今日はこの話題です。


3月28日、世耕経産大臣がテレビ朝日の報道についてツイッターで反論している件がネットの一部で話題になっています。
これは、「コンビニ24時間見直し 世耕経産大臣に経済界が苦言」という見出しで、コンビニの24時間営業の見直しを巡り、コンビニ大手各社の経営トップを聴取する方針を示した世耕経済産業大臣に対し、経済同友会の小林代表幹事が「24時間営業はセールスの手法で、問題を提起するほどのことなのか」と大臣の介入に異議を唱えたと報じた件について、世耕経産大臣自ら、その報道は「ミスリード報道」だと反論したのですね。
コンビニ経営を巡っては、昨今人手不足による過剰勤務が問題になっています。
2月27日、コンビニ加盟店ユニオンは「オーナーは労働者なら過労死が認められるほどの長時間勤務が当たり前。人の命を大事にするのか、チェーンのイメージを大切にするのか、本部は真剣に考えてほしい」と営業時間の短縮や閉店について取り決めをするよう、セブンイレブン・ジャパン社に団体交渉を申し入れしたことを明らかにしました。
おそらくこれを受けてのものだと思われますけれども、セブンイレブンは、3月21日から、直営の10店舗で営業時間の短縮実験を行っています。
実験中は午前5時から午前1時までの20時間営業の店や、午前7時~午後11時の16時間営業の店。そして午前6時~翌午前0時までの18時間営業の店を合わせ、三つの営業時間を設定するとしています。
セブンイレブンという名前も元はといえば、朝7時から夜11時まで営業することから取っていたはずで、その意味では元に戻ったとも言えます。
この問題に関連し、経産省は「近年の労働力不足や雇用賃金の増加などコンビニエンスストアを取り巻く環境は変化していることから、社会インフラとしてのコンビニエンスストアの今後の方向性を探るために、加盟店の実態と個別事例を収集する」として、昨年12月から3月にかけて、日本フランチャイズチェーン協会加盟の8社(コミュニティ・ストア、セイコーマート、セブン-イレブン、デイリーヤマザキ、ファミリーマート、ポプラ、ミニストップ、ローソン)の間加盟店オーナーを対象にアンケート調査を行っています。
その結果はこちらで公開されていますけれども、人手不足の理由の上位2つには「必要な一部の時間帯に勤務できる人が少ない」、「募集しても来てくれない」が挙げられ、理由というか根本的に人がいないことが浮き彫りになっています。
コンビニに外国人店員が増えているのもこうしたことも遠因なのでしょう。筆者的には、コンビニレジあたりは防犯・安全対策をどうにかすれば、ロボットかセルフレジに移行するような気もしますね。
ともあれ、こうした深刻な人手不足等の問題を受け、3月26日、世耕経産相が閣議後の記者会見で「国民にとって、生活のインフラとなっているコンビニエンスストアの持続性の観点から、これは、問題であると考えている。私と店舗数ベースで9割以上を占めるコンビニ大手4社の経営トップと直接、意見交換の場を設けて、各社に行動計画の策定を求めていく。有識者を交えて、コンビニのオーナーやユーザーの声を聞くとともに、各社の行動計画のフォローアップ調査も行いたい」とコンビニ加盟店の経営改善に向けて、行動計画の策定を求めると表明したのですね。
この世耕経産相の発言は至極真っ当なものであるとは思いますけれども、政府が改善を要請するということはそれだけ問題が深刻であり、早急な対応が必要だと考えているということです。要するに、各企業の努力に任せていては埒が明かないと思っているということです。
こうした背景がある中で、3月26日、経済同友会の小林代表幹事は記者会見で、この問題について質問を受け、次の様に発言しています。
Q : コンビニの24時間営業をめぐる問題についてどのように考えているか。このように、経済同友会の小林代表幹事はコンビニの24時間営業については「各企業が好きにやればよい」とした上で、国家が企業の構造にまであまり口を出さないで欲しいと発言しています。
小林: (経営は)企業の自由なので、好きにやればよいのではないか。効率良くコストを減らそうとしたら、真夜中に働くのが良いのか悪いのか。小売業でもそれぞれ特色があるので、選択の問題だと思う。国家が企業の構造に対してあまりに関与することは、いかがなものかと思う。
Q : フランチャイズの現場は(人手不足などを理由に)24時間営業は限界だと言い、コンビニの本部側は24時間営業してほしいと言っている構図だが、これについてはどう考えるか。
小林: フランチャイズ(側)が物理的に(対応)できないことを認めざるを得なくなれば、必然的にそうせざるを得ないだろう。お客様から見ると、夜中まで営業していることが本当にありがたいと感じるかどうかは、なかなか難しい問題だ。コストを含め、お客様のことも考えれば、セールストークとして24時間営業(と謳うこと)は一つの手法であるが、それに対して問題提起するほどのことだろうかと思う。
日テレは、この部分の発言を取り上げ、経済同友会が世耕経産相に異議を唱えたと報じたのですね。
この日テレ報道に世耕経産相はツイッターで反論。
ミスリード報道。小林さんの「国家が企業の構造に対してあまり関与することは如何なものか」との発言はコンビニへの法規制一般について述べたものであり、私とコンビニ経営者との意見交換等を批判したものではない。私に苦言を呈したかのように報道するのはミスリードだ。と日テレを批判しています。
小林代表幹事の発言詳細は経済同友会のHPで確認できます。このやり取りを見る限り、記者は私の言動について質問しているわけではなく、コンビニ24時間営業問題の一般論としてしか質問していないではないか。
確かに、件の経済同友会の記者会見を見ても、世耕経産相の"せ"の字も出てきません。
筆者も記者会見の内容を見る限り、小林代表幹事の「国家が企業の構造に対してあまりに関与することは、いかがなものか」発言は、政府が企業活動に制約や規制を掛けるといった"共産主義的"な法規制をしないでくれという主旨のように聞こえます。
その意味では、小林代表幹事の発言をして、世耕経産相に異議を唱えたというのは、ちょっと記者が曲解したかのような記事だなという印象です。
"共産主義的な規制は止めてくれ"という主旨については世耕経産相も分かっているようで、ツイッターで「私は一部政党等が求めているようなコンビニ法規制等に明確に反対である。だからこそコンビニ経営者と対話し、店舗オーナーと共存共栄を図る行動計画を立てることを要請したいと思っているのだ。そういう点で小林代表幹事とは完全に見解が一致している」と投稿しています。
コンビニ法規制等を求めている一部政党が何処とはいいませんけれども、そんな「共産」的なやり方よりは、自由に工夫できる方がより世の中が進歩していくと思います。
筆者は、コンビニのレジあたりは防犯・安全対策をどうにかすれば、ロボットかセルフレジに移行するのではないかと述べましたけれども、それ以外も飲み物なら飲み物と専門特化して店員のオペレーションの負担を減らすとか、すでにセブンイレブンが実験を始めているような時間短縮営業とか色々やってみればよいと思います。
なんなら、宅配専門にして、ネット注文で近くのコンビニから5分で配達とかも面白いかもしれませんね。
先日も、アイドルグループNGT48の山口真帆さんへの暴行事件について運営会社であるAKSが記者会見を開いたところ、会見途中に山口さん本人から反論ツイートがあり、AKS側がしどろもどろになるという一幕もあったようです。
時代が変わり、情報、それも本人からの一次情報がより早く、より広くに世間に伝わる世の中になりました。
マスコミは報道するということは何かということをもう一度見直さないといけない局面に入っているのではないかと思いますね。
この記事へのコメント
匿名
地域の中核店と支店で区分して、ライフラインに必要な店以外は夜間閉店で良いと考えます。
郵便局も簡易・特定郵便局は休日休みですが、本局は休日も郵便・ATMは稼動してます。
セルフレジなどの合理化にも進むと思われますが、問題の本質は、
その費用・負担をオーナー側に押し付ける、フランチャイズ商法の悪慣習にあります。
本部のオーナーと株主に対する横暴と国民全体の生活バランスの無視など、目に余る事が多くなりました。
コンビニとは、人間に優しくない企業という印象・認識が定着する寸前に来ていると思います。
構造不幸