米朝の信頼関係と役目を終える韓国

 
更に昨日の続きです。

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3月2日、アメリカのニューヨーク・タイムズは、関係者の取材に基づいて、ハノイでの米朝首脳会談の模様を報じました。

それによると、トランプ大統領が会談初日の夕食会で金委員長に核の完全放棄を制裁解除の条件として提案し、「非核化」の定義を明記した文書を手渡したのに対し、金正恩委員長は「核の完全放棄に直ちに踏み切れるほど米朝の信頼関係は十分ではない」と反論し、寧辺の核施設廃棄と引き換えに制裁解除を求めたとしています。

米朝の信頼関係については、金正恩委員長は昨年から触れていました。昨年10月7日、平壌でポンペオ国務長官と会談した際、「核リストの一部だけでも提出してほしい」と求めたポンペオ国務長官に対し、金正恩委員長は「信頼関係が構築されていない状態でリストを提出しても、アメリカが信用できないと言うだろう。再申告を求めかねない。そうなれば争いになる」と拒否。

返す刀で「非核化措置を取るには、米朝間の信頼構築がまず必要だ……終戦宣言を通じて米朝間の信頼が構築されれば、非核化は米国が心配しなくてもいいほどスピードを出すだろう」と回答しました。

これに対し、ポンペオ国務長官は、寧辺の核施設の廃棄だけでは終戦宣言には応じられないとし、生物・化学兵器を含む全ての大量破壊兵器計画の除去を求めた上で、保有する核弾頭、大陸間弾道ミサイル、移動式発射台を一部でも廃棄もしくは国外搬出すれば、「終戦宣言など北朝鮮が納得できる行動を取る」との立場を示したとしています。

今にして思えば、おそらくアメリカはこの時点で、北朝鮮には寧辺以外に核施設があることを掴んでいたものと思われます。故に、寧辺の核施設の廃棄だけでは終戦宣言には応じられないとしたのでしょう。

その意味ではアメリカの要求はビタ一文負けていないわけです。

金正恩委員長は、寧辺核施設の廃棄では終戦宣言に応じないというなら、制裁緩和なら乗ってくるのではないかと思ったのかもしれませんけれども、アメリカは、どちらも取引カードにはならないと頑として突っぱねました。

今回のハノイ会談の決裂で、アメリカは何も損はしていません。むしろ、北朝鮮にとって、今の経済制裁が効いていることが確認できたという点では得るものがあったと考えるべきでしょう。待っているだけで北朝鮮の首が締まる訳ですからね。

しかし、トランプ大統領は次の手を打ってきた。それが先日発表された米韓合同軍事演習の終了です。

中止ではなくて「終了」ですから、これは大きな判断です。これはアメリカから北朝鮮に向けて「信頼関係を構築」するためのメッセージということになります。

3日、トランプ大統領自身がツイッターで「私が韓国と軍事演習をやりたくない理由は、アメリカに返済されていない何億ドルものお金を節約するためだ。これが私が大統領になるずっと前からの主張だ……これに加え、現在、北朝鮮との間で緊張緩和が進んでいることは良いことだ!」と述べています。

要するに、韓国との軍事演習の終了は緊張緩和になり信頼関係の醸成に繋がるという訳です。

まぁ、一部には、先のハノイ会談で、米韓合同軍事演習は終了する裏合意を結んでいたのではないかとみる向きもあるようです。実際そうかもしれませんけれども、であれば、一方的にアメリカだけが譲るとは考えにくい。

米韓合同軍事演習終了を受けて、北朝鮮も何等かのアクションを返すことになるのではないかと思われます。でなくては信頼関係を深めることにはならないからです。

もし、北朝鮮が、近々に核廃棄リストなり廃棄計画なり、非核化に向けた何等かの発表をしたならば、裏合意をしていた可能性は高いとみてよいと思いますね。

もしも、そのような裏合意があり、アメリカと北朝鮮がそれぞれアクションを起こしたならば、北朝鮮の非核化は新たなフェーズを迎えることになります。

それは何かというと、米朝の直接対話による非核化の推進です。

アメリカがアクションを起こし、北朝鮮がそれに答えたとしたら、理屈としては次も同じことが出来るはずです。そうなったら何が起こるかというと、米朝間の仲介役が要らなくなるのですね。

米朝二国間で対話が為され、その結果双方に何等かの措置が為されるならば、次には当然そういう流れになるのがシンプルです。

そうなると立場がなくなるのがその周辺国です。

けれども、安倍総理はトランプ大統領と密接に連携し、日本の要求をトランプ大統領に代わって言って貰っています。今回のハノイ会談でも、トランプ大統領は、日本人拉致問題について2回も話題に出したそうですし、会談前後には安倍総理と電話会談しています。

その意味では日本は米朝交渉に直接タッチしなくてもある程度以上介入できる立場にあります。立場がなくなるということはないでしょう。

その一方、本当に立場がなくなる可能性があるのが韓国です。これまで北朝鮮とアメリカの仲介者のように振舞えてきたのも、コンタクトの取り辛い金正恩に呼びかけ、かつアメリカの同盟国でもあるという立場であったからです。

ところが、その立場にも暗雲が立ち込めてきました。

文在寅大統領は、北朝鮮にのめり込み、北朝鮮の代弁者であるかのような言動を繰り返してきました。それに加えて、国連制裁を破っての物資供与など、明らかに仲介者の枠を超えています。つまり仲裁者としての信頼を失っている訳です。

4日、韓国の文在寅大統領は青瓦台で国家安全保障会議を開き、「米朝会談が結局は妥結することを信じているが、長期間の対話こう着は決して望ましくない……両首脳が近いうちに会い、見送りとなった妥結を実現することを期待する……そのプロセスでわれわれの役割も再び重要になった」と述べたそうですけれども、アメリカからは、もうその役目は終わったと見られているかもしれないと考えた方がよいのではないかと思いますね。

その意味では今後の米朝交渉は、北朝鮮+韓国VSアメリカ+日本であったのが、北朝鮮VSアメリカ(日本)の構図に変わる可能性は十分にあると思います。

ともあれ、北朝鮮の次のアクションが非常に重要になってくるかと思いますね。

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