリカ当局者と会うことを認め促進する法案です。

法案は「略称」「確認事項」「政策声明」「権限」「半年毎の報告」の5つのセクションに分かれており、1979年の台湾関係法によりアメリカが台湾との交流を自粛してきたことを確認した上で、アメリカの全ての階級の当局者が台湾を訪問し台湾当局者と会うことを許可しています。

特にセクション3の「政策声明」では「台湾の高官がアメリカ国務省および国防総省を含む内閣機関の当局者と面会することを許可」とわざわざ国務省と国防総省と名指ししている点は注目に値します。

というのも、台湾の高官が自由にアメリカの国務省と国防総省の当局者に面会できるということは、殆ど、台湾独自の外交活動が可能になることを意味するからです。

台湾関係法では、アメリカは「台湾を諸外国の国家または政府と同様に扱う。ただし、アメリカにおける台湾外交官への外交特権は、認められない場合がある」となっていましたし、現実には、アメリカと台湾は、相互訪問について自粛を続けてきました。

しかし、今回の「台湾旅行法」によって、台湾外交官への外交特権も事実上認められる可能性もなきにしもあらずとなりました。

トランプ大統領の訪台や蔡英文総統のワシントン訪問も、中国様の許可を得る必要もなく、理屈上は可能になりました。事実上、台湾を"国"扱いした訳ですね。

当然、中国はそれを認めません。

3月2日、中国国営英字紙チャイナ・デイリーは台湾の蔡英文総統が主権を主張すれば、台湾の離脱を阻止するため反国家分裂法発動が避けられなくなるだろうと述べ、トランプ大統領が台湾旅行法を有効にするための署名を行った場合、台湾を巡る戦争に発展する可能性があると警告していました。

トランプ大統領は、それを無視する形で署名した訳です。

3月17日、中国外務省の陸慷報道官はコメントを発表し、「断固たる反対を表明する……『1つの中国』の原則に著しく違反し、『台湾独立』の分裂勢力に著しく誤ったサインを発した……誤りを正して、中国との関係や台湾海峡の平和と安定に重大な損害をもたらさないよう求める」とアメリカを批判。

中国国防省の呉謙報道官も中国とアメリカの軍の関係において発展の機運を損なう」などと批判する談話を発表しています。

「『1つの中国』の原則に著しく違反」という辺り、中国もこの法案の意味をちゃんと理解しているのですね。

けれども、それで中国が宣言通り台湾を巡る戦争になるかというと、直ぐにはムリでしょうね。折しも狙ってか狙わずか、北朝鮮対応で、アメリカ太平洋艦隊が日韓周辺に展開しています。中国が反発して台湾周辺沖で軍事演習をしたくても非常にやりにくい。

では、報復関税など貿易戦争を行うかというと、既にトランプ政権は中国からの輸入品のうち最大600億ドルに相当する製品に関税を課すことを計画していることが報じられています。貿易戦争も受けて立つと言わんばかりです。

全く中国にビビってない。

大枠でみると、現在、アメリカは北朝鮮と台湾双方に圧力を掛け、中国の影響力を削ごうとしているようにさえみえます。

まぁ実現可能性は非常に低いでしょうけれども、北朝鮮がアメリカと平和条約を結んでしまうとか、あるいは、台湾がアメリカと独自の条約を次々と締結するようなことがあれば、中国の影響力はぐっと落ちますし、太平洋をアメリカと二分する野望も大きく後退することになりますね。

トランプ大統領がそこまで構想して動いているかどうか分かりませんけれども、今回成立した「台湾旅行法」は中国に対する大きな楔の一手になるのではないかと思いますね。

この記事へのコメント


この記事へのトラックバック