脛に傷があり過ぎる中国

 
今日はこの話題です。

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10月15日、中国商務省は、アメリカと日本から輸入するヨウ化水素酸に反ダンピング関税を課すと発表しました。

関税率はアメリカ製が123.4%、日本製が41.1%で5年間適用。16日から発動されます。

ヨウ化水素とは、強酸性の無機化合物の一種で、強い刺激臭を持つ無色の気体。毒物及び劇物取締法に定める劇物なのですけれども、液晶プロジェクターの製造などに使用されます。

このタイミングで中国による日米への反ダンピング関税となると、反射的に米中貿易戦争での報復ではないかと思ってしまうのですけれども、ヨウ化水素酸に対する当局の監視はもっと前から行われていました。

2017年10月16日、中国商務省は日本、アメリカから輸入されるヨウ化水素酸に対し、反ダンピング関税措置に向けた調査を開始すると発表しています。調査期間は2018年10月16日までの予定で、状況によっては2019年4月16日まで延長するとしていました。

そして、6月16日、商務部はアメリカと日本から輸入されたヨウ化水素酸について、ダンピング行為があったと認定。中国のヨウ化水素酸産業が受けている損失とダンピングとの間に因果関係があると判明したことから、アメリカと日本からの輸入ヨウ化水素酸製品に対し、輸入業者に各会社のダンピング比率(41.1%~118.8%)に従って定められた金額を、中国税関に対し保証金として支払う措置を6月23日から発動させています。

そして、今回の反ダンピング関税措置です。けれども、これは元々、反ダンピング関税措置に向けた調査期限は10月16日としていましたから、今回の反ダンピング関税は期限通りに調査した結果ということになります。決して思い付きでいきなり関税を吹っ掛けたという形ではありません。

"一応"手順を踏んでの動きです。

中国は9月11日に、アメリカが反ダンピング関税を巡る世界貿易機関(WTO)の勧告を順守していないとして、アメリカに年間70億ドル規模の制裁措置を科す承認をWTOに求める方針を示しています。

これは、アメリカが電気、金属、鉱物などを対象に年間総額84億ドルの中国輸出品に課した不当廉売関税を巡り、中国側が2013年にWTOに申し立てを行ったもので、中国は、不当廉売関税による損害は年間70億4300万ドルに上り、同規模のアメリカ製品に対し制裁措置を求めるとしていました。

WTOは2016年に中国の訴えを認めていますから、中国はWTOの後ろ盾を得た上で制裁をしようとしている訳です。勿論、これは米中間の報復関税合戦で、自分に非はないとアピールし、世界を味方に付けるためには有利に働きます。おそらく中国もそれを狙っているのではないかと思いますね。

けれども、もはや戦線は貿易問題だけに止まりません。ウイグル自治区での弾圧などの人権問題、南シナ海の人工島など、他の問題でも叩かれています。

脛に傷があり過ぎる中国はWTOだけ世界標準に従ったとしても、それで世界が味方をしてくれるとはあまり期待できないと思いますね。

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