今日はこの話題です。


先週末、NNNと読売新聞が週末に行った世論調査で、不正統計問題をめぐる厚生労働省の「組織的な隠ぺいはなかった」とする説明に85%の人が「納得できない」と答え、国の統計が不適切に処理されていた問題は、省庁の信頼性に「影響する」と答えた人も80%に達しました。
その一方、安倍内閣を「支持する」と答えた人は、先月から2ポイント増え49%、「支持しない」は5ポイント減り、38%となりました。
昔でしたら、省庁の不祥事は内閣の不始末ということで退陣に追いやられるケースが普通にありました。実際、第一次安倍内閣の消えた年金問題もその一つでした。
ところが、今回は逆に支持が増えている。モリカケの時もそうでしたけれども、今の国民は内閣と官僚を分けて考えるようになったのかもしれません。あるいは、民主党政権の経験を得て、一時の衝動で総理の首を取ってもよいことはないというのを身に染みたのかもしれません。非常に現実的だと思いますね。
そのほかにも色んな要素はあると思いますけれども、結果として今の安倍内閣は長期安定政権となっている訳です。
今回の世論調査では、北方領土の返還に向けたロシアとの交渉については、「2島の返還を先に実現し、返還交渉を続ける」が53%と過半数を維持しているのですけれども、領土問題が解決に向かうかどうかの質問には「思わない」が、去年11月から7ポイント増え69%となっています。
安倍総理は何かにつけてロシアとの領土問題を解決すると口にしていますけれども、それでも領土問題は解決しないという回答が7割近くを占めるということは、それだけロシアの強硬な姿勢に、こちらも冷静な判断を下しているのではないかと思いますね。
そういう中、日韓関係については、韓国が受け入れがたい主張をしている限り、「関係が改善しなくてもやむを得ない」が71%と、「韓国に歩み寄ることも考えるべき」の22%にトリプルスコアの大差をつけています。
最早、率だけでみれば、北方領土問題が解決しないと思うレベルで、日韓関係が改善しなくても構わないと国民は思っているということですね。
28日安倍総理は国会で施政方針演説をしましたけれども、その中で今まで触れていた韓国について、ほぼ全く言及しなかったと話題になっています。
安倍総理の施政方針演説については、総理官邸のホームページで公開されていますけれども、外交については「地球儀俯瞰外交の総仕上げ」という項目で触れています。
安倍総理が取り上げた国々とそのコメントは次の通りです。
・日中関係は完全に正常な軌道へと戻りました確かに韓国は出てきません。あえて言えば、北朝鮮との関係で一言「単語」が出た程度です。
・ロシアとは、領土問題を解決して、平和条約を締結する
・北朝鮮の核、ミサイル、そして最も重要な拉致問題の解決に向けて、国交正常化を目指します。
・中東地域の国々とは、日本独自の視点で積極的な外交を展開してまいります。
・躍動するアフリカはもはや援助の対象ではありません。共に成長するパートナーです。
この安倍総理の演説について、主要韓国メディアは一斉に「意図的な無視戦略」とか、「中東やアフリカにも言及したのに最も近い韓国には触れなかった」と批判していますけれども、触れる触れないでいえば、安倍総理はアメリカにも触れていないのですね。
安倍総理の演説にアメリカが出ていないことは問題にならず、韓国が出ていないことは注目される。ある意味、米韓双方の日本との関係がよくわかる話であるといえます。
それ以前に、今の日韓の状況下で、安倍総理に韓国について一体何を話せというのでしょう。
仮に韓国について取り上げるたとしても、元徴用工判決、火器管制レーダー問題に触れないわけにはいかない。触れたら韓国は速やかに条約違反状態を改善し、火器管制レーダー照射について謝罪と再発防止策を示せというしかない。
そんなことはとっくに言っていますし、菅官房長官も何度も取り上げています。
この問題は韓国が自らの手で解決へと動かない限り、一歩も前に進みません。
つまり日本が動いてどうにかなる問題ではなく、日本が動く理由もありません。そんなことに態々日本がリソースを割く必然性もない。
施政方針演説は、国会でなすべき事項についての方針を述べるものです。今の日本には、もっと他にすべき事が山のようにあるのです。日本が自分で動いてもどうにもならないことを取り上げたとて、出来もしないことを言ったと野党らの攻撃材料になるだけです。
これがもし韓国側に事態を解決しようという意欲と姿勢がみられるのならまだしも、元徴用工判決では日本からの協議要請を拒絶し、火器管制レーダーは照射の事実を認めないばかりか日本が威嚇飛行したと逆切れする。
そんな相手を放置したとて、少なくとも道義的負い目を感じる必要はありません。
世論調査でもはっきり出ていますけれども、韓国と友好関係を云々なんて声は限りなく小さくなるばかりです。
火器管制レーダー照射問題に対応する岩谷防衛相への風当たりを見る限り、韓国と融和してなんて意見は、たとえ形式上のものであったとしても、もはや世論が許さない感すらあります。
近い将来を考えると、いつまでも韓国を相手にするよりは、韓国が北朝鮮に併合された後の日本の安全保障について想定し、準備を進めたほうがよいと思える程です。
その意味では、文在寅の本性というか、韓国の「日本に対する恨」という宿痾を目の当たりにしていることは、悪いことばかりではないと思いますね。
安倍総理は施政方針演説で何度も「平成の、その先」という言葉を使いましたけれども、平成のその先は、半島が丸ごと「日本を仮想敵国」とした時代であるかもしれないと想定した上で安全保障を考えるべきではないかと思いますね。
この記事へのコメント
三角四角
【 gooブログ 〔 新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ 〕
[ 戻らぬ北方領土を選挙利用する政治 ] 2019年01月24日 | 国際
「 期待値だけ高めた愚 」 2019年1月24日
北方領土問題を含む平和条約交渉について、日ロ首脳会談は何の進展のないまま終わり
ました。安倍首相は「相互に受け入れ可能な解決策を見出す決意を共有した」と述べ、菅
官房長官は「2019年における日ロ関係の素晴らしいスタートになった」と総括しました。
政治は建前しか語らないことが多いので、このような発言になったのでしょう。
それにしても、期待値だけ高める政治手法に国民は「もういい加減してくれ」という
気持ちでしょう。国際情勢、ロシアがどうなっているか分からない数十年先はともかく、
ロシアには4島はおろか2島を日本に返還するつもりはないことが、ますますはっきり
してきました。領土返還をあてにしないで「ロシアは4島の不法占拠を続けている。一括
返還すべきだ」との批判だけは続けるという姿勢のほうが賢明です。 (以下省略) 】
三角四角
『 先週末、NNNと読売新聞が週末に行った世論調査で、不正統計問題をめぐる厚生労働
省の「組織的な隠ぺいはなかった」とする説明に85%の人が「納得できない」と答え、国
の統計が不適切に処理されていた問題は、省庁の信頼性に「影響する」と答えた人も80%
に達しました。
その一方、安倍内閣を「支持する」と答えた人は、先月から2ポイント増え49%、「支持
しない」は5ポイント減り、38%となりました。
昔でしたら、省庁の不祥事は内閣の不始末ということで退陣に追いやられるケースが
普通にありました。実際、第一次安倍内閣の消えた年金問題もその一つでした。
ところが、今回は逆に支持が増えている。モリカケの時もそうでしたけれども、今の
国民は内閣と官僚を分けて考えるようになったのかもしれません。あるいは、民主党政権
の経験を得て、一時の衝動で総理の首を取ってもよいことはないというのを身に染みたの
かもしれません。非常に現実的だと思いますね。 』
国民の事、安倍首相は「馬鹿だな、すぐ忘れる」と思って居るかも知れません。
支持率が下がると、容易に解決しない外交問題を持ち出して、然も、一所懸命取り組んで居ますよと、ポーズを示すだけで内閣支持率が回復するもんだから、日本国民はチョロイと考えて居るのかも。
後3年弱の任期を全うする為、ピンチが訪れたら、北朝鮮・拉致カードを切るかも知れ
ません。
国民も好い加減に安倍首相の行動パターンを把握して、「やるやる」詐欺に騙されない様
にして、悪政が見過ごせ無くなったら、躊躇なく、レッドカードを切りましょう!