ファーウエイという踏絵と有名無実化する米韓同盟
今日はこの話題です。
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「妖印刻みし勇者よ、滅びゆく多元宇宙を救え」連載中!
6月12日、アメリカのポンペオ国務長官はラジオ放送のインタビューで「我々は、中国が華為の機器を用いてアメリカに潜り込み、情報収集する問題について話し合い、この件にトランプ大統領は大きな反応を示した……我々は、中国のあらゆるレベルの挑戦からアメリカ人を保護すると決定した……商業的プロジェクトを装った国家安全保障プロジェクトは、国営企業を政治的な影響力と権力を得るために使おうとする試み」と批判しました。
先月21日、中国の崔天凱駐米大使はFOXニュースの番組で、ファーウェイは「ただの民間企業」と強調し、アメリカ政府の対応が「貿易の自由な流れを妨げている」と批判していたのですけれども、ポンぺオ国務長官は23日にCNBCのインタビューで「中国政府と連携していないと、嘘をついている」と批判していました。
今回のインタビューでも、ファーウェイは中国の商業的プロジェクトを装った国家安全保障プロジェクトだと繰り返し批判した形です。揺るがないですね。
アメリカは日本を始めとする同盟国にファーウェイ排除を要請していますけれども、その背景にはこのような認識を持った上で要請していることは改めて確認しておいてよいと思います。
無論、アメリカがそのように要請していても、受けた側の国によって対応には差があります。日本は早々にファーウェイ排除を決めましたけれども、隣の韓国は米中に挟まれて右往左往しています。
6月14日、ロバート・ラプソン駐韓アメリカ次席大使は、韓国国会外交統一委員会の尹相炫委員長と会談し、「韓米軍事安保にとってさまざまな害になりかねない」と、ファーウェイ使用の懸念を伝えています。
昨日のエントリーではハリス駐韓アメリカ大使が、ファーウェイ排除を訴えていることを取り上げましたけれども、ハリス大使は7日にも青瓦台の鄭義溶国家安全保障室長と非公開で会談し「韓国がファーウェイ通信装備を使用する場合、アメリカ政府は敏感な情報の共有を避けるしかない」と通告しています。
それでも、足りないと見てのことなのか、次席大使をも圧力を掛けた訳です。しかも今度は、韓国政府にではなく、韓国国会にです。
駐韓アメリカ大使館は、韓国の民間協会と企業向けのカンファレンスを主催し、ファーウェイ排除を要求していますから、これでアメリカは韓国政府、国会、民間と政財共に要求したことになります。
更に、13日、アメリカ国務省報道官は「アメリカは韓国政府がファーウェイ通信装備購買を中断することを希望していて、それがアメリカ政府の公式立場なのか」との中央日報の質問に対し、「韓国が第5世代ネットワークにファーウェイの通信装備を使用する場合、敏感な情報を露出しない」と答えました。
アメリカの態度は一貫しています。
ハリス大使も国務省も、韓国がファーウェイを採用し続けるならば「敏感な情報は共有しない」と断言しているのですけれども、ではその「敏感な情報」とは何か。
冒頭で述べたように、アメリカがファーウェイを国家安全保障に関わる問題だと捉えている以上、「敏感な情報」とは安全保障に関連する情報だと考えるのが自然です。
安全保障に関する情報を共有しないということは、これは事実上、米韓同盟の有名無実化を意味します。先日取り上げた、戦時統帥権返還に伴う在韓米軍のフリーハンド化と相まって、形の上では、米韓同盟を保ったまま、中身が空っぽになるということです。
韓国の文大統領は、トランプ大統領に何度も訪韓してくれと泣きついて、G20後にトランプ大統領が立ち寄ることになりましたけれども、この状態で、トランプ大統領と会談しても、米中どっちにつくのだ、と返答を迫られることは目に見えています。
6月15日、文大統領は、スウェーデンとの首脳会談後に行われた記者会見で「米朝間の具体的な交渉進展のためには、前に実務交渉が行われる必要がある……実務交渉をベースに首脳会談が行われれば、ハノイでの第2回米朝首脳会談のように合意できず物別れに終わるという事態はもう発生しないだろう」と「先に実務交渉、その後に首脳会談」の順で行われるべきとの立場を表明しました。
これまで文大統領は、北朝鮮の非核化に関する詳細事項を協議する実務交渉よりも、米朝および南北の首脳が直接会って話し合う「トップダウン方式」を主張してきたのですけれども、それを撤回した形です。
この方針転換について、一部では、アメリカと足並みをそろえる姿勢を示すことで「反ファーウェイ」への圧力を緩和しようとする狙いがあるという指摘もされています。確かにそうだとは思いますけれども、だからといって、それでアメリカが手を緩めてくれると思うのは甘い見方だと思います。
なぜなら、北朝鮮の非核化に対してトップ会談するか実務交渉をするかというのは、敵への攻撃方法の違いにしか過ぎませんけれども、ファーウェイを使うというのは、アメリカ自身の安全保障を脅かす、いわば味方に弓引く行為であるからです。
実際、ハリス駐韓大使は、13日、「ファーウェイ製品を使用しても、それが米国と韓国の軍事安全保障に影響を及ぼすとは考えていないとした韓国政府の立場には同意できない」とコメントしています。
いよいよ韓国もファーウエイという踏絵に米韓同盟の存続かかかる事態にまで追い込まれたようです。
この記事へのコメント
匿名
もう手遅れかも知れません。
ばる
URL省略
> LGユープラスだけでなく、SKテレコム、SKブロードバンド、KTなど韓国の大手通信キャリアがいずれも過去4-5年間に中国通信設備大手、華為技術(ファーウェイ)から設備を大量に調達していたことが判明した。
通信システムの基幹を押さえられているので、使うなと米国に言われるのは事業を畳めと言われるのに等しいようです。