今日はこの話題です。
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12月26日、政府は国際捕鯨委員会からの脱退を正式に発表しました。
菅義偉官房長官は談話で、今年9月のIWC総会に関し「条約に明記されている捕鯨産業の秩序ある発展という目的はおよそ顧みられることはなく、鯨類に対する異なる意見や立場が共存する可能性すらないことが誠に残念ながら明らかとなった」とし「この結果、今回の決断に至った」と説明しました。
IWC脱退の決め手になったのは、2014年に日本の南極海での調査捕鯨中止を命じた国際司法裁判所の判決だったと言われています。
裁判で原告国のオーストラリアはIWCの目的が「捕鯨産業の秩序ある発展」ではなく、鯨類の保存に「進化した」と主張したこともあり、持続可能な捕鯨を柱として調査捕鯨を続けることが難しくなった訳です。
今回の脱退については、水産庁と外務省との間で激しい駆け引きがありました。
水産庁は「反捕鯨国は政治的立場からいかなる捕鯨にも反対している」、「クジラを諦めればマグロなどの水産資源も同様の危機に陥る」、「調査捕鯨の継続は困難」などの理由を掲げたのに対し、外務省は「国際機関から脱退することは国際社会に背を向ける」、「東京五輪や即位の礼、G20首脳会議へ影響をもたらす」、「国連海洋法条約違反で提訴されるリスクがある」と脱退後の否定的側面を強調しました。
結局、最後は政治判断で脱退することに決まりました。日本の将来を見据えた判断だと信じたいですね。
では、実際、IWCを脱退したらどうなるか。
それについて産経新聞が「IWC脱退 Q&A 日本の捕鯨はどう変わる」の記事で解説しています。
記事によると、「今後、南極海での調査捕鯨ができなくなって、南極海産の鯨肉は市場から消える一方、ミンククジラなど日本近海産の鯨肉が市場に供給される」、「欧米諸国などが国際社会での圧力を高め、シー・シェパードなどの反捕鯨団体はあらゆる手段で妨害活動を強める恐れがある」としています。
筆者は2008年に捕鯨問題について連続エントリーをしたことがあります。
捕鯨問題について考える その1筆者はこれらエントリーの中で、捕鯨問題の奥には日本と西欧社会の「動物に対する考え方の違い」が横たわっているのではないかとし、人間が動物を食べることが許されるには「各々の動植物がなるべく長く一族の繁栄を続けられるように配慮している」という条件があるのではないかと述べました。
捕鯨問題について考える その2
捕鯨問題について考える その3
捕鯨問題について考える その4
捕鯨問題について考える その5
捕鯨問題について考える その6
捕鯨問題について考える その7
捕鯨問題について考える その8
捕鯨問題について考える その9
捕鯨問題について考える その10
今回日本がIWC脱退した理由の一つに「クジラが増えすぎてサンマやイカなどを含む小魚が食べられてしまい、生態系が崩れる懸念があったからだ」とも言われています。
また、オーストラリアでは増え過ぎたクジラを狙って、ホオジロザメが沿岸部にまで集まってくるようになり、その結果サーファーが襲撃され、死亡事故が頻発しているという話もあります。
人間が自然の管理者だとする西洋と、自然とは共生すべきと考える日本の対立。おそらく、その答えは自然そのものが教えてくれるのではないかと思いますね。
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