今日はこの話題です。


4月11日の米韓首脳会談の中身が報じられるにつけ、トランプ大統領の韓国に対する怒りの度が明らかになってきました。
4月13日、国家安全保障会議アジア上級部長、連邦中央情報局(CIA)東アジア太平洋副局長補などを務めたデニス・ワイルダー氏がアメリカ政府系放送「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」の番組に出演し、「文大統領とトランプ大統領の1対1会談時間はたった2分間だったが、どのように解釈できるか」と司会者に問われ、「実は我々は首脳間の1対1会談の時間を制限し、多くの場合プラスの効果を収めている……アメリカが文大統領に1対1会談の時間を多く与えてなかったとしたら、それは文大統領がトランプ大統領に対して催促する機会を与えたくなかったという意味だ。アメリカ大統領が韓国大統領と1対1で会った場で、難しいことを言わせたくなかったということだ」と解説。
そして「見方を変えれば、アメリカが文大統領を守ったとも言える。非公開の状況でトランプ大統領に言われたくないことを言われないように配慮してくれたものだ。非公開でしても、一度出た言葉はどんな形であれ外に漏れてしまうものだ」とコメントしました。
僅か2分の1対1会談は、意図して行ったもので、最初から文大統領に発言させるつもりもなかったというのですね。そればかりか、「アメリカが文大統領を守ったとも言える……トランプ大統領に言われたくないことを言われないように配慮したのだ」と逆に恩を着せられてしまっています。
筆者は4月13日のエントリー「色褪せた米韓同盟を見せつけたトランプと相手にされなかった文在寅」で、「2分ではgoodもfinallyもない。ある意味では米韓同盟の破局を表面化させなかったという『成果』はあったのかもしれない」と述べていますけれども、これは、ワイルダー氏がいう「アメリカが文大統領を守ったとも言える」という見解と同じですね。まぁアメリカは韓国をそう見ているということです。
では、その2分間で、文大統領が「寸鉄人を刺す」が如き凄い何かを言ったのかといえば、やはりそうではなかったようです。
ジャーナリストの加賀孝英氏はアメリカ情報当局関係者の話として、両首脳の会話を伝えています。それは次のとおり。
トランプ大統領「何か言いたいことがあれば、どうぞ」トランプ大統領は文大統領の発言に呆れ、怒った顔で最後の台詞を吐き捨てたそうです。近いうちに南北首脳会談をやるといい、何時やるのかと問い返されて、「分からない。決まってない」とはまるでコントです。
文大統領「近いうちに南北首脳会談を推進するつもりだ」(ニコニコ顔で)
トランプ大統領「いつ?」
文大統領「分からない。何も決まっていない」
トランプ大統領「ハァ? じゃあ、その時は、北朝鮮が何を言ったか、伝えてくれ」
会談の中身がこんな体たらくであったにも拘わらず、韓国政府の鄭義溶国家安保室長は報道発表文で「両首脳は朝鮮半島の完全な非核化及び恒久的平和定着という共同の目標を達成する案について意見が一致した」とし、文大統領が「近いうちに南北首脳会談を推進する計画」を明らかにしたところ、トランプ大統領は「南北首脳会談または南北接触を通じて韓国が把握した北朝鮮の立場をできるだけ早く知らせてほしい」と答えたと公開。
文大統領も、トランプ大統領が韓国の仲介に期待している、米韓首脳会談が成功だったとしています。けれども、いくらなんでもこれは盛り過ぎでしょう。
元在大韓民国特命全権大使で外交経済評論家の武藤正敏氏は「今の韓国の本心は、アメリカの目をかいくぐり何とか北朝鮮に対する経済協力に進みたいというものであろう」とし、今後、文在寅大統領は南北首脳会談に向けて、金正恩氏を説得していくことになるが、特使派遣したくても、金正恩委員長が拒否していることから、韓国からのお土産を持たせるのではないか。その為に、ますます北朝鮮に寄り添っていくことになるのではないか、と予測しています。
確かに文大統領であれば、トランプ大統領の「北朝鮮が何を言ったか、伝えてくれ」の発言を自分勝手に都合よく解釈して、「南北対話を進めることにトランプ大統領からの支持を貰った」と吹聴して、北朝鮮に更に接近していくことは十分あり得ます。
ただ、今でさえ十分にのめり込んでいるのに、これ以上どうやって寄り添えることが出来るのか筆者には、想像も出来ないのですけれども、少なくとも、瀬取り監視は今以上に厳しくなるはずです。なぜなら、日米英豪加仏と錚々たる国々が監視の目を光らせているからです。
4月14日、ウォールストリート・ジャーナル紙は東シナ海での監視活動へ最近投入された米海軍のイージス駆逐艦「ミリアス」への同行取材記を掲載。北朝鮮の瀬取りを監視している現場の模様を伝えていますけれども、「ミリアス」について、「外交を通した解決法が失敗したら、ミリアスの役割が大きく変わることもあり得る」と述べています。
「ミリアス」がイージス駆逐艦であることを考えると、大きく変わる役割とは、本来の任務である軍事行動の可能性が一番大きいでしょう。そうでなくても、たとえば北朝鮮のミサイル発射に備え、追尾迎撃のための事前配備という意図があっても全然おかしくありません。アメリカもそしておそらくは日本も、半島有事をも視界にいれて水面下で準備を進めているのではないかと思われます。
また、有事にならなくとも、「ミリアス」にWSJの同乗ルポを許したということは、瀬取りの実態を広く世界に公開し、経済制裁の穴をふさごうという思惑もあるのではないかと思いますね。
そんな中であって、韓国が北朝鮮に経済援助をするのは自殺行為でしかありません。
このままだと、文在寅大統領は、後の世に「亡国の大統領」であったと呼ばれることになるのかもしれませんね。
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