文在寅政権に対する軍事クーデターは起こり得るか
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韓国の文在寅大統領の支持率が2ヶ月ぶりに50%台に回復しました。
2月11日、韓国の世論調査会社、リアルメーターが発表した文在寅大統領の支持率は50.4%で、前週より1.6ポイント上昇。不支持率は0.4ポイント下落の45.4%です。
リアルメーターの調査で支持率が50%を超えたのは昨年11月第3週の52.0%以来、11週ぶりのことで、リアルメーターは、昨年末から本格化した経済活性化と雇用創出への取り組みや、2回目の米朝首脳会談開催決定などがプラスに作用したと分析しています。
ただ、回復したといっても50%を超えた程度であり、就任直後には80%を超えていたことと比べれば見る影もありません。
反日は元より、積弊清算を掲げて、朴前政権の政策見直しを進めている文在寅政権ですけれども、韓国の大手マスコミの中には、「積弊清算で前政権がやったことは頭ごなしに否定される。こうした問題を扱うことに疲弊している雰囲気もあるんです」と、積弊清算絡みの報道に疲弊しているという声もあります。
文在寅政権の「積弊清算」は軍にも及んでいるという指摘もあります。
2017年3月、当時の朴槿恵大統領の弾劾を求める「ロウソク集会」と朴大統領を支持する「太極旗デモ」が激しく展開していた時のこと、韓国の機務司は戒厳令布告を検討する文書を作成しました。
この計画について、昨年7月、「共に民主党」所属の李哲煕議員が暴露すると、その翌日には「軍人権センター」と名乗る市民団体が、67ページにおよぶ「計画」原文と「戒厳令発令時のソウル市内の兵力投入配置図」を公表しました。
その配置図には、軍はデモ隊を鎮圧するためソウルの中心部に戦車200台、装甲車550台、特殊部隊員約1400人を含む計4800人の武装兵力を投入するつもりだったと記されています。
連日の報道に、すわクーデターか、と韓国世論は色めき立ち、検察と軍検察から37人を集めた合同調査団が組織されました。
計画文書について機務司機務副隊長の閔炳三大尉は、国会の国防委員会常任委員会で「7月9日の時点で宋永武国防相は、『戒厳令文書は問題ないものだ。法曹界に照会してみたが、あくまで最悪の事態にそなえて作ったもの』との認識だった」と証言していたのですけれども、合同捜査団は104日かけて朴槿恵前大統領、金寛鎮前安保室長、ジョ・ヒョンチョン前機務司令官など204人に対して取り調べを行い、陸軍本部、大統領記録官にも家宅捜索をしました。
けれども「内乱陰謀」や「クーデター未遂」に関する証拠や証言は全く見当たりませんでした。
昨年11月7日に合同捜査団は捜査を中断すると発表。虚偽公文書作成という全く別の取るに足らない容疑で機務司令部将校3人が拘束されただけに終わりました。
ただ、この間に機務司令部は対北朝鮮宥和派に入れ替えられ、アメリカに気を使う国防長官も交代されることとなり、一部では文在寅政権が偽「クーデター情報」で軍情報機関掌握を図ったのではないかとも噂されています。
こうした背景もあって、最近の文在寅政権は、軍の人事に過剰介入して圧力をかけているのではないかというスキャンダルが浮上しています。
たとえば、青瓦台「人事首席秘書官室」の30代の若い行政官が休日、陸軍参謀総長をカフェに呼び出し「人事に関する意見交換」をしていた、というスキャンダルは、軍に対する青瓦台の「権威と権力」の異常な大きさを示す事例として批判されています。
また、韓国国防省の内外には、自衛隊P1哨戒機への火器レーダー照射の直後、該当艦の艦長に事情聴取を試みた海軍参謀総長に対し、青瓦台が調査しないよう圧力をかけ、艦長にも調査を拒否するよう指示があったとのスキャンダルも噂されています。
本当であれば、文在寅政権下の韓国軍はかなり北朝鮮寄りになっている可能性があります。
そんな中、今年1月30日、韓国の予備役将軍450名がソウル市内に集まり「大韓民国守護予備役将軍団」なる団体を結成しました。
団体は、金東信、権寧海、金泰栄の3元国防長官のほか、金在昌・元韓米連合司令部副司令官、李弼燮・元合同参謀本部議長、李秀勇・元海軍参謀総長、李億秀・元空軍参謀総長、李相武・元海兵隊司令官、朴煥仁・元海兵隊副司令官の9名を共同代表とし、関係者によると、団体に所属する将官の階級を示す『星』の数を合わせると1500個にもなるそうです。
大韓民国守護予備役将軍団は、文在寅政権の国防政策に反対を唱え、現役軍人らに政権への不服従を促す「大韓民国国軍に告ぐ」という声明を発表しています。
その声明文は、国家基本問題研究所(JINF)のサイトで公開されていますけれども、声明文では、「国軍指導部は、憲法を無視して安保を崩す南北軍事合意書の廃棄を2月中に決議せよ!」とし、祖国を守れ、9.19南北軍事分野合意書を廃棄し安保の力を取り戻せ、北朝鮮軍が主敵であることを忘れるな、米韓同盟を死守せよ、政治家に諂う軍首脳は辞任せよ、と求めています。
南北軍事合意書とは昨年9月19日に北朝鮮と韓国との間で結ばれた、南北間の軍事的な緊張緩和策を盛り込んだ合意書のことです。
合意書の内容は、非武装地帯(DMZ)にある監視所の試験撤収のほか、板門店の共同警備区域の自由往来など、南北の平和体制構築に向けた包括的なもので六つの項目で構成。細目は22に分かれ、具体的なプロセスや対象範囲を記した付属書も付いた計24ページの文書です。
大韓民国守護予備役将軍団は声明書で、現国防部長官である鄭景斗氏が主な指揮官会議ごとに軍事分野合意の誠実な履行と戦時作権転換を急げと指示していると主張しています。
鄭景斗氏は昨年9月21日に国防相に就任。昨年のクーデター騒ぎに乗じて、文在寅政権が差し替えた人物です。鄭景斗国防相は、かつて日本の航空自衛隊幹部学校で研修を受けた経歴の持ち主ですから、先般の火器管制レーダー事件は、韓国に非があることは100も承知のはずです。それが、文在寅政権の意のままに、レーダー照射はしていないだの日本哨戒機が威嚇低空飛行をしただの強弁している。
傍からは、自国の安全保障を蔑ろにし、日本との関係をぶち壊しているようにしか見えません。
大韓民国守護予備役将軍団が声明書で鄭景斗国防相が文在寅政権に諂っていると断じるのもむべなるかな。
大韓民国守護予備役将軍団は、3月1日の三・一独立運動記念日に合わせて該当集会を開き、米韓同盟の断固たる維持と、北朝鮮の核廃棄がないままで朝鮮戦争の終戦宣言を行うことへの反対などを主張するとしています。
更に、3月1日の集会では週末にソウルで街頭集会を主催してきた保守系の諸団体と連帯する案も検討しているようです。
過去には陸海空各軍の士官学校卒業生有志の同窓会、特殊作戦部隊である特戦軍や海兵隊のOB会など韓国軍関連の諸団体が太極旗デモに参加した例はあるのですけれども、予備役将軍らが大挙して反文在寅街頭集会に参加するのは今回が最初なのだそうです。
また、文在寅政権に異を唱えているのは軍OBだけではありません。
1月15日、韓国の金錫友・元統一部次官や大使経験者ら元外交官42名が「伝統友好国との危篤状態の外交安保懸案を至急に解決しなければならない-韓・米・日の安保協力体制を早く復元せよ」と題した文在寅政権の対米、対日外交を批判する緊急声明を発表しています。
こちらは、徴用工問題での大法院判決を批判し、補償は韓国政府が行えと主張しています。
つまり、文在寅政権は元軍人から安保政策を、元外交官は外交政策を、そして国民および一部韓国マスコミは国内経済を批判されているというわけです。まさに四面楚歌の様相を呈しています。
一部では、文在寅政権に対する本物の軍事クーデターが起こるのではないかともいわれていますけれども、軍首脳が文在寅大統領に忖度する者たちばかりなのであれば、そうそう簡単にクーデターが成功するとも思えません。
もし、あるとすれば、文在寅大統領の支持率がもっと落ちて、それこそ毎週のようにローソクデモが行われ、弾劾されるような段階になってようやく、という気がします。
大韓民国守護予備役将軍団も建前かどうかは分かりませんけれども、声明文で「国民の為」に文在寅政権を批判していることになっています。国民の支持がないままでのクーデターは難しい。
落ちたとはいえ、文在寅大統領の支持率はまだ、50%ありますからね。
ただ、今後、更に支持率が落ちる状況に陥ることがあるならば、その時は予断を許さない状況になる可能性はあると思いますね。
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