中華皇帝を目指す習近平の野望に陰りが見え始めた

 
今日はこの話題です。

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画像「妖印刻みし勇者よ、滅びゆく多元宇宙を救え」連載中!

7月20日、アメリカのトランプ大統領はCNBCの番組で、対中制裁関税の対象が5000億ドル相当に達するかどうかを問われ「用意はある……アメリカにとって正しいことをする。われわれは長年、中国にぼったくられてきた」と答え、中国から輸入する5000億ドル相当の製品に制裁関税を課す可能性を示唆しました。

これは、2017年の中国からの輸入総額に匹敵する規模で、実施されれば、全ての輸入品に関税を課すことになります。

この発言を受けて、アメリカ株式相場は貿易摩擦への懸念から売りが先行して下落。ダウ平均は6.38ドル安の25058.12、ナスダックは5.10ポイント安の7820.20で取引を終了しました。

大規模ではありませんけれども、市場は反応しました。やはり、前回までの追加制裁関税が効いているのでしょう。例え少しであっても、実際にヤルのとやらないのでは、説得力が違います。トランプ大統領ならば本当にやるかもしれないというイメージを持たせることで、その後のブラフがブラフにならない側面はあると思いますね。

18日、アメリカ国家経済会議(NEC)のカドロー委員長はCNBCなどが主催したイベントで、トランプ大統領の貿易を巡る駆け引きに必ずしも賛同しておらず、関税は望んでいないとしながらも「我々の知る限りでは、現時点で習国家主席は合意を得ることは望んでいない」とし、習主席の経済顧問を務める劉鶴副首相らは合意を望んでいるようだが「習氏は合意を妨げている……次は習氏が動く番で、我々はそれを待っている」と述べ、中国がアメリカの知的財産権を侵害し、技術移転を強要し、こうした慣行を改めるよう求めるアメリカの要請に応じていないと批判しました。

このカドロー委員長の発言について中国は直ぐに反応しました。

19日、中国外務省の華春瑩副報道局長は定例会見でカドロー委員長の発言について質問され、「アメリカの当局者が思いがけなく事実をゆがめ、でっち上げの非難をしたことは衝撃的で想像を超えている……アメリカの豹変と約束破りは、世界的に認知されている」と反論しました。

このように口では勇ましいことを言っていますけれども、中国の対応に少し変化が出てきているようです。

今年3月の全国人民代表大会で国家主席の任期制限を撤廃し、中国の発展ぶりと技術力を宣伝する映画を作成し、習近平主席の権限強化と個人崇拝に似たムードを醸成していたのが、トランプ大統領の対中国貿易批判と制裁関税が行われると、一気にトーンダウン。

6月下旬には人民日報系の環球時報が社説で「我々の水準はアメリカと大きな隔たりがあり、この差を克服するには数世代の苦労と努力が必要だ」と訴え、国際政治専門家の間からも「習主席の強権手法がアメリカとの対立を招いた」との声があがり、習指導部は軌道修正を図っていると見られています。

7月16日のエントリーでも取り上げましたけれども、習近平のポスターに墨をかけるパフォーマンスをした女性が消息不明になった件についても、そのパフォーマンス動画が凄まじい勢いで拡散、シェアされたそうです。

無論、そうした動画が当局の手によって次々に削除されていったのですけれども、今度は「零点時刻」や「明鏡TV」あるいは「中国公民抵抗運動」といった、中国大陸以外の海外の中文ネットが件の事件とともに、その後の連鎖反応を報道しているそうです。

中華皇帝となるべく手を打ってきた習近平主席ですけれども、思わぬところからブレーキが掛かった形となりました。こうした中、党序列2位の李克強首相が今月ブルガリアとドイツを訪問。欧州16ヶ国との首脳会議に出席し、保護主義に反対する認識を各国と共有、アメリカを牽制するなど脚光を浴び始めているとの観測もあります。

またぞろ中国共産党内での権力争いの目が蠢動を始めたかもしれませんね。

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