北朝鮮を掌握した金正恩はトランプ相手に取引できるか

 
今日はこの話題です。

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2月24日、北朝鮮の朝鮮中央通信など国営メディアは金正恩朝鮮労働党委員長が27~28日にベトナム・ハノイで開かれる2回目の米朝首脳会談のため、23日午後に専用列車で平壌を出発したと発表しました。

北朝鮮メディアが米朝再会談の場所や日程を報じるのは初めてのことです。

金正恩委員長は、前回の米朝首脳会談の前に行われたマイク・ポンペオ国務長官との会談で「シンガポールには行けない。私が平壌を離れている間にクーデターが起きると本気で心配して震え、泣きついた」とも伝えられていたのです。

それが今回は、会談の4日も前に出発し、本国を長期間不在にすることを公表している。

これについて、メディアは国内外に向けて余裕があるところをアピールしのだと報じています。勿論、そうした面もあるでしょうけれども、筆者はそれ以上に金正恩からアメリカへのメッセージが込められていると見ています。

それは、今度の首脳会談で合意した事項は完全に履行する用意がある、というメッセージです。

20日、アメリカンのウォール・ストリート・ジャーナルは北朝鮮脱出住民団体「北朝鮮戦略センター」が元・現職の北朝鮮高官20人にインタビューを行った報告書を引用する形で、金委員長が北朝鮮の富裕なエリート層の50~70人を粛清し、財産を没収したと伝えました。

ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、昨年末に始まった粛清は北朝鮮の既得権層が蓄えていた外貨の没収が狙いで、これまでに数百万ドルを没収。国際社会の経済制裁の下、アメリカ、韓国との外交活動に反対すると疑われる人物らを排除するとともに、金正恩政権の財政を強化する意図があるとしています。

つまり、金正恩委員長はトランプ大統領に対し、「邪魔者は始末した。北朝鮮国内は完全に自分が掌握している。非核化も問題ない。さぁ取引しよう」というメッセージを送ったのではないかということです。

おそらくトランプ大統領はそのことを知っている筈です。

トランプ大統領は24日、「金委員長は、核兵器を放棄すれば自国がすぐにでも世界有数の経済大国になれることを、おそらくほかの誰よりも分かっている。北朝鮮はその地理と人々のお陰で、ほかのどの国よりも急成長を遂げる潜在能力を秘めているからだ!」とツイートし、2回目の米朝首脳会談について「我々が一対一で話をすると、私は確信している……何が起こるかを皆さんに言うことはできない……実験が行われていないうちは、我々は幸福だ」と指摘し、アメリカが「北朝鮮との関係において実際に何か特別なことをする」ことに成功したと強調しています。

まぁ、トランプ大統領は交渉の達人らしく、その言動からは中々尻尾を掴ませてはくれませんけれども、少なくとも、経済援助を取引カードにして非核化を迫っていることは間違いないでしょう。

実際、北朝鮮に対する経済制裁は相当効いています。

アジアプレスによれば、2017年、国連安保理の制裁決議以来、北朝鮮の貿易額は激減しています。

北朝鮮にとって貿易の9割以上を占める中国からの制裁は破壊的で、中国税関当局の統計によると北朝鮮の対中輸出は2018年、前年比で88%減の約2億2000万ドル。制裁強化前の2016年の約26億ドルと比較すると、その9割、約2700億円を失っています。

中国は今、対米冷戦に突入し、睨まれている状態です。安易に制裁破りの経済支援は出来ません。つまりトランプ大統領は中国と貿易戦争に持ち込むことで、北朝鮮に裏から援助させなくさせた。いわば元栓を閉めさせたわけです。うまいですね。

かつて鉄鉱石を産出し、鉄鉱石の対中輸出で鳴らした「茂山鉱山」を要する町でも、もはや国内の製鉄所向けに少量を採掘しているほかは、稼働がストップ。会社はガソリンを買うカネもなくなり、車両を商売人に貸し出して小金を稼ぐ有様。

採鉱職場の労働者の食糧配給は昨年3月に停止。同7月には中国米4~5キロが支給されていましたけれども、その後は10月末まで何もないまま。食えなくなった労働者の中には、別の稼ぎ口を探すために職場を離脱する人が続出。欠勤・早退する労働者たちは、山に入って薬草や山菜を採って売って糊口を凌いでいでいます。

茂山郡は「困難地域」に指定され、住民に「カミョン」と呼ばれる中国製の乾燥麺やトウモロコシがわずかに支給されるようになったものの、当局は秋以降、無断欠勤を繰り返す者を短期の強制労働キャンプ「労働鍛錬隊」に送り始めたそうです。

北朝鮮の労働環境については、昨年5月、「経済制裁に泣きを入れてきた北朝鮮」のエントリーで述べたことがありますけれども、その当時から何も変わらないどころかよりも更に悪化しているような状況だということです。

それを考えると金正恩委員長にしてみれば、制裁緩和は喉から手が出るほど欲しいはずです。そしてその打開は金正恩の肩に掛かっている。なぜなら、北朝鮮は経済面で完全に包囲網を敷かれてしまっているからです。

貿易の頼みの綱であった中国はアメリカに喉元を抑えられてしまって動けない。それでも、裏で瀬取りをしてくれていた韓国もどうやらバレてしまっていて、これ以上はアメリカを怒らせることにしかならない。

金正恩にとっても一対一でアメリカと話をつけなくてはいけない局面です。

いよいよ迫った米朝首脳会談。トランプ大統領のいう「何か特別なこと」は起きるのか。要注目ですね。

この記事へのコメント

  • 金 国鎮

    トランプの尻に火がついてきた。
    アメリカ議会の力は無視できない。

    トランプと金正恩が何を話をしようとアメリカのドルはトランプの一存では渡せない。
    北の核施設が問題ではない北の多くの政治収容所が問題だ。
    アメリカ人を舐めてはいけない。
    多くの在日朝鮮人が収容されていることを日本の大手メディアと日本人は理解しなければならない。

    金一族とランプの政治生命は長くないだろう。
    金一族に逃げ場はない。
    中国もロシアも北の内部事情をトランプより良く知っている。
    彼らは何故北の飢えた一般住民に無償で食料を援助をしないのだろうか?
    中国東北は大量の食料備蓄を持っている。
    それが証拠には日本のスーパーには大量の中国産の食品が並べられている。
    中国東北と沿海州の間の経済交流は眼は見張るものがある。

    北には既にロシアの利権が入っている。
    金正恩が何を言おうとアメリカはロシアの了解なしに北には踏み込めない。
    金正恩がプーチンと話をせずにトランプと話をする理由だ。

    要は金一族が北の政治から消えればいい。
    南からはムンジェインだ。
    2019年02月27日 13:55

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