日韓首脳会談見送りについて

 
昨日の続きです。

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4月13日、安倍総理は6月に大阪で開くG20首脳会合の際、韓国の文在寅大統領との個別の首脳会談を見送る方向で検討に入ったと報じられています。

理由は簡単。話し合っても意味がないからです。

官邸筋は「文氏に冷え込んだ日韓関係を改善する意思が感じられず、建設的な対話が見込めない」と判断しているようです。

文在寅政権に日韓関係を改善する意思がないことは、文政権の人事を見ても明らかです。

「積弊清算」を進める文政権は、過去に慰安婦合意などに参加したり、日本関連の主要職務を担当した人々の中で相当数を閑職に追いやっています。

28年間外交畑を歩み、15年もの間日本に関する業務に携わり、書記官・参事官・公使として10年以上日本に駐在した、最も日本での業務経験が長いある現役外交官は、先月末、ヨーロッパの公館に異動しました。

彼については、「特に党代表を務めた経験のある与党議員が執拗に人事清算を主張したため、何らかの人事的措置が取られるだろう」と噂になり、慰安婦関連業務を前政権で担当したという理由で公館長にはなれず、左遷されたのではと見られています。

また、日本勤務の経験もあり、国際法にも明るいキャリア26年のベテラン外交官も、大統領府で対日業務にあたるだろうと目されていたのですけれども、突然立ち消え。彼の経歴調査をした大統領府が拒否したという話が流れています。なんでも彼の家族が現政権に批判的なのが問題になったとの見方もあるそうで、もう「積弊」の欠片さえあれば皆処断する勢いです。

こうしたことから韓国外交官の間では、駐日韓国大使館での勤務は「敏感な外交懸案が多く、苦労に苦労を重ねても、政権交代などによっていつなんどき責任を追及されるかもしれない、面白くなく危険な職務」と認識されていて、昨年、駐日韓国大使館政務課に勤務する書記官を3人募集したのですけれども、志願者がゼロだったそうです。

それはそうでしょうね。そんな苦労ばかりで出世も見込めない職務に進んで飛び込む人はそうはいません。日本の世論では日韓断交も上がり始めていますけれども、何のことはない。外交の世界では、韓国が自分で日韓断交に進んでいるという訳です。

こんな状況ですから、日本業務に携わる韓国外交官の士気は下がりに下がっているそうです。東京にいる韓国の外交官たちは韓国事情に明るい日本の政治家や公務員たちの同情の対象になっているといいますからもうズタボロですね。

現在、対日外交で日本の事情を知る外交官は文政権から排除されていると見てよいかもしれません。

文政権発足後、最初の大使だった李洙勲氏は、2016年1ネットメディアのインタビューで、慰安婦合意に関し、「アメリカがホワイトハウスと国務省を中心に非常に執拗に動いた。日米韓3カ国の安保協力を強化し、これを通じて中国牽制戦線を構築するためだった……今回の慰安婦合意の最終勝者はアメリカ」と発言したことがあります。

また、2016年11月に外交・統一・安保専門家42人が「日韓秘密軍事情報保護協定(GSOMIA)締結手続きを中断して朴槿恵大統領はすべての外治から身を引け」という題名の時局声明を発表した際、李洙勲氏は声明に署名しています。

こうした過去があることから、彼を駐日韓国大使とする際、韓国国会でも問題視され、野党正しい政党の鄭亮碩議員は「李洙勲を日本に派遣するのは外交するつもりなのか、それとも戦うつもりなのか。このようなメッセージを送りながら日本といかなる安保協力を築いていこうというのか」と批判しています。

実際、李洙勲氏は任期中、日本側の政治家との接触や政策に係る根回しは極めて消極的で、慰安婦財団をめぐり外務次官級会談が東京で開催された際にも地方出張を理由に出席しなかったこともあります。

ただ、昨今の日韓関係の急速悪化をうけ、昨年末あたりからようやく、日本側と接触するようにはなりました。ただそれも束の間。彼は近く離任することが決定しています。

離任に当たって、安倍総理は、李洙勲大使に「日韓関係の管理」と「徴用裁判問題の適切な対応」を文大統領に伝えるようにと要請していますけれども、李大使は「本国に伝える」とのみ答えたそうです

駐日大使の後任には南官杓前国家安保室第2次長が内定していますけれども、彼は90年代に駐日大使館勤務の経験があるとはいえ知日派ではありません。

日韓を繋ぐ政治的なパイプは細いままで改善の兆しは見られません。

東京の消息筋は「日本をよく知る外交官が起用されなければ結局は韓国の国益損失につながるということが分からないのか」と述べているそうですけれども、文政権は自らの「理念」とやらを優先するあまり国益を棄損にしていることは既に政治・経済両面で明らかになっています。

国策シンクタンクの韓国開発研究院(KDI)は4月の経済状況診断で、「内外の需要が低迷し、景気が徐々に不振になってきている」という判断を示し、韓国紙は「経済楽観論を堅持する大統領府に向かって、警告のサイレンを鳴らした」として、文在寅政権に政策転換を求めています。

けれども、国益よりも理念を優先する文在寅大統領がそれを聞き入れ路線変更する可能性は低いと思います。路線変更は自らの「理念」を否定することになるからです。

文政権が今の対応を取る限り、日本は安倍政権の「戦略的無視」を継続することになりそうですね。

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