増税延期と衆参同日選

 
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4月19日、自民党の萩生田光一幹事長代行は10月に予定される消費税の10%への引き上げの延期を示唆した自身の発言について「個人の見解」と釈明しました。

これは4月18日、ネットの「虎ノ門ニュース」に出演し、消費税率の10%への引き上げについて、「景気がちょっと落ちている。ここまで景気回復してきたのに、万一腰折れしたら、何のための増税かということになる……次の日銀の短観をよく見て、『本当に、この先危ないぞ』となったら、崖に向かってみんなを連れて行くわけにはいかないので、違う展開はある」と述べ、更に「増税をやめることになれば、国民の信を問うことになる」と解散総選挙もあり得るとの認識を示したものの、「衆参同日選挙」については、「G20サミットもあるので、なかなか日程的に難しい」と否定しました。

萩生田幹事長代行はこれらの発言について「政府と話していないし、政府方針に異議を唱えたつもりもない」と述べ、日銀短観を例に挙げた真意について「『小さな足元の数字』と言って見落とすことのないよう、全国の仲間と声を聞いていく姿勢を示したかった」と釈明。衆院解散の可能性に触れたことについても「過去の例にならって何らかの国民の了解を得ることの必要性を申し上げた。もとより解散権は総理の専権事項だ」と説明しました。

萩生田幹事長代行が火消しに追われることになったのは、党内外から反発を受けたからです。

18日、菅義偉官房長官は記者会見で「リーマン・ショック級の出来事が起こらない限り、10月に10%に引き上げる予定だ。政府の方針にまったく変わりはない……国会で首相や私が責任をもって答えており、それがすべてだ……内需を中心とした成長が続いており、緩やかに回復しているという基調は変わっていない」とこれまで通りの見解を表明。

翌19日には、麻生太郎副総理兼財務相が、「どういうつもりで言っているのかわからん。迷惑している……安定財源の確保が必要だ」と引き上げ延期を否定しました。

また、自民党の森山国対委員長も「林幹事長代理を通じて二階幹事長に確認したが、党として萩生田氏が発言したような議論をしているということは全くない。党として、そういうことを決めたということではない」と述べ、他の自民党の幹部も「萩生田氏は、どういう立場で発言したのか。そんな発言をする権限はない。立場を考え、発言には気をつけるべきだ」と批判しました。

更に、経済界も18日、日本商工会議所の三村明夫会頭が萩生田氏の発言について「信じられない……中福祉小負担から中福祉中負担に変えるのが消費税の意味合いだ。足元の若干の景気の振れで諦めるのは理解できない。必ず上げると思っている」と厳しく批判しています。

けれども、いくら火消ししたところで、萩生田幹事長代行は安倍総理の下、官房副長官を務めるなど、安倍総理と近い人物です。彼の消費税延期発言は憶測を呼びました。

消費税引き上げに反対する野党側は鋭く反応。

立憲民主党の福山哲郎幹事長は「いよいよ、アベノミクスの破綻が見えてきて与党も慌てだした。国民生活の現状を考えれば、消費税率は上げられるわけがなく、当然だ」としたうえで、衆院解散については「堂々と受けて立つ用意がある。野党で協力して、安倍晋三政権を倒す絶好の機会を得たと考えている」とツイート。

その上で、「『信を問う』とは、当然、衆議院の解散・総選挙と考える。堂々と受けて立ち、ほかの野党と協力して安倍政権を倒す絶好の機会が得られる。衆議院選挙の準備も野党で協力して加速化していきたい」と述べました。

国民民主党の舟山参議院国会対策委員長は記者会見で「政府は、『アベノミクスがうまくいっている、経済はよくなっている、賃金も上がっている』と、ずっと言い続けてきた。誰が見ても、今は、景気が非常によくないが、まずは信を問う前に反省していただきたい」と批判。

共産の志位委員長は、「重大な発言だ。政権与党の中から『増税を確信をもって言えない』という声が出てきたのは、非常に大きい。消費税増税を断念に追い込む戦いをいよいよ強め、それでも増税するのであれば、安倍政権もろとも吹き飛ばす決意だ」とこちらも批判しています。

立憲民主も国民民主も民主党時代に政権を担っていたとき、三党合意で消費税増税を決めた筈です。それがいつの間にか増税反対になっている。信を問う前に反省しろというのなら、自分達も反省すべきでしょう。

いずれにせよ、萩生田幹事長代行の火消し発言の有無に関わらず、「消費増税延期発言」そのものによって、与野党は解散総選挙も視野にいれながら夏の参院選に臨まざるを得なくなったように思いますね。

衆参同日選挙は自民にとっても勝負です。参院選は政権への中間評価としての意味合いで収まりますけれども、衆院選は政権選択選挙であるからです。

衆参で自民が負ければ、安倍総理は退陣の危機に陥りますし、逆に勝てば、安倍総理の4選による超長期政権も現実味を帯びるとの声もあります。その意味では、衆参同日選は、大勝か全てを失うかの大博打になる可能性も秘めています。

ただ、今の所、実際に衆参同日選になる可能性はそれほど高くないと見られています。

ある総理経験者は「もし、会期末に解散して同日選となれば、日本で初めてのG20を『政治空白』の中で主催することになり、国際儀礼に反する」と指摘しています。

もし萩生田幹事長代行が挙げた「6月の日銀短観」の公表を待ってから増税延期を問う解散総選挙を行うとなると、1週間程度の国会会期延長が必要になります。

もっとも、自民国対によると「G20や日ロ首脳会談の国会報告を理由とした会期延長はありうる」としていますから、国会会期延長はないとは言い切れません。

その意味ではまず、今期の国会会期延長があるのかどうか。それが衆参同日選を占う一つの指標になるかもしれませんね。

この記事へのコメント

  • 天邪鬼

    増税延期は決まっていると思います。野党・国民が挙って反対しているから増税をすると選挙に負けます。
    増税対策として打ち出した幼児教育無償化・キャッシュレス促進対策などは増税しても延期して国民を喜ばすべきです。選挙に勝てます。総裁も続投できます。
    財源は当然国債の増発です。すでに1000兆円の借金があるのだから大したことはありません。
    株が下がれば日銀に株を買わせましょう。国民は喜びます。
    付けは将来の国民に負担してもらいましょう。
    ギリシャのようになっても親たちのためだと諦めてくれるでしょう。
    そのうちなんとかなーるだろう♪でいきましょう。気楽に気楽に。
    2019年04月23日 15:14
  • mony

    借金とは?誰が誰にしているものなのでしょうか。財政危機宣言が出てから既に四半世紀。
    一体いつ破綻するんだろう。
    2019年04月23日 16:24

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