空母「いずも」にF35Bが搭載される日

 
今日はこの話題です。

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この度、政府は12月中に纏める新たな「防衛計画の大綱」に海自の「いずも」型護衛艦の空母化や、F35Bの導入を明記する方向で検討していることが明らかになりました。

11月27日、岩屋毅防衛相は閣議後会見で、いずも型護衛艦について「せっかくある装備なので、できるだけ多用途に使っていくことが望ましい」とし、F35Bの導入についても「短い滑走路で離陸できる性能を持った航空機だ。航空機体系全体をどうするかの一つとして検討している」と述べています。

従来の政府見解では、遠方に攻撃戦力を投射できる空母の保有は日本が掲げる専守防衛との整合性を問われる可能性があるとされていたのですけれども、それらも含めて今回の防衛大綱の作成時に論点を整理するとしています。

いずも型護衛艦にF35Bを搭載することについては、筆者も2013年7月のエントリー「第三艦隊旗艦『いずも』進水します!」や2015年8月のエントリー「ここは譲れません」で取り上げたことがあります。当時、政府はF35Bを搭載する予定はない、としていたのですけれども、筆者は搭載そのものは可能ではないかと筆者は推測していました。

ここに来てようやく政府もそのことを口にし始めました。

今度纏める防衛大綱の閣議決定に合わせて、F35の取得計画の見直しも始まっています。現在はF4戦闘機の後継機として、F35Aを24年度までに42機導入する計画で順次配備を進めているのですけれども、これを最大100機追加取得する検討に入ったと報じられています。

現在主力であるF15は200機あるのですけれども、既にその半数にあたる100機はこれ以上の改修が難しい状態にあります。どうやらこれをF35に置き換えるということのようです。

これに護衛艦「いずも」の空母化およびF35Bの導入を考えると、このF15から置き換えるF35のうち何機かをF35Bに充てることになるのではないかと思われます。

与党議員の中には「F35のA型であれば60機程度でF15、100機相当の防空能力がある」として、A型を60機、B型を40機の計100機の購入が望ましいと主張する声もあるようです。

果たして「いずも」に何機のF35Bが搭載されることになるか分かりませんけれども、護衛艦にF35Bを搭載となるとこれは、かわぐちかいじ氏の人気漫画で来年実写映画化される、「空母いぶき」そのまんまです。

筆者も「空母いぶき」を楽しく読まさせていただいているのですけれども、「空母いぶき」は政府でも高い評価を得ているのですね。

ある自衛官は「日中間で懸念される有事シナリオが提示されている」とコメントし、別の自衛官も「装備とその運用が緻密に描かれている」と述べているそうです。
また、雑誌『正論』の28年2月号の鼎談「人気漫画『空母いぶき』で考える決断と覚悟」で、小野寺五典・元防衛大臣は「あまりにリアルで驚きました。正直に言いまして、私が防衛大臣のときには、特に尖閣をめぐって中国と緊迫した局面がありました。海上自衛隊の護衛艦が射撃用のレーダーで照射されるなど、さまざまな威嚇行為がありました。そうした中で私たちが経験した緊張感を共有している」と述べています。

また、伊藤俊幸・元海将も「船の中での群司令を中心としたやり取りなどは、よく現場をご存じなんだな、という印象ですね……我が国が置かれた安全保障環境の厳しさや防衛問題を知るきっかけとして、ぜひとも多くの方に読んでいただきたい作品ですね」と評価しています。

元防衛相が「あまりにリアルで驚いた」といい、元海将が「よく現場をご存じ」という程のものですから、実際の日本の防衛の現状をしる切っ掛けになる作品といっていいでしょう。

いよいよ、その「空母いぶき」の世界が「空母いずも」となって現実化する訳です。

ただ、本当に現実に出来るかというと、そう簡単な話ではありません。

先の鼎談に同じく参加した評論家の潮匡人氏は「将来、空母として本格運用するなら、哨戒機など戦闘機以外の航空機も搭載する必要があるが、もしF-35Bを10機も搭載すれば、哨戒機を搭載できるスペースがなくなってしまう」と述べ、本来の任務である対潜水艦作戦が出来なくなると指摘しています。

そして更に、海上自衛隊には戦闘機を操縦できる自衛官もおらず、戦闘機運用の実績もないことから、海自の護衛艦に、空自が導入するF35B搭載したら、それで「空母」になるわけではないと述べています。

まぁ、確かに現状の枠組みの中で考えればその通りでしょう。けれどもその枠組みが枷になるのであれば、政治の力でその枠そのものを壊すなり、拡張してしまえばいいだけのことです。

「空母いぶき」では、航空自衛隊の戦闘機パイロットだった主人公が「空母いぶき」の艦長となります。組織の論理からいけばそんなことは有り得ないのかもしれませんけれども、政府が「いずも」を空母化すると決めれば、そうなります。もしも組織の論理がその障害になるのであれば、組織から見直しすればいいだけのことですね。

旧帝国陸軍と海軍は不仲だったと言われていますけれども、日本国を守るという観点に立てば、組織の壁や何やらで喧嘩などしている暇など無い筈です。必要なことを適切に行って、国防力を増強していただきたいですね。

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