今日はこの話題です。


3月28日、韓国の文在寅大統領は大統領府に日本企業を含む在韓の外国企業関係者ら計約70人を招き、会合を開きました。
会合の出席者は約60人で、文大統領が外資系企業関係者とこうした場を持つのは2017年5月の就任後初めてのことだそうです。大統領府は「在韓外国企業の経営者が現場で感じる問題を積極的に聞き取るという趣旨」と説明していますけれども、経済面でとうとうお尻に火がついてどうにもならないと焦り始めているのでしょう。
会合に出席した経済団体「ソウルジャパンクラブ」の森山朋之理事長は、文大統領に対し、元徴用工らの訴訟などを念頭に、「現在の日韓関係を心配している……友好的な関係の維持が両国に良いだけでなく、この地域と全世界にとっても重要だと思う。適切な措置が取られると信じている」と述べました。
これに対し、文大統領は、「経済交流は政治とは別に見るべきだ。人の交流が拡大し、企業間の経済交流が活発になることを望む」とツートラック戦略を持ち出し、日本政府へ協力を求めました。
けれども、経済と政治が別だというのであれば、政治マターを経済に影響しないように政治側がコントールすべきです。現実に、元徴用工判決問題で在韓法人企業が差し押さえに遭っているのですから、別にはなっていません。思いっきり関係しています。
森山理事長が「適切な措置が取られると信じている」と注文を付けるのは当然のことですし、日本企業が韓国に投資するのに躊躇するのも当たり前です。
今年2月、京畿道始興市に韓国初の「ジャパンタウン」を作る計画が報じられたことがあります。
これは、日本のG&t Incフランチャイズ本部とキム・ジョンミン不動産メッカ代表らが計画し、仁川市内でジャパンタウン誘致のための業務提携を締結。
大阪にある約20の有名飲食店を市内のビルの1~2階に誘致して、3月中に追加で約30の有名飲食店と新たな業種を誘致するというものです。
キム・ジョンミン代表は「ジャパンタウン誘致のため何度も大阪を訪れた。孤軍奮闘し、やっとのことで実現した。今は日韓関係が友好的でないためさまざまな苦労があったが、地域商圏活性化に向けて成し遂げた成果……飲食店を筆頭に、日本を代表する食べ物、見物、ショッピングを一緒に楽しめる観光都市になるよう努力する」と話しています。
元々、キム代表はこの地区に、昨年完成したビルの1~2階部分を分譲していたのですけれども、それが上手くいかず、日本の外食業界に目を向けたのがこの「ジャパンタウン」の切っ掛けのようです。
キム代表は、日本で10年暮らした経験があるそうで、「大阪の飲食店の前で多数の韓国人観光客が列をなしていたため、そこからヒントを得た」と語っています。
なるほど、目の付け所は良かったのかもしれませんけれども、残念なことにそこは韓国です。文大統領がツートラックだなんだと宣言しても、現地の人達がそうしてくれるとは限りません。
韓国大統領府のホームページにある国民請願掲示板に、この「ジャパンタウン」の無効化を求める請願が寄せられ、ネットユーザーの間で激しい議論が交わされました。
反対意見の投稿者は「我が国の領土で日帝式の建物と文化を消すために先祖たちの大きな努力があったが、ジャパンタウンを造成することはアイロニーなことだ」と、地域経済活性化のために日本式を導入することが最善なのかと批判。
その一方で、「歴史と経済は切り離して考えるべきだ……グルメはもちろん見物スポットもたくさんある観光都市に飛躍し地域経済が活性化する契機になる」とツートラックな賛同意見も寄せられました。
この書き込みはインターネットのコミュニティーサイトやブログなどで拡散され、「三一独立運動100周年にジャパンタウンとは何事か」とか、「親日派清算ができない国にふさわしい」などのコメントが相次ぎ、1ヶ月もしないうちに請願には10万人が同意する騒ぎとなりました。この騒ぎに始興市庁は「市はジャパンタウンの造成に関与していない」と釈明し、逃げを打つ始末。
この商業施設には最大で156の店舗が入居でき、昨年9月に入居を開始したのですけれども、3月下旬の段階で入居は25店舗どまり。しかもそのうち11店は不動産仲介業者で、3月初めにはオープン予定だったラーメン店も空いたまま。平日の昼でも人通りはなく閑散としています。
キム代表によると「日本人の投資者たちが、反日感情を理由に投資を渋っているため、説得に時間がかかり、オープンが来月になった……ジャパンタウンという名称がここまで大きな波紋を呼ぶとは思わなかった」とのことで早くも暗雲が漂っています。
これなど正に政治と経済が密接に関係している例といっていいでしょう。そこには文大統領が説く「経済交流は政治とは別に見る」姿などどこにもありません。
それに、韓国の反日振りに、とうとう日本政府も公式に距離を置くことを宣言する構えです。
外務省幹部は、平成31年度版「外交青書」について、日韓関係について「韓国による否定的な動きがあり、厳しい状況だ」との文言を盛り込むことを明らかにしています。
外交青書とは、国際情勢の推移及び日本が行ってきた外交活動の概観をとりまとめたもので、1957年9月の第1号以来、毎年発行されているものです
過去の外交青書で韓国について触れられた箇所を振り返ってみると次のとおりです。
2016年度外交青書年を追うごとに微妙に韓国の扱いが軽くなっていますけれども、それでも、韓国との連携と協力は重要であると述べています。これが2019年度版では「韓国による否定的な動きがあり、厳しい状況だ」が盛り込まれるのですから、その「連携と協力」ですら取れなくなると宣言するということですね。
(2)韓国
ア 韓国情勢
イ 日韓関係
ウ 日韓経済関係
(ア)二国間関係一般
2015年は日韓国交正常化から50周年の節目の年であった。日本にとって韓国は、戦略的利益を共有する最も重要な隣国であり、良好な日韓関係は、アジア太平洋地域の平和と安定にとって不可欠である。また、日本と韓国は北朝鮮問題を始め、核軍縮や不拡散、平和構築、貧困などの地域や地球規模の様々な課題についても連携・協力してきた。今後は、政治、経済、文化などあらゆる分野において、日韓関係を未来志向の新時代へと発展させていく。
2017年度外交青書
(2)韓国
ア 韓国情勢
イ 日韓関係
ウ 日韓経済関係
(ア)二国間関係一般
日本にとって、韓国は戦略的利益を共有する最も重要な隣国であり、日韓両国の連携と協力はアジア太平洋地域の平和と安定にとって不可欠である。また、日本と韓国は北朝鮮問題への対処を始め、核軍縮や不拡散、平和構築、貧困などの地域や地球規模の様々な課題についても連携・協力してきた。今後も、政治、経済、文化などあらゆる分野において、様々なレベルで意思疎通を図り、相互の信頼の下、日韓関係を未来志向の新時代へと発展させていく。
2018年度外交青書
(2)韓国
ア 日韓関係
イ 日韓経済関係
ウ 韓国情勢
日韓両国の連携と協力はアジア太平洋地域の平和と安定にとって不可欠である。また、日本と韓国は北朝鮮問題への対処を始め、核軍縮や不拡散、平和構築、貧困等の地域や地球規模の様々な課題についても連携・協力してきた。今後も、政治、経済、文化などあらゆる分野において、様々なレベルで意思疎通を図り、相互の信頼の下、日韓関係を未来志向の新時代へと発展させていく。
あと、もう一点細かいところをいえば、見出しの順番で、2016、2017年度版は韓国情勢、日韓関係の順番であったのが、2018年度版では日韓関係が最初に来て、韓国情勢が3番目に落ちている点にも筆者は注目しています。
これは、それまで日本にとって韓国情勢が第一優先であったものが去年から日韓関係が第一優先になったことを示していると思うからです。確かに去年の韓国の振る舞いをみれば、日韓関係を外交青書の韓国の項目の先頭に持ってくるのも妥当だと思います。
おそらく2019年も日韓関係が一番先頭にくると思いますけれども、「韓国による否定的な動きがあり、厳しい状況だ」という表現以外に「連携」や「協力」の文言がどう扱われているのかは非常に興味があります。
場合によっては政府文書レベルでの事実上の「絶縁宣言」になるかもしれないことも想定しておいた方がよいかもしれませんね。
この記事へのコメント
ありろん
日本に対する尊敬も憧憬も無く、儲からなければ翌年にはアメリカ村に
なっているものです。
心の底が知れている、体を張って信念を通すわけでもない、
韓国人の振る舞いに、日本人はシラケルばかりです。