今日はこの話題です。


韓国で文在寅政権による積弊清算の実態が徐々に暴かれてきています。
3月22日、ソウル東部地検は金恩京前環境相について職権乱用の疑いでソウル東部地裁に逮捕状を請求しました。
これは、環境部が、朴槿恵前政権によって任命された役員に辞表を強要した疑いが上がっているためです。
既に検察は、環境部傘下機関の役員の辞任動向と前政権の役員を狙った監察の事実を含む「環境部ブラックリスト」なるものが金前長官に報告されていたことを示す文書を確保。
検察によると、金前長官に報告された「ブラックリスト文書」ファイル名には「長官様」という表記が追加され、該当文書には、「監査対象者の対応によっては、告発など適切な処分を行う予定」との記載もあり、「前政権と近い人物の監査を行う際には、業務推進費用のクレジットカードを本来の目的以外に使用した内訳を提示し、その反応を報告するよう要求した」との記載もあるようです。
検察は役員の辞表提出と後任者の人選があるたびに該当文書がアップデートされ、金前長官に数回報告されたとみています。
更に、検察はこのブラックリスト文書について「大統領府人事首席室から作成の指示があった」とする環境部職員の証言を確保しているとのことで、これが本当であれば、政権そのものが辞任圧力を掛けていたことになります。
当初、環境部は、「外局役員の辞任について長官や次官にまで報告していない」と説明し大統領府も、「文在寅政権の遺伝子には、民間人への査察など存在しない」と疑惑を強く否定していたのですけれども、証拠の文書や証言が上がったとなれば、言い逃れも難しい。
文在寅大統領は、大統領候補だった当時「ブラックリストは、民主主義の根幹を蹂躙する国家による暴力」などと主張していたそうですけれども、何のことはない、自分自身が民主主義を破壊する暴君だった訳です。
そして、事は環境部だけではありません。
3月24日、文在寅政権が発足した時点で2年2カ月の任期を残しながら統一研究院の院長を自ら辞任したソン・ギヨン氏は、朝鮮日報の取材に対し、「国務総理室の関係者から辞任を求められた」と述べ、その国務総理室の関係者達自身も、大統領府人事主席室から通告を受けたと語っていたことを明らかにしました。
ソン氏は「辞任を求められた際、ブラックリストの存在を暗示する言葉もあった」と述べていますから、ブラックリストは相当広範囲に及んでいる事も考えられるのですけれども、文在寅政権自身が朴槿恵前政権丸ごと積弊清算しようとしているとするならば、有り得ないことではありません。
文在寅大統領は、大統領候補だった当時「ブラックリストは、民主主義の根幹を蹂躙する国家による暴力」などと主張していたそうですけれども、何のことはない、自分自身が民主主義を破壊する暴君だった訳です。
文在寅政権がその権力で朴槿恵前政権を積弊清算しようと目論んでいるのであれば、その粛清は文官だけで済むはずがありません。当然その手は武官、つまり軍にも及んでいます。
以前、「文在寅政権に対する軍事クーデターは起こり得るか」で取り上げたことがありますけれども、2017年3月、当時の朴槿恵大統領の弾劾を求める「ロウソク集会」と朴大統領を支持する「太極旗デモ」が激しく展開していた時のこと、韓国の機務司が作成した戒厳令布告検討文書を巡って、文在寅政権は朴槿恵前大統領、金寛鎮前安保室長など陸軍本部、大統領記録官などを取り調べしています。
なぜ、文在寅政権は血眼になって積弊清算に突っ走るのか。
朝鮮日報は、コラムでその真の目的は「政権再創出」だと指摘しています。
それによると、文在寅政権は、政権発足後、本当にやっていることは金正恩との「平和イベント」と、税金をばらまいて大衆の歓心を買う「ポピュリズム」の2つしかないと指弾しています。
なぜなら、どちらも政権浮揚のカギとなるイベントであり、実際、世論調査でも文大統領を支持する理由も、金正恩イベント関連のものが最も多く、健康保険の拡大、高校教育の無償化、基礎年金引き上げなどの福祉政策は、目標年度が次期大統領選の直前設定し、健康保険の基金などは任期中にほとんど使い尽くしてしまうようです。
とにかく今の支持さえ集められればよい、という刹那的な政権運営です。
そして、自らの失政を覆い隠すために、積弊清算と称して前政権を叩き、目眩ましをする。
日本もかつて民主党が政権を取った直後、自民党が悪いだの、官僚がダメだの言い募っては、民心を得るためのパフォーマンスをしていた記憶が残っていますけれども、文在寅政権のやり口はそれと大差ないようです。
ただ、朝鮮日報が指摘する、文政権を支える二本柱である「北朝鮮との平和イベント」と「ポピュリズム」にしても、北朝鮮との平和イベントは、米朝首脳会談の決裂で遠のき、ポピュリズムの方も長引く経済の低迷で、どこまで国民が耐えてくれるのか分かりません。
どんなに支持率を取り繕ったところで、曲りなりにも民主国家である限り、任期があり、選挙というものがあります。文在寅大統領の次も左派政権であるとは限りません。
「北朝鮮」と「ポピュリズム」で生き残りを図る文在寅大統領。その戦略が今後も通じるのかどうかは少し厳しいのではないかと思いますね。
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