昨日の続きです。


ハノイでの米朝会談決裂は、韓国に衝撃を与えました。
3月1日、3・1独立運動記念日の記念式典で文大統領は長々と演説を続けたものの、声に力がなく、表情も冴えませんでした。
当初、100年を記念した今回の式典では、文大統領がより過激な日本批判をするであろうと見られていたのですけれども、元徴用工裁判の話や慰安婦問題などの懸案事項については言及せず、植民地時代に日本が韓国人独立運動家を鎮圧した際に多数の死傷者が出たことを、「蛮行」や「虐殺」といった言葉で触れ、「親日残滓の清算はあまりに長く先送りされた宿題だ」と語るくらいで、それ以外には、日韓の協力を呼びかけるなど、日韓融和を滲ませる言葉が目立ちました。
様子を取材していた記者によると、現場には数万人の聴衆が集まっていたものの、文大統領の歯切れ悪い演説が、現場の空気をしらけさせている状況だったそうです。冷え冷えですね。
ある韓国人ジャーナリストは「大統領の言葉に勢いがなかったのは、前日まで行われていた米朝会談が物別れに終わったことが大きかった。韓国政府は米朝会談が成功し、南北統一の機運が高まると期待していただけに、文大統領としては期待外れの結果に終わった。大統領の顔色が冴えなかったのもそのせいだ、という論調は韓国内でも多く見られました」と指摘しています。
なんでも、イベントの列席者のうち、メインゲストとなる大統領夫妻のすぐ横に席を用意されていたのが元慰安婦のイ・ヨンス氏だったそうで、この韓国人ジャーナリストは「おそらく米朝会談が成功裏に終わっていれば、元慰安婦イ・ヨンス氏による反日的な演説が行われ、大統領も慰安婦問題に言及するはずだったであろうことはゲストの席順からも明らかでした。しかし、結果、目立った発言はなかった。それだけ米朝会談のショックが大きかったのだと思います」と述べています。
反日演説の為に万全の大勢を整えていたのに、足元を思いっきり救われたということです。
けれども、それで文在寅大統領の頭の中から、反日も親北も止めるとは思えません。
韓国国内では、文在寅大統領について「頭の中の8割が北朝鮮で占められている」と評されるくらい親北朝鮮であることがよく知られています。
そして、文大統領の周りは「チュサパ(主思派)」達で固められていると指摘されています。
北朝鮮は、マルクス・レーニン主義を朝鮮の現実に適用し、「自主独立」や「自立精神」あるいは「常に朝鮮の事を最初に置く」事を意味する「主体思想」を信奉している事が知られていますけれども、「チュサパ(主思派)」は、この「主体思想」を支持する韓国国内のグループの事で、韓国の各界各層に根付いた「従北勢力」の中心的存在です。
一説には、「チュサパ(主思派)」は、北朝鮮よりも更に強い主体思想を持つとされ、文大統領が、北朝鮮が核放棄する前から38度線の武装解除を始めたのはその思想に基づいてのことだとも言われています。
文政権が反日姿勢を強めているのもこの「チュサパ(主思派)」の影響があると見られていて、文政権は北朝鮮と近づけば近づくほどに反日姿勢を強めていくという指摘もされているようです。
けれども、ここで注目したいのは、3月1日に行われたのは「3・1独立運動記念式典」だけではないという点です。
この日、ソウル市内では、大々的な「反文在寅デモ」が行われていました。
デモには数万人の人が集まり、「文在寅 アウト!」とか、「ムンジェインは北朝鮮のスポークスマンだ!」といったプラカードを掲げました。
「太極旗部隊」と名乗るデモの行列の所々には太極旗と、星条旗がはためき、彼らは大音量の音楽を響かせ、熱いシュプレヒコールをあげながら、ソウル市内を埋め尽くしました。
参加者には、韓国軍OBや、中高年の男性や地方出身者といった、いわゆる保守層、右派が中心で彼らは「我々はアカの政権を打倒する!」と息巻いていたそうです。
少し前、文在寅大統領を護衛するSPが自動小銃を持っていたことが明らかになって騒ぎになったことがありますけれども、文大統領自身もそうした国内事情から自分の身に危険が及んでいることを察知しています。
そうしたことあり、文政権は反日姿勢を維持する為なのかより強権的になっています。
2月15日、文在寅大統領は大統領府で行われた「国家情報院・検察・警察改革戦略会議」で、「今年は特別な年です。100年前、独立運動によって正義に満ちた大韓民国が建設された。日帝強占期、警察と検察は独立運動家を弾圧する植民地支配を補完する機関だった。いまも残る暗い影を改革し、完全に脱ぎ捨てなげればならない。そのために大統領、青瓦台は常に監視、牽制する」と、日帝残滓を徹底的に潰すとも取れる宣言を行っています。
そこまで意気揚々と言い放っていたのが、米朝会談決裂で儚く崩れ去ってしまった。確かに3・1独立運動記念式典での演説で表情が冴えない訳です。
そんな文大統領の従北に強権を振りかざす文大統領に韓国の右派は反発を強めています。
今や、「親北朝鮮、アカの政権を倒すためにクーデターを起こすべきだ」という意見までが右派や韓国軍関係者の中で囁かれるようになっていると言われています。
けれども、実際にクーデーターが起きるかどうかは分かりません。
文在寅政権は韓国軍の機務司令部を対北朝鮮宥和派に入れかえていますし、その他にも軍の人事に過剰介入して圧力をかけているのではないかと言われています。
更に、韓国軍の教育でも北朝鮮融和を進めています。
今年、韓国軍は将兵向けの「精神戦力教育用基本教材」を改定したのですけれども、昨年まで教材に入っていた「韓米同盟の歴史と未来」というチャプターを丸ごと削除していることが明らかになりました。
従来の教材は18の課題で構成され、12番目が「韓米同盟の歴史と未来」という米韓同盟に関するチャプターでした。そこには「韓米同盟と国家安保」「大韓民国を守る強い力、韓米同盟」という内容が含まれていたのですけれども、それが丸ごと削除されたのですね。
韓国軍内部からは不満の声が上がり、ある第一線部隊の政訓将校は「北朝鮮主敵概念を削除して以降、将兵に軍服務の理由について説明するのが難しいという意見がかなりある。なのに韓米同盟の概念すら縮小したいというのだから、何を根拠に政訓教育を実施すべきか、現場では見当もつけられない」と指摘。
この問題について、野党「正しい未来党」のキム・ジュンロ議員は「国防部は、誰が韓国の敵で誰が韓国の同盟なのかを教える肝心の科目だけをそっくり取り除いた」と批判しています。
このように文在寅政権は韓国軍をも北朝鮮寄りにしようとしています。あと10年、20年もすれば、韓国軍の仮想敵国は北朝鮮では無くなっている可能性もあります。
文在寅大統領は「積弊清算」を訴え、次々と粛清をしていますけれども、こうした文大統領の政策が韓国という国の存在を揺るがす「積弊」になっていることを韓国国民は知らないと危ういと思いますね。
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