枝野代表は新しいマーケットへ船出できない

 
一昨日の続きです。

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一昨日のエントリーで立憲民主の枝野代表が都内で開いた全国幹事長・選挙責任者会議で、衆院選の候補者擁立作業も急ぐよう指示すると共に、参院選の1人区で、他の野党と候補者一本化を目指す方針を出していることを取り上げましたけれども、枝野代表は同じ会議で「いつあちらが我慢し切れなくなって解散に打って出ても、われわれが躍進して政治の流れを大きく変えられるようにやっていきたい」と、選挙戦略として、既存の政治に不信感を持ち、これまで投票してこなかった有権者層を「新しいマーケット」と捉えて浸透に努めるよう求めています。

これまで投票してこなかった有権者層というのは、文字通り投票率にカウントされていない層のことです。

過去の国政選挙での投票率はというと、平成29年10月に行われた第48回衆議院選挙では53.68%。平成28年7月の参議院選挙では、54.70%でした。つまり、率だけでみれば、4割近くが「新しいマーケット」に見えなくもありません。

ここで、この約4割を更に年齢別にみると、直近の衆院選では10歳代が40.49%、20歳代が33.85%、30歳代が44.75%、40歳代が53.52%、50歳代が63.32%、60歳代が72.04%、70歳代以上が53.52%。直近の参院選でも、10歳代が46.78%、20歳代が35.60%、30歳代が44.24%、40歳代が52.64%、50歳代が63.25%、60歳代が70.07%、70歳代以上が60.98%と若年層と中高年層で投票率に大きく差があります。

30歳代の投票率は、60歳代の投票率の半分しかありません。逆にいえば、「新しいマーケット」の大部分は若年層に広がっている。ブルーオーシャンは若年層にあるということです。

ところが若年層が立憲民主などの野党を支持しているかというとそうでもありません。

こちらのブログでは年齢層別の政党支持率をまとめていますけれども、若い世代には自民党が支持が高く、一方、60代の世代では立憲民主党や共産党の支持が比較的高い傾向があることが明らかになっています。

つまり、支持層の主体が中高年層の立憲民主は、若年層の掘り起こしもやらなければならないということです。

若年層が自民を支持しているということは、現状維持を好むかまたは野党に対してより保守的傾向が強いということです。要するに立憲民主が「新しいマーケット」を開拓するには、保守側にもウイングを拡げる必要があるという訳ですね。

外からみてどう見えるかは別として枝野代表は自身を「保守本流」だと位置づけています。

昨年7月、野党6党派が内閣不信任案を提出した際、枝野代表は衆議院本会議で不信任案の趣旨説明の中で「立憲主義とは、どんな権力も憲法というルールに基づいて運用されなければならないという考え方であり、近代社会の大前提であります。憲法とはまさに歴史と苦難の中から先人たちが積み重ねてきた社会の大前提となるべきルール……まさに立憲主義も保守主義も同じ考え方でありますので、私こそが保守本流であるということを自信を持って皆様にお訴えしているところであります」と述べています。

つまり、枝野代表自身は保守層にもアピールしたいという考えを持っているとも言えます。枝野代表が、自由党の小沢代表の野党共闘の呼びかけを迷惑だと拒絶するのも、保守本流ではないじゃないかというレッテルを貼られるのを嫌った故かもしれません。

けれども、残念ながら、世間というか、立憲民主支持層はそうは思っていません。

1月4日、枝野代表らが伊勢神宮を参拝し、立憲民主党の公式ツイッターに「本日4日、枝野代表は福山幹事長らと伊勢神宮を参詣し、一年の無事と平安を祈願しました」と投稿したところ、立憲民主の支持者らからの猛抗議が殺到し、大炎上しました。

批判投稿を一部引用すると次のとおり。
「枝野の意識はもう国民の側にはない。自民一強をさけるだとか寝とぼけるな。もう野党のままで責任放棄しますといってる話ではないか。政権を取るとはっきり言わないところがもうダメなのだ。伊勢神宮なんか靖国の代わりに参拝してるんじゃないよ。マインドは靖国参拝とまったくおなじだ、ダメ男」

「国会始まってないんだから、せめて議員バッジ外していって下さいよ。御党に投票した人達は様々な信仰を持ってるんです。それじゃ自民党と同じじゃないですか? 私は一般の会社の安全祈願強制参加だって昔からおかしいと思ってます。ツイートを上げる必要もありません。何の為にあげたんですか?」

「どこの誰に向けられたメッセージなのでしょうか? 立憲民主党の皆さんは、どこの誰の票を取りにいかなければならないのかを理解した上で、こういうアピールをしているのでしょうか? そこに、『眠っている』浮動票はありますでしょうか?」

「伊勢神宮参拝を『日本人として普通の行為』と捉えているのかもしれませんが、とても危険な感覚です。私はクリスチャンなので初詣には行きませんが、それが『普通の日本人』ではない=非国民、とみなす考えに繋がりかねません。立民パートナーズ辞めます。支持層に背中を向ける行為です。どなたかがツイートされていましたが、伊勢神宮なんかに行かず、辺野古に行くべき、そう思います」

「神社本庁→日本会議。参拝者に改憲を呼び掛ける署名集めしている神社本庁の元締めのような伊勢神宮に参拝ですか。枝野党首を始めとして立憲民主党は戦前回帰を願う政党なんですか? 私は10年以上前から神社には行っていません。広島原爆の灯を灯し平和を願う四国88番札所大窪寺には参拝します」
まさに大炎上です。

けれども、過去、民主党時代には、2003年、2004年に菅直人氏、2005年には岡田氏、2006年には前原氏と、当時の党首がそれぞれ伊勢神宮に参拝しているのですね。

ところが、立憲民主の枝野代表は、伊勢神宮を参拝しただけで批判の嵐です。

勿論、こんな過激な批判をするのは、立憲民主支持層の極一部かもしれません。けれども、民主党時代は代表が伊勢神宮に参拝したからといって炎上することはありませんでした。それを考えると立憲民主の支持層は旧民主党のそれより、より左に寄っている可能性があります。

これについて、ある政治担当記者は「分かりやすく言えば、"中道右派"と"中道左派"が"極右"と"極左"に分裂したイメージです。つまり、立憲民主党の支持者には"急進的左派"が少なくないことが、今回の炎上騒動で浮き彫りになったと見るべきでしょう。『赤旗』の主張と近似しているのは偶然ではありません。それが、枝野代表の『安倍政権には反対だが、新年は伊勢神宮に参拝する』という中道的な行動が攻撃された理由です。そもそもネット上では、極論が目立つ傾向があります。一般の有権者は、枝野さんが伊勢神宮に参拝したことに、普通は何の異論もないと思います」と指摘していますけれども、本当にそうかもしれません。

枝野代表としては、自分こそが「保守本流」だと謳い上げて、安倍政権に批判的な中道左派を取り込みたいと思っているのかもしれませんけれども、なんのことはない、足元の全然「保守本流」ではない勢力に足を引っ張られているというわけです。

その点では、まだ自民党の方が懐があります。

先日、民主党政権で環境大臣などを務めた細野豪志衆議院議員が、無所属のまま自民党二階派に加わり話題になりました。

細野氏は自民党入党を目指していると伝えられていますけれども、これについて2月5日、二階幹事長は記者会見で「立派な素質を持っている国会議員がわれわれとともに政策をやってくれる。自民党に新鮮な意見を積極的に注入してくれることを期待している……私は喜んで入党を歓迎する。入党にあたり、過去のことをいちいち説明したり審議したりするというのは聞いたことがない。自民党は謙虚に受け入れる雅量がなければダメだ」と述べています。

勿論、選挙となると選挙区で細野氏と議席を争う岸田派の元議員との調整があり、難航が予想されますけれども、それで二階幹事長なり、自民党のツイッターが炎上するとか、猛抗議が押し寄せたなどとは聞きません。

こうしたことを見る限り、旧民主党の分裂は、いわゆる急進左派の支持者を集めて固定化し、却って党としての柔軟性を失わせる結果となっているような気がしますね。

この状況では枝野代表が期待する「新しいマーケット」の獲得は相当厳しいのではないかと思いますね。

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