ファーウェイ排除は中国2025のブレーキとなるか
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「妖印刻みし勇者よ、滅びゆく多元宇宙を救え」連載中!
12月9日、アメリカのライトハイザ-通商代表部代表は、CBSの番組でファーウェイの孟晩舟CFOがカナダで逮捕され、アメリカが引き渡しを求めている問題について「この問題を巡る中国の見方を理解できるが、これは刑事事件だ。私が取り組んでいることと完全に切り離されている」と中国との通商協議とは別の問題であると述べました。
その上で、中国の知的財産権侵害や制裁違反などに対する取り締まりが拡大しており、中国企業に対する刑事事件が今後も出てくる可能性は高いと指摘しました。
中国政府は駐日アメリカ大使を呼び、「強く抗議(strong protest)」したそうですけれども、件の孟CFOが7つのパスポートを所持していると報じられている状況で、あそこまでムキになって、孟氏を庇う姿を見せたら、グルではないかと見られかねません。
しかも孟CFOは7つのパスポートをアメリカに33回出入りする中で目的に分けてパスポートを使い分けていた上に、そのパスポートも名前や年齢など架空のものを使っていたそうですから、スパイ疑惑も当然といえます。
香港の新聞は「中国と香港でパスポートを同時に保有することはあり得ない。唯一の可能性は中国政府に認められた特権スパイだということ」と述べているようですけれども、まぁそういうことですね。
ライトハイザ-通商代表部代表が述べているように、もしも、ファーウェイ以外の中国企業でも同じような刑事事件が起ったなら、中国に対する世界の目は増々厳しいものになることは間違いありません。
更に、ライトハイザ-通商代表部代表は、今月1日に開催された米中首脳会談で、米中間の構造的変化に関する協議を90日延長し、アメリカはその間、対中制裁関税の引き上げ猶予が決まったことについても、3月1日が「厳格な期限」だと考えているとして、中国が意義のある構造改革やアメリカ製品への市場開放を進めない限り、2000億ドル相当の中国製品への関税を10%から25%に引き上げると警告しました。
ここでいう構造的変化とは、中国の知的財産権侵害や外国企業への技術移転強要といった、これまで中国が行ってきたやり方を変えるというものです。
中国政府は国家戦略として策定した『中国製造2025』で、2025年までに半導体などキーパーツの7割を国産化することを目指しています。けれども、その技術が他国から盗み出すことを前提として計画されているとするならば、とんでもないことです。
アメリカははっきりと、中国の知的財産権侵害を初めとする技術の盗み出しに警鐘を唱え、排除を始めました。
12月10日、菅義偉官房長官は会見で「情報の窃取、破壊、情報システムの停止など悪意のある機能が組み込まれた機器を調達しないことが極めて重要だ」と指摘し、ファーウェイとZTEの製品を政府調達から事実上、排除する方針を公表しています。
菅官房長官は悪意のある機能として「情報の窃取、破壊、情報システムの停止」と具体的な例を出しているところをみると、それを疑わせる機能が例の"余計なもの"の中から見つかっているのかもしれません。
このファーウェイとZTEを排除する政府方針に対し、民間も従う動きを見せ始めています。
10日、共同通信は「携帯大手3社がファーウェイとZTEの製品を、通信設備から排除する方針を固めた」と報じましたのに対し、NTTドコモは「現時点で確定したものはない」とした上で、現在のLTEサービスのネットワーク設備でファーウェイ、ZTEの製品は用いてない、とコメント。
KDDIは「決まった事実はない。5Gの機器としてファーウェイを採用するかしないかは未定……今後の動向を注視して、適切な対応を検討する」と述べています。
決まった事実はないといっていますけれども、報道そのものを否定している訳ではありませんから、そちらの方向で検討が進んでいる可能性は高いと思いますね。
また、先日、大規模通信障害を起こしたソフトバンクは「決まった事実はない。日本政府の方針を注視しており、政府の方針に準拠する方向だが、今後についてはさまざまな検討をしていく」とし、2020年に商用化される5Gについても「政府の方針に準じる」と早々に政府に従うとコメントしています。
また、来年10月に新たに携帯電話事業に参入する楽天も、三木谷浩史会長兼社長が、「中国メーカーの基地局は使わない」と宣言しています。
アメリカ以外の他国でも、今年8月にオーストラリア政府は、ファーウェイとZTEを、予定されている5G関連事業を請け負う企業の候補から除外すると発表。9月にはインド通信省が、ファーウェイとZTEを5Gネットワーク機器のサプライヤー候補から除外したと発表しています。
中国の『中国製造2025』では、2016年からの第13次5ヶ年計画に「5G技術と超高速通信技術を積極的に推進し、5Gの商業化を急ぐ」となっていますけれども、ここにきてのファーウェイとZTE排除の流れは中国にとって痛手となるでしょうね。
ジワジワと追いつめられていく中国。米中首脳会談で区切られた90日で如何なる答えをアメリカに用意してくるのか。要注目ですね。
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