改革開放を拒否する習近平は言論封殺に走っている

 
今日はこの話題です。

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7月24日、清華大法学院の許章潤教授が北京の民間シンクタンクを通じてネットに公開したある論文が習近平主席を痛烈に批判していると話題になっています。

この論文の中で許章潤教授は「国民は今、国家の発展や家族の安全に対し途方に暮れている……改革開放を帳消しにし、恐怖の毛沢東時代に中国を引き戻し、滑稽な、指導者への個人崇拝をもたらすものだ」と3月の全国人民代表大会で国家主席の任期を撤廃した憲法改正などを問題視しています。

特に指導者への個人崇拝について「まるで時代遅れの強権国家のようだ……今すぐブレーキをかけなければならない……なぜこのような知能レベルの低いことが行われたのか、反省する必要がある」と痛烈に批判しています。

更に、1989年の天安門事件について「今年か来年の適当な時期の再評価」を要求し、「これらのことは現代政治の一般常識であり、国民全ての願いだ」と党に再考を促しています。

許章潤教授は安徽省出身で、西南政法大を卒業後、オーストラリアのメルボルン大に留学し法学の博士号を取得し、2005年に中国国内で「優れた若手法律家トップ10」の一人に選ばれる程の法学者です。

許章潤教授は、2月にも"改革開放"を守れという論旨の文章を発表しています。

許章潤教授はその中で、中国は今、改革開放の第3の波の中にあり、本来ならば歴史に与えられた使命を果たし、憲政民主の政治的転換を実現し、世界文明社会へと融合すべき段階であるにも関わらず、「改革開放が中国の諸問題を解決するという基本認識が破棄されようとしており」、「大多数の国民の政治参加を排除する専制政治が進み」、「改革開放後にて蓄積された資産が、外向型の政策、非効率な国有企業などにより食いつぶされそうになっている」と批判しています。

そして、習近平ら指導者に対し「官僚の財産公開、貧困支援、農村振興と教育の普及、司法の独立に向けた改革、全人代の権限強化、多元的なメディアの容認などを進め、中国を民族国家から民主国家へと発展させるべきだ」と指摘しています。

更には、特権階層は今や「天下を取り、政権に居座り、国を食いつぶす」存在であり、改革開放の堅持という政治的な責任を負えるのは中産階級のほかにはなく、彼らに政治の最前線に出ることを呼び掛け、自覚的に政治的な地位を高め、主導権を取らねばならないと述べています。

要するに、中国が民主国家と成るために必要な"改革開放"を推し進めよ。逆行してはならない。と主張している訳ですね。

確かに、習近平体制になってから、異論、反論を封殺し弾圧する傾向が顕著になっているのは事実です。

先日、習近平主席のポスターに墨汁を掛けた上海在住の女性の動画がネットにアップされ、注目を集めましたけれども、その後消息を絶った女性の行方について、アメリカ政府系報道機関「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」が、故郷である湖南省の精神科病院に入院させられていると報じています。

記事によると、件の女性は、上海の警察に逮捕され拘留されていたのですけれども、同じく上海市内で働く弟に上海市政府当局者から連絡があり、「お姉さんを精神鑑定にしたが、精神を病んでいるとの診断結果が出た」と告げられたのだそうです。

ボイス・オブ・アメリカの記者は湖南省にある件の女性の実家を訪ね、彼女の母親に取材したところ、「娘が精神を病んでいるはずがない」などと頑強に否定されたと伝えた上で、ツイッターに「習近平の肖像に墨汁をかけた女性は精神科病院に移送されました。中国には昔から中国共産党に異なるイデオロギーを表現する人は全員、精神科病院に送り込んでいます。そのため精神科病院は満員で、代わりに本物の患者は入院できない」と皮肉めいた投稿をしています。

勿論、その裏には中国共産党は自分に気に食わない意見は実力で封殺する、そういう国なのだ、という批判が含まれています。

こうした例はこれだけではありません。

8月1日、習近平政権を批判していた元大学教授が、治安当局者に連行されるという事件が起こりました。

連行されたのは、山東大学元教授の孫文広氏で、先月、習主席のアフリカ訪問に合わせ、アフリカでの中国のばらまき外交を批判する公開書簡を発表していたのですけれども、この日、孫文広氏が自宅でボイス・オブ・アメリカの電話取材を受けていたところ、その放送中に治安当局者が自宅に押し入ってきました。

孫文広氏はまた警察が邪魔しにきた、侵入者は8人だとボイス・オブ・アメリカに告げ、治安当局者に向かって「私の言っていることを聞け。間違っているか?」と問いかけ、「国民は貧しい。アフリカに金をばらまくのはやめよう……こんなふうに金を浪費するのは、わが国や社会にとって無益だ……私の家に入ってくるのは違法だ。私には言論の自由がある!」と訴えたところで通信が途絶えたのだそうです。

生放送中に当局者に連行されるとは、まるでドラマのような展開ですけども、これが現実だというのが中国の怖さです。

ボイス・オブ・アメリカ(VOA)は、視聴者に今起きた事態を強く非難すると伝え、「これが中国の現在の人権状況」と強調しました。ボイス・オブ・アメリカ(VOA)のリスナーは、さぞかし認識を改めたことでしょうね。

8月3日、ボイス・オブ・アメリカ(VOA)は消息筋の話として、公安当局に連行された孫文広氏は、山東省済南市の軍関連施設に軟禁されたとし、携帯電話なども没収され、外部と連絡の取れない状態が続いていると伝えています。

これについて、CNNは中国外務省に今回の強硬措置に対するコメントを求めていますけれども、こうした事実は徐々に世界に広がって知られていくのではないかと思いますね。
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