終戦宣言の当事者になれない韓国は北朝鮮に金を出すだけか
今日はこの話題です。
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注目された米朝首脳会談ですけれども、2日目になって交渉は物別れに終わりました。首脳会談で合意できずに終わるなんて、あまり聞いたことがありません。凄いものです。
米朝首脳会談の情報は追ってどんどん出てくるでしょうけれども、韓国は朝鮮戦争の終戦宣言が出るかもしれないと期待していたようです。
2月25日、韓国大統領府の金宜謙報道官が記者会見で、ハノイで行われる2回目の米朝首脳会談について「どのような形態になるかは分からないが、終戦宣言で合意する可能性がある……終戦宣言は、北朝鮮の非核化を加速させる役割を果たすという意味で、わが政府はどんな形態であっても歓迎する」と朝鮮戦争の終戦宣言に言及しました。
韓国中央日報によると、韓国の外交筋が同じく25日に、米朝の実務交渉で首脳会談宣言文に朝鮮戦争の終戦宣言文面を含める方向で議論していると明らかにしています。
朝鮮戦争の終戦宣言については、昨年4月、南北首脳会談にて「年内の終結宣言を目指して、南北とアメリカの3者、さらには中国も加えた4者による協議を積極的に推進する」で合意しています。
更に、今年の1月1日、金正恩委員長は朝鮮中央テレビで休戦協定の当事国による多国間協議を推進する意欲を新年の辞で述べています。
1953年に署名された朝鮮戦争の休戦協定は「最終的な平和解決が成立するまで朝鮮における戦争行為とあらゆる武力行使の完全な停止を保証する」と規定したもので、国連軍を代表して、アメリカ陸軍のウィリアム・ハリソン・Jr中将と朝鮮人民軍と中国人民志願軍を代表して朝鮮人民軍の南日大将の署名後、国連軍総司令官のマーク・W・クラーク大将、中国人民志願軍司令員の彭徳懐と朝鮮人民軍最高司令官の金日成の署名をもって締結されています。
当時、韓国は国連軍の中に組み込まれていて署名者の中には入っておらず、国連軍に参加したアメリカ、韓国、イギリス、フランスなど22ヶ国も入っていません。
つまり、休戦協定の当事国に限っていえば、韓国は当事国ではないのですね。
その意味では、金正恩委員長の休戦協定の当事国は、署名国である、北朝鮮と中国、そしてアメリカということになります。その一方、文在寅大統領は韓国も当事国だという顔をしていたわけです。
実際、25日、文在寅大統領は大統領府の首席・補佐官会議で「韓半島問題の主人、韓半島の運命の主人は我々」という言葉を何度も口にし、文大統領の発言を英文でも配布。「我々が韓半島の運命の主人」であって「歴史の辺境から中心へと向かいたい」と強調しています。
この発言を巡って、かつて米中間のバランサーを自任していた盧武鉉政権時代の「北東アジア均衡者論」が再登場するのではないかという見方も出ているようです。
ところが、冒頭で取り上げた韓国大統領府の金宜謙報道官は、同じ25日に第二回米朝首脳会談で「終戦宣言が入る可能性がある」とコメントした後、「韓国と中国、アメリカと中国、韓国と北朝鮮は事実上の終戦宣言を行っているので、残ったのは北朝鮮とアメリカだ」と述べました。
これは、文在寅大統領の「韓半島問題の主人」だという発言と矛盾します。
これについて朝鮮日報は、米朝合意によって韓国が除外され、大統領府がこれを後から知り「抜けてもよい」と先に発表したのではないかと推測しています。
朝鮮日報によると、文大統領は米朝首脳会談で終戦宣言が締結されるかもしれないと、いつでも会談の会場に行けるよう日程を空けていたのだそうです。それが全く相手にされていない。
朝鮮日報は、仮に米朝首脳会談で終戦宣言が出されたとすると、次に北朝鮮は国連軍司令部と北方限界線の廃止を求めてくると予想し、「このような交渉が米朝間で行われ、韓国が第三者あるいは見物人になることは想像もできないことだ」とし、文大統領の「韓半島の運命の主人は我々だ」という言葉も虚しいと嘆いています。
そして、「韓国は終戦宣言の当事者にさえなれず、韓国国民も北朝鮮に与える金を出すだけとなれば、これは韓国政府として責任を放棄したに等しい。韓国政府は今からでも『韓国抜きの終戦宣言は絶対に認められない』とはっきり主張すべきだ」と文政権を批判しています。
けれども、既に韓国政府の報道官が公式な記者会見で終戦宣言は米朝間だけで十分だと言ってしまった以上、韓国抜きで認められないというのなら、はっきりとその発言は撤回しなければなりません。
それが出来るのかどうか。
26日、韓国大統領府高官は、ハノイでの米朝首脳会談後、文在寅大統領のアメリカ訪問を検討する方針を明らかにしています。
高官によると、19日に行われた米韓電話会談の際、「話したいことがたくさんある」と述べたことを受け、トランプ大統領が特に具体的な日付に言及しなかったにも拘わらず「近く会えるという気がした」として「会うとすれば、文大統領がワシントンを訪れるほうが良いのではないか」と述べたようです。
会える気がしたと思って、押しかけたところで、それで会える筈がありません。子供の使いとは訳が違います。
この高官は「米朝会談後の28日午後、文大統領とトランプ大統領が電話会談すれば、会談の開催日などが決まる」との見通しを示したそうですけれども、なぜ電話会談が出来ると思ったのか。
米朝首脳会談後、安倍総理はトランプ大統領から電話で内容の説明を受けると報じられていますけれども、もしも、トランプ大統領が安倍総理に電話し、文大統領に電話しなかったとしたら、韓国は完全に蚊帳の外に置かれたことになります。
日本は米朝首脳会談前にもトランプ大統領と電話会談していますし、すでに事務レベルの折衝でアメリカに対し、「ただちに経済協力や人道支援を行うのは時期尚早だ」と伝達しています。
外務省の幹部も「拉致問題もあり、日本は支援できず、アメリカも日本の立場を理解している」とコメントしています。
日本は北朝鮮への経済支援を拉致問題解決のためのカードとして温存するようです。しっかり外交をしていると思います。
そんな時に、韓国がのこのことワシントンに出向いて、トランプ大統領のところにやってこようものなら「北朝鮮に金を出せ。ただし非核化の後だ」と注文されるのは目に見えています。
今回の米朝首脳会談は決裂に終わりましたけれども、今後仮に米朝間で終戦宣言が出されたとしても、韓国は第三国扱いで、金だけ支払わされる目にあいそうな気がしますね。
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