更に続きです。


決裂した米朝首脳会談について、当事国および周辺国の反応は明暗が分かれました。
北朝鮮の労働新聞は1日付の記事で、「金正恩委員長は、トランプ大統領に謝意を表し、新たな対面を約束した」と伝えただけで、合意文書の発表が中止された事実は伝えていません。
同通信は、訪問で「両国間の伝統的な友好・協力関係を力強く誇示」したと指摘。「両国人民の友好の絆を、より強化し、発展させる重要な意義を持つ画期的な出来事」だと報じた。
また、朝鮮中央通信も3日、金正恩朝鮮労働党委員長がベトナム訪問の結果に「満足の意」を示し、2日に帰国の途に就いたと伝え、訪問が「成功裏に進められた」とも強調。こちらは米朝会談に触れてもいません。
ただ、脱北した元党幹部には、平壌の党幹部らから会談の経緯をめぐる問い合わせが相次いでいるそうで、この元幹部は「ハノイの代表団が平壌に結果を伝えていないのだろう」しています。
つまりそれほど、ハノイ会談の結果は北朝鮮国内に知らせたくない内容だということです。
対するアメリカは共和・民主両党から肯定的な評価が示されました。
民主党のシューマー上院院内総務は「トランプ大統領が席を立ち、写真撮影のために悪い合意を受け入れなかったのは正しい行動だ」と述べ、共和党のマコネル上院院内総務も、「金委員長が新たな道を選べば可能となるであろう経済的繁栄を北朝鮮側に見せつけた」のは「賢明」だったとし、「金正恩氏は列車での長い帰路で、北朝鮮がまだつかむことができる将来についてじっくり考える時間を持つだろう」とトランプ大統領の対応を評価しています。
周辺国では、日本政府は「トランプのノーディール決断」とし、「安易な譲歩を行わず、北朝鮮の具体的な行動を促していくトランプ氏の決断を全面的に支持する」と評価しています。
確かに「『バッド・ディール』よりは『ノー・ディール』がいい」という立場に立ってきた日本にしてみれば、今回の米朝首脳会談は十分な結果でしょう。
一方、韓国は予想外の結果に狼狽し、文在寅大統領への批判が高まっています。
2月28日、韓国・聯合ニュースは、「韓国政府の当局者は戸惑いを隠せずにいる。今回の会談が成功すれば、合意に対北朝鮮制裁緩和に関する内容が盛り込まれ、制裁が足かせとなっている南北経済協力に転機が訪れると期待していたためだ」と指摘しています。
そんな中、3月2日、アメリカ国防総省は毎年春に実施している大規模な米韓合同軍事演習「フォールイーグル」と「キー・リゾルブ」を中止すると発表しました。これは鄭景斗・韓国国防相とパトリック・シャナハン国防長官代行が2日に電話会談し、両演習の終了を決めたとしています。
これを受けて、3日、韓国国防省は中止される両演習に代わり、「新たな野外機動訓練と合同指揮所演習で軍事態勢をしっかりと維持していく」と発表していますけれども、毎年定例の米韓合同軍事演習としては最大規模のフォールイーグルについては、北朝鮮が侵略の準備だと都度非難していたものです。
これを止めるということは、建前の上では、北朝鮮のいう「侵略の準備」などアメリカはしないという意思表示になります。
これは、米韓同盟の弱体化を示唆し、引いては在韓米軍の撤退と米韓同盟の破棄、終了を連想させるものになります。
無論、同時にこれは周辺国への重要なメッセージにもなります。
韓国にとっては、米韓同盟の終了は国防上の危機に瀕することを意味しますし、日本にとっても、憲法改正を含めた国防上の大転換を促すものとなり得ます。
筆者はこれまで何度か、アメリカは韓国を見捨てつつあると述べてきましたけれども、どうやら本格的にそんな動きが出てきたようにも思います。
昨年、韓国は在韓米軍駐留費引上げを巡り、アメリカと揉めていましたけれども、結局引上げで合意、更に契約を1年毎に変更されました。これは最短で在韓米軍は来年引き上げる可能性があることを意味します。
文在寅大統領にとっては、在韓米軍の撤退は望むところなのかもしれませんけれども、それが韓国の総意なのかというとちょっと疑問です。形式上は朝鮮戦争は終わっておらず、休戦扱いですしね。
北朝鮮が韓国を攻撃しないと考えるのであれば、在韓米軍はなくても平気ですし、攻撃するかもしれないと思えば、それなりの備えが居るということです。
要するに、韓国にとって、北朝鮮が「信じられる存在」であるのかどうかを問われる事になる訳です。
苦境に陥るといつも他人のせい、日本のせいにしている韓国が他者のせいに出来なくなったとき、どう動くのか。韓国は隘路に立たされる。
今回の交渉決裂で、経済制裁はそのまま維持されることが確定しました。
福井県立大学の島田洋一教授は「今回のトランプ氏の決断は、米国の保守派からも評価され始めている。一方、正恩氏は、トランプ氏をうまくだませると思っていたようだが、土壇場での逆転で、手ぶらで帰ることになった。トランプ政権は『制裁の抜け穴をふさぐ』という意味で、北朝鮮への圧力を強化し、同時に文政権にも締め付けを強めていくだろう」と述べていますけれども、北朝鮮産石炭などを3万5千トンも不正輸入し、対北制裁破りをしていたことが国際的にバレた韓国に対する締め付けがないわけがありません。
南北共同事業も停止。それでも裏でコソコソやろうとするなら、韓国に対する経済的制裁(セカンダリーボイコット)もあり得ます。
既に物別れに終わったハノイ会談を受けて、韓国株式は暴落しています。世界は韓国に対してそのようにみているということです。
日本も米韓同盟が破棄され、国防ラインが対馬海峡まで下がることを想定した国防の備えを進めておくべきだと思いますね。
この記事へのコメント
タカ派(サッカー)
韓国相手ならやるかもしれませんね。理由はやりやすいからです。世界に対し実例を示すにはまさに「ちょうどいい相手」と言えるでしょう。
逆にやらないかもしれない理由もあります。こちらの理由もやりやすいからです。韓国への制裁はあまりにもインスタントすぎて、難しい国への対応が制裁だけに一本化されてしまう恐れがあります。一貫性がなければ効果がなくなりますから。
何においてもそうですが、切らないからこその切り札なんですね。米国がどのような選択をするのか注視してみましょう。
ス内パー
それに現実味が出るまでまだ時間がかかりますからねぇ。
そういう代理案が出る前の日韓同盟米韓同盟破棄および南北統一はなしにして
「死体に釘を打ち付けてかかしにする」
形で生かさず殺さずしぼりあげる展開がまだまだ続きそうですね。
一応南北統一プランは周辺の全ての国(中露含む)に悪影響が大きすぎてこれの阻止だけは周辺の同意得てますし。
つかそれ悪用して生き延びてきたのが今までの朝鮮ですし。