韓国は自らの過去を直視しているか

 
今日はこの話題です。

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韓国の世論調査専門機関「リアルメーター」は2月18~20日に全国の成人男女1513人を対象に行った調査を発表しました。

それによると、文在寅大統領の20代の支持率は41.5%で前週より4.3ポイント下落し、文大統領就任以来最も低い結果となりました。一方、文大統領の国政管理に消極的な評価をした20代は51.1%で過去最高を記録。

「リアルメーター」は、20代は他の世代より自由主義傾向が強いため、国が社会を統制することに強い問題意識を抱いていると説明し、その根本には就職や結婚など20代が直面する「劣悪な社会・経済的条件」の影響があると分析しています。

調査結果について「リアルメーター」のクォン・スンジョン調査分析室長は、「昨年末から20代の支持率が良くない状況が続いており、一時的な現象ではない……20代は社会人へのスタートを切る時期だが、失業率が上昇し難しさが増している……20代は理念より個人の利害で投票する傾向が強い。雇用問題が好転する見込みがなければ、ファンダメンタルが悪化している中で来年の総選挙を迎えることになり、20代が予想に反して保守政党を選ぶ可能性もある」と指摘しています。

韓国のネットユーザーからは「他の世代も同じ。文大統領に期待し過ぎていた」、「今となっては朴政権の方がましだった」、「40%超えていることが不思議。周囲に彼を支持する人はいない」、「生活はどんどん苦しくなっている。文大統領を支持し続ける方がおかしい」など厳しい声が飛んでいます。

実際、韓国統計庁が21日に発表した第4四半期の家計所得動向によると、韓国の所得下位20%の月間平均所得は123万6000ウォン(約12万1400円)で、前年同期を17.7%下回り、統計を取り始めた2003年以降で最大の減少となりました。

税金による公的補助金を除けば、約30%の落ち込みで、勤労所得は37%減少。とんでもない数字です。

所得下位20-40%の所得も5%減少、全国の世帯の実に40%(800万世帯)が1年前よりも貧しくなっています。

去年、廃業した自営業者は初めて100万人を超え、低所得層の勤労者が働き口を失っています。

文在寅政権は進歩主義を掲げ、20~30代から強い支持を受けてきました。それが今や若年層からの支持を失っています。

昨年12月8日、ソウル大学、延世大学、釜山大学など100を超える大学で、文大統領を「王」と称し、「彼の偉業に酔いしれてみよう」など皮肉的な論調で政府の一連の政策を批判するポスターが張り出されたと報じられました。

例えば、「経済王・文在寅」では、「113万人の失業人口は通貨危機以降で最高レベル」、「最低賃金8350ウォン(約830円)は小規模事業者を破産に、アルバイトを永遠の失業に追い込んだ」と批判。その他「太陽王」、「寄付王」、「雇用王」、「外交王」、「教育王」、「道徳王」と批判のポスターが並んだそうです。

ポスターを掲出したのは「全大協」という名の団体で、これを製作した25歳の大学生は「兵役後に友人と雑談する中で『大統領と政府は20代の若者の苦悩に無関心』と感じた」と話しているそうです。ポスターの多くは「許可を得ていない」として、その後撤去されたのですけれども、若年層の不満が支持率にストレートに反映したと見るべきでしょうね。
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文在寅政権への不満は若年層だけではありません。

2月20日、韓国・ニューシスは「憲法裁の弾劾決定から2年が経過したが…政界で朴前大統領の弾劾論争が再燃」と題する記事を掲載。朴槿恵前大統領時代の与党だった自由韓国党(当時はセヌリ党)が、弾劾直後には党論で弾劾を受け入れていたが、最近になってこれを覆そうとする動きを見せていると伝えています。

2月19日、朴政権時代の最後の首相を務めた黄教安元首相は、討論会で「朴前大統領の弾劾はやむを得なかったと思うか」という質問に「客観的真実がいまだに明確になっていないのに、政治的責任を問い弾劾決定を下すことは妥当ではない。弾劾が妥当との意見に私は同意できない」と弾劾反対の見解を述べています。

これに対し、与野党は一斉に謝罪を要求。共に民主党の洪永杓院内代表は、国会で開かれた拡大幹部会議で「明らかな自己否定で、民主主義を守った国民に対する冒涜」と批判。

民主平和党のキム・ジョンヒョン報道官も論評で「今になって弾劾を否定することは国民をさらに不幸にするだけ。政治指導者としての資格が疑われる」と苦言を呈し、正義党のチョン・ホジン報道官も「国らしい国を造ろうとろうそくを手にした国民に対する不正であり冒涜」と非難しました。

けれども、韓国のネットユーザーは、50代を中心にした幅広い年齢層から「朴前大統領は崔順実に利用されただけ。弾劾は見直すべき」、「ろうそくデモは自発的な参加者もいたけど、団体やメディアの影響も強かった」、「本当に間違っていたのなら弾劾は当然なこと。でも弾劾して権力を手にした人が同じことをしている。文大統領は自分にとっていい話しか聞かない。前大統領と何が違うの?」などと、擁護派の意見が上位を占めているそうです。

中には、「文大統領は弾劾の準備でもした方がいいと思うよ。やってることを見たら、もはや独裁政権に戻りつつある」との声まであがる始末。若年層以外もかなり厳しい目を向けているのですね。

弾劾なり、選挙なりで大統領を辞任や落選に追い込むのは国民の権利だとしても、民主国家である以上、その責任と結果についても国民が追わなければなりません。

国民が選挙で選んだ大統領を、国民自ら弾劾するといとは、自分達が間違っていたということに他なりません。人は間違うものだというのは仕方ないにしても、そこから何某かの教訓を得ないことには、堂々巡りを繰り返すばかりで一歩も前に進みません。

弾劾とは「罪や不正を調べ上げて公開し、責任を問うこと」です。

ですから、民主国家において大統領を弾劾するということは、国民が自分自身の罪や不正を調べて、責任を問うことと同じです。国民自身が自らの過ちを認め、そこから教訓を得なければならない。

つまり、一言に弾劾するといっても、自分ではない誰かの責任を問うて首を飛ばして悦に入っているのと、自分たちが愚かな選択をしたと反省し、二度とすまいと教訓を得て、再び歩き始めるのとではその結果は全然違うということです。

果たして、韓国はどちらなのか。

未来は現在ただいまからの思いと行動によって紡ぎ出されていきます。

もしも、韓国の人たちが直視する「過去」が、文在寅政権に対する不満という「思い」にあり、見つめる「未来」が、首を挿げ替えればいいという「弾劾」にしかないのであれば、それは自分ではない誰かにすべてを委ねていることとあまり変わりません。

韓国は日本に対していつも「過去を直視しろ」と口にしますけれども、自分達が大統領を選び、そして弾劾した過去について、自分たちが一体何を直視したのかを深く問うべきだと思いますね。

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