勇み足の文在寅と釘を刺す日本

 
今日はこの話題です。

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画像「妖印刻みし勇者よ、滅びゆく多元宇宙を救え」連載中!

2月20日、安倍総理はアメリカのトランプ大統領と電話会談をしました。

内容は無論、27、28日に行われる第2回米朝首脳会談に向け、今後の方針を綿密にすり合わせるためのもので、北朝鮮の核・ミサイル開発、そして拉致問題の解決に向けて、日米のあらゆるレベルで一層緊密に連携していくことで一致。

会談後、安倍総理は記者団に対し、「米朝首脳会談に向けて対応方針について緊密にすり合わせを行った。特に拉致問題については、いかにご家族が再会を希望しているかという気持ちも含めて伝え、協力を要請した」と述べ、トランプ大統領は、「安倍総理大臣がいかに拉致問題を重視しているか自分もよく理解できた。私も拉致問題を重視する」と拉致問題の解決に協力する考えを示しました。

両首脳は、米朝首脳会談のあとに改めて電話会談を行うことも確認。緊密に協力が維持されていますね。

その前日の19日には米韓首脳電話会談が行われています。

米韓首脳電話会談では、文在寅大統領が会談が北朝鮮の完全な非核化と朝鮮半島の平和体制を築く転換になることを期待するとし、「南北間の鉄道・道路連結から経済協力事業まで、トランプ大統領が求めるなら韓国は役割を引き受ける覚悟ができている。……北朝鮮の非核化措置を牽引するための相応の措置で、韓国の役割を活用してほしい」と述べたようです。

まだ、非核化も終戦宣言も何も出されていない内に、非核化措置を牽引するための相応の措置として経済協力をするというのは、制裁を一部緩和するとほぼ同じです。勇み足も良い所です。

文大統領は、アメリカの負担を減らす道だなどと調子の良い事をいっていますけれども、アメリカの負担を本気で減らしたいと思っているのであれば、在韓米軍駐留費用であそこまで揉めない筈ですし、来年以降も増額するといえばよい話ですからね。

なぜなら、南北間の鉄道・道路連結等々に掛かる費用は、在韓米軍駐留費用よりも遥かに掛かることが予想されているからです。
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2019年の在韓米軍駐留費の韓国負担分は、前年比で8.2%増となる約1兆400億ウォン(約1014億円)であるのに対し、韓国の国土交通省が議会へ報告した南北を走る東海線鉄道の区間の再連結プロジェクトには約20億ドル
(約2200億円)が掛かり、韓国の政府系シンクタンクは高速鉄道「KTX」級を整備した場合、38兆ウォン(約3兆8千億円)が必要だと試算しています。

何せ、北朝鮮の鉄道は区間によっては時速20キロ程度しか出せないほど、老朽化が著しいですから、そちらの補修費用ものしかかってくるでしょう。

また、両国の鉄道方式の統一問題もあります。

北朝鮮の鉄道は韓国と同様、線路の幅が1435ミリメートルの標準レールであるため、線路幅を変える必要はありません。けれども、電力供給システムは異なり、韓国が2万5千ボルトの交流電源を使うのに対し、北朝鮮は3千ボルトの直流電源を使っています。

よって、直交変換の装置が必要になりますし、将来、電力供給システムを統一する際には、電力事情がよくない北朝鮮に対し、発電所や変電所を拡充する可能性とその負担がのしかかります。

更に、アナログ方式の北朝鮮の信号体系を韓国と同じデジタル方式に転換するか等、電力供給システムや設計の基準、各種技術用語など細かい違いを統一していく必要もあります。

そして、南北の鉄道連結は技術的な問題だけではありません。更に周辺国の利害関係も複雑に絡みます。

2014年10月、北朝鮮とロシアは、20年かけ、老朽化した北朝鮮の鉄道3500キロメートルのレールとトンネルと橋梁を刷新する「北朝鮮鉄道拡大化事業」の契約を締結。これは実に北朝鮮全体の鉄道路線の70%に当たるそうですけれども、総事業費は250億ドル(約2兆8150億円)に上ると言われています。

ロシアは、鉄道刷新の見返りにレア・アースの採掘許可を得ると共に、シベリア横断鉄道との連結を念頭に事前準備に入ったという分析もあるようです。

これは、南北鉄道の連結にかこつけて、北朝鮮の既得権を手に入れるだけでなく、大陸から日本にまで達する物流のキーポイントを抑える布石を打ったという見方も出ています。

一方、韓国は南北の鉄道を連結する費用だけ負担して、美味しいところはみんなロシアに持っていかれてしまうのではないかという警戒感が浮上しています。

半島鉄道の利権は当然ながら中国も狙っています。

現在、分断されている南北の京義線高速鉄道を建設する場合、中国が中国横断鉄道(TCR)と連結することを狙って、中国型の高速鉄道にするよう横槍を入れてくることも予想されます。なんとなれば、アジアインフラ投資銀行(AIIB)が北朝鮮への借款を餌に圧力を掛け、無理やりそうさせることだって十分有り得ますね。

ただ、こうした事業も全て北朝鮮ないしは半島の非核化が前提です。

22日、河野太郎外相は、ある記者から文大統領の南北経済協力発言について問われ「韓国が言うのは制裁とは関係がない話であり、これは制裁が解除された後のことだと理解している」と回答。

続けて記者から「北朝鮮が要求する金剛山観光と開城工業団地事業の再開を制裁の例外として認めてはならないということか」との問にも「そのように思っている」と述べ、北朝鮮が非核化の進展を見せない限り、南北経済協力や一部の制裁緩和もあり得ないと念を押しています。

同じ指摘は韓国野党からも出ています。韓国野党「正しい未来党」の河泰慶最高委員は「文大統領は北朝鮮の問題になると理性を失う傾向がある……経済協力は非核化の後に行うべき。トランプ大統領も北朝鮮への投資リスクは高いと見ているのに、なぜ経済に疎い文大統領が投資すると出しゃばるのか。国民の税金は大統領のものではない」と批判しています。

また、韓国の一部メディアも「財政的負担を負うということ。交渉は米朝が行い、金銭面だけ韓国が負担することになりかねない」と懸念を示しています。

これに対し韓国の外交関係者らは「文大統領は"金銭的"や"韓国が全て負担"という言葉は使っていない。拡大解釈だ……むしろ実質的な成果が求められる第2回米朝首脳会談で北朝鮮の非核化措置が行われる場合、アメリカが行う相応措置に韓国が積極的に協力するという意思を示したもの」と反論しているようですけれども、どっちに転んでも韓国が何某かの負担をすると意思表示したことには変わりありません。

北朝鮮への援助を巡って、今後、韓国内でも議論が起こりそうですね。

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