アメリカ大寒波と極渦とブロッキング
今日はこの話題です。
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「妖印刻みし勇者よ、滅びゆく多元宇宙を救え」連載中!
ここ数日記録的な大寒波がアメリカを襲っています。
イリノイ州・シカゴでは、1月31日には体感温度は零下43度を記録。ノースダコタ州の体感温度は零下54度にまで低下しました。ニューヨークでも氷点下16度を記録しています。
こちらに現地の状況がアップされていますけれども、トイレもラーメンも宙で凍り付き、室内に霜が降りる程。比喩的に表現すれば「バナナで釘が打てる」世界です。
アメリカの国立気象局は「肉が凍って骨から外れる」ほどの寒さだと警告。アイオワ州の気象局も不用意に外出しないよう警告し、それでも外出するなら「深呼吸を避け、会話も最低限に」するよう呼びかける程ですから、髪や髭が凍るのは当たり前で、下手をすれば命に関わる寒波だということです。
トランプ大統領は「美しいアメリカ中西部の体感気温がマイナス60度にもなって、史上最低を記録した。これから数日でさらに寒くなるようだ。人間は数分も外にいられない。いったい、地球温暖化はどうなったんだ? 戻ってきてくれ、必要なんだ!」と、温室効果ガス削減に関する国際的取り決め、いわゆる「パリ協定」を皮肉るかのようなツイートをしています。
今回の寒波は、北極からの旋風である極渦(きょくうず)によるものだと言われています。
極渦とは、北極圏と南極圏の上空の成層圏をぐるぐる回る低気圧性の非常に冷たい空気の渦のことです。
南極の極渦は、南極大陸とその周囲の海の御蔭で大気の流れを妨げられることが少ないため、渦は円形で安定しています。その一方、北極の極渦は、中心こそ北極点付近にあるものの、チベット高原やロッキー山脈などの高地の影響でジェット気流が曲げられてしまうため、歪んだ形をしています。
具体的には、チベット高原やロッキー山脈付近では高緯度側にへこみ、その風下に当たるシベリア極東やグリーンランドでは低緯度側にはみだしています。
このように大陸・海洋の温度差や地形の高低差などによって大気が揺すぶられて生じる自由振動の波のことを、ロスビー波といい、アメリカの気象学者カール=グスタフ・ロスビー(1898-1957年)によって発見されました。
極渦は冬にその循環が弱くなるときがあり、その時渦の冷たい空気の塊が渦の循環から分かれてしまうことがあります。この「はぐれた冷たい空気の塊」が南下してジェット気流に乗って運ばれると、それが寒波となってその下にある地域を襲うことになります。
今回の大寒波はこの極渦が大きく南下した影響で起こっているといわれているのですね。
このような激しい極渦による寒波は、2014年を除けば、それ以前はほとんど見られなかったもので、地球の大気の循環が完全に変わったのではないかと見る向きもあるようです。
これについて、一部の研究者は極渦現象は北極の温暖化と関係しているのではないかと見ているようです。
ピュリツァー賞受賞経験のある非営利報道機関インサイドクライメイト・ニュースは、座談で「北極の気温は、地球上の他の地域の2倍の速さで上昇しているため、北極と低緯度に位置する大陸の気温差は縮まりつつあり、気温差が小さいことは、気圧差が小さいことを意味し、ジェット気流を弱めることにつながる。その結果、ジェット気流が蛇行し、流れがより長くなってしまう可能性がある」と報じています。
もっとも、ジェット気流については、これまで長年研究されてきました。先に紹介した気象学者ロスビーが、ジェット気流がある地域で急速に失速する「ブロッキング」と呼ばれる現象があることを最初に発見しています。
例えば、ジェット気流が大きく蛇行した状態でブロッキング現象が起きてしまったら、そのポケットに挟まった暖かい空気や冷たい空気がその場で停滞することになり、それでも熱波や寒波が引き起こされることになります。
その意味では、ジェット気流の流れと停滞は気象に大きな影響を与えているということになります。
けれども、なぜ、ジェット気流のブロッキングが発生するのかは、最初の発見から何十年経っても解き明かされませんでした。
2018年、シカゴ大学の中村昇教授とクレア・ヒュアン教授が、ジェット気流の蛇行を測定した数式が、数十年前に「現実の交通渋滞」を説明しようとした輸送技術者が考案した方程式とほぼ同じであることを発見したと報告されています。
それによると、ジェット気流には能力の限界があり、それは高速道路を過度の量の車が通過しようとすると渋滞が起きるように、ジェット気流でもそのキャパシティを超過した場合、交通渋滞と似たように「止まって」しまうのだそうです。
筆者は、このブロッキング現象はジェット気流の蛇行にも大きく関係があるのではないかと思っています。
渋滞した流れは左右に膨れるか蛇行することで、オーバーしたキャパシティを補うことが出来ます。けれども、車線が増えず、道路も変えられない高速道路はそのまま渋滞するしかないのに対し、それらがないジェット気流は、まず、気流の幅を太くするか、蛇行してみせることで、大気の交通量を補おうとしているのではないか。そしてそれでも許容量を超えてしまったら、今度は気流の流れが停滞して、ブロッキング現象になる。素人考えですけれども、そんな気がします。
先にとりあげたインサイドクライメイト・ニュースでは、ジェット気流が弱くなることでジェット気流が蛇行する、としていますけれども、ジェット気流が弱いということは、交通量が少ないということですから、ジェット気流の蛇行が交通渋滞と等価であるというシカゴ大学の研究結果と矛盾します。
従って、気流が弱くなったから蛇行するのではなく、気流が強くなって、キャパシティを超えたから蛇行せざるを得なくなったと考える方が自然な気がします。
上の図は2017年3月8日にブロッキングが起きているジェット気流の様子を示した動画なのですけれども、地球の左側中央、ちょうど日本の真下辺りの部分で赤紫色になっているジェット気流の幅が太くなっているように見えます。
もし、これが本当であれば、ジェット気流の蛇行が激しくなるのは温暖化によるものではないということになります。
地球温暖化については、以前「ケロロ軍曹 第220話 ケロロ 地球温暖化ってなぁに? であります」のエントリーで懐疑的な見方を述べたことがありますけれども、ジェット気流の停滞が交通渋滞と同じだと示された研究結果を見ると、疑念が深くなったように思います。
この記事へのコメント
ヘイジ
コメントさせていただきます。
私も「人為的地球温暖化論」を否定して、私は「頭がおかしい」といわれているのですが、
地球は少なくとも1700年代頃から温暖化しており、それは人為的な原因ではありません。
様々な証拠により、地球の平均気温は、6億年ぐらい前から15℃から30℃の間を定期的に変化していることが証明されています。(例えば、恐竜の中生代の平均気温は30℃近かったそうです。)
人為的地球温暖化問題を叫ぶ人たちは、寒暖計が使えるようになったここ200年ぐらいのデータで、人為的に地球は温暖化していると断定しています。
地球は200年前に始まったのでしょうか?
中世の温暖期・近世の寒冷期等を無視して、それは科学的考察と言えるのでしょうか?
と説明しても、
スーパーコンピューターの予想だから、国際的コンセンサスだから、偉い先生たちが言ってるよ、のような反論のために「権威」を出してきますね。
やはり、人為的地球温暖化問題を叫ぶ人たちは、お金儲けが主目的なのでしょうね。
いつもご苦労様です。
これからも現実的、理論的ご意見、よろしくお願いいたします。m(_ _)m
さんさん
自治体や官庁が環境問題に便乗するのは新たな収入を増やしゴミ処理場が手狭に成る問題の解決を計りたい狙いが有っての事でしょう
それと天下り先確保、反社会的勢力への利権提供が狙いだと思ってます。
端的に言って地球温暖化は詐欺です
さんさん
しかも実は大不評で客が寄りつかない一因に成ってるかもしれません。その再考も迫られてるのでは。
これを怠るのは経営が硬直化して将来的にはドンズマって潰れる可能性が有る経営に見えますが、ダイエーですね。イオンも既にこの道を辿って居ますね。
優秀な経営者とは客にしわ寄せして、経費を浮かす経営では無いと思いますし、客に嫌がられ物をごり押しする経営でも無いでしょう、こういう経営は情勢が変る転換期に対応出来ずに潰れる典型です。
ヘイジ
おっしゃる通りです。
以下に、私と小西天風さんアベノミクスについて対話していますので、よろしければ、ご意見ください。m(_ _)m
iRONNA
テーマ「黒田総裁続投、マンネリ人事の意味」
https://ironna.jp/theme/885