今日はこの話題です。


1.日本に喧嘩を売る文在寅
7月15日、韓国の文在寅大統領は大統領府で行った首席秘書官・補佐官会議で、日本が韓国に対する輸出管理強化について、「韓国経済が一段階高い成長を図っている時期に経済成長を防いだことに等しい……結局、日本経済により大きな被害が及ぶことを警告する……日本政府は一方的な圧力をやめ、今からでも外交的な解決の場に戻ることを望む」と述べました。
文大統領は日本の措置について、「自国の産業被害を防ぐための通常の保護貿易措置とは方法と目的が違う……日本は当初、強制徴用を巡る韓国大法院の判決を措置の理由に掲げたが、個人と企業の民事判決を通商問題に結びつけることについて国際社会の支持を得られず、韓国に戦略物資の密輸や対北制裁違反の疑惑があるためであるように言葉を変えた……だが、これは国際輸出体制を模範的に履行しているだけでなく、国連安保理決議を順守し、制裁の枠内で南北関係の発展や朝鮮半島の平和のため総力を傾けている韓国政府に対する重大な挑戦……韓国政府の努力を支持し、朝鮮半島の平和プロセスに参加している国際社会の共同努力に不信をもたらすこと」と反論しています。
文大統領のコメントを見る限り、日本の措置が報復措置ではなく、戦略物資の一部が行方不明になるという「不適切な事由」による管理強化であることは認識しているようです。
あるいは経産省での説明会の報告が上がったのかもしれませんけれども、元経産省官僚で、現在中部大学中部高等学術研究所特任教授の細川昌彦氏によると、経産省の説明会にやってきた韓国側の担当課長は去年”公取委”から着任した、全くこの分野を知らない人で「そんなことも知らないの?」という質問が来て、1つ1つ制度を丹念に説明したので4時間になったのだそうです。
そんな素人を寄越す時点で、先は知れてます。
けれども、その肝心要の「不適切な事由」を指摘されたことについては、韓国への重大な挑戦だと逆切れするだけ。なぜ「再調査して、疑いのない証拠を提出する」といえないのか。
そもそも、元徴用工判決問題では日本の条約に沿った協議の求めをスルーしまくっている癖に、いざ自分が困ると日本に協議しろ、撤回しろと要求ばかりする。
WTOに訴えるだの、アメリカに告げ口するだの、国際機関に判定して貰うだの。他人を巻き込んで「声闘」に終始するのでは、日本の指摘をキチンと受け止めているとはいえませんし、そもそもこれは外交問題ですらありません。
日本はこの問題は協議の対象ではないと一貫して主張しています。
文大統領の「両国が共に国際機関の検証を受けて疑惑を解消し、その結果に従えば良い」というセリフは国際司法裁判所に元徴用工裁判問題が提訴されたときにでも、そっくりそのままお返したいですね。
2.精神論でお茶を濁す韓国
一方、翻って文大統領が、今回韓国国内に対して、どんなメッセージを発しているのかというと、「韓国企業は一時的に困難に直面するかもしれないが、過去、幾度も国民が団結した力で経済危機を克服したように、今回も困難を乗り越える……かえって日本との製造業分業体系に対する信頼を損なわせ、日本の素材・部品・装備に対する依存から脱し、輸入先の多角化や国産化の道を歩んでいくことになる」と強調。
更に「今回のことを禍転じて福となす機会にするという政府の意志は確固としている……外交的な解決のため、あらゆる努力を尽くす一方、企業がこの状況に自信を持って対応できるよう必要なあらゆる支援を惜しまない……いかなる場合でもこの状況を克服する」と述べています。
精神論ばかりです。対日依存脱却は中長期には有効な対策かもしれませんけれども、目の前の問題への対策ではありません。
今回の件について文大統領は、7月8日の首席秘書官・補佐官会議で、「韓国企業に被害が実際に発生した場合、韓国政府としても、必要な対応をせざるを得ない」とコメント。10日に開いた財閥トップらとの懇談会では「韓国政府は日本の不当な輸出制限措置の撤回要求と対応策の準備に非常な覚悟で臨んでいる……前例のない緊急事態だ」と述べています。
更に、12日には、全南道庁で開かれた全南ブルーエコノミー経済ビジョン宣言式での挨拶で、「全南住民が李舜臣将軍と共にわずか12隻の船で国を守った」と、当初の予定原稿にない一文を挟みました。これについても、日本の輸出管理規制強化を意識したのではないかとも言われています。
そして今回のコメント。文大統領は日本の規制措置について、短い期間に何度も取り上げています。困ったことがあるといつも逃げ回っている文在寅大統領が何度もこの問題に触れるということはそれだけ効いているのでしょう。
「経産省の攻勢にたじろぐ韓国」のエントリーでも触れましたけれども、今回の措置に関して経産省は韓国の主張に即座に反論しては次々と撃ち落としていくgoodな対応をしています。
今回の文大統領の発言についても15日、世耕経産相が即座にツイッターで反論しています。次に引用します。
世耕弘成 Hiroshige SEKO@SekoHiroshige今回の措置が対抗措置ではないこと。措置自身も各国の法令に委ねらたものであり、国際機関のチェックを受ける問題ではないとキッパリ反論しています。
報道されている本日の文在寅@韓国大統領の発言について、特に2点に絞って私の考えを述べます。(続く)
続き①
文大統領発言?
「日本は当初、強制徴用を巡る韓国大法院(最高裁)の判決を措置の理由に掲げたが、個人と企業の民事判決を通商問題に結びつけることについて国際社会の支持を得られず、
韓国に戦略物資の密輸や対北制裁違反の疑惑があるためであるように言葉を変えた」(続く)
続き②
発言?への私の考え
日本としては、当初から、「今回の見直しは、安全保障を目的に輸出管理を適切に実施する観点から、その運用を見直すものであり、『対抗措置』ではない」と一貫して説明しています。(続く)
続き③
文大統領発言?
「日本が疑惑を撤回する考えがないなら、韓国政府が提案した通り、両国が共に国際機関の検証を受けて疑惑を解消し、その結果に従えば良い」(続く)
続き④
文大統領発言?への私の考え
輸出許可判断の際の「運用」については、国際輸出管理レジームのワッセナー・アレンジメントの基本指針で各国の法令等に委ねられ、 各国が責任をもって実効性ある管理を行うことが求められており、国際機関のチェックを受けるような性質のものではない。(以上)
願わくば、これらは先の火器管制レーダ問題の時のように、英語を始めとして何ヶ国語にも翻訳して同時発信すべきだと思いますけれども、初動対応としてはOKだと思います。
3.韓国の戯言は一つ残らず撃ち落とせ
さて、今後の韓国の出方についてですけれども、彼らの態度を見る限り、今回の措置について真摯に対応しようとする意志は皆目見られず、騒ぐだけ騒いで周りを巻き込み、日本に圧力を与える「声闘」戦略で向かってくるものと思われます。
となると注意すべきは、マスコミその他を使って、経産省の措置を撤回させるべく、世論誘導を画策することでしょうね。
7月15日、韓国の産業通商資源部は、国会の産業通商資源中小ベンチャー企業委員会に対し、「政府と業界が、ホワイト国からの除外に関する日本の政令改正の意見公募手続きに積極的に対応する」として、日本に対する反論を準備。パブリックコメントの期間内に公式に意見を開陳すると述べています。
あるいは、反論だか声闘だかの意見を大量に書き込んで、あたかも反対意見が多いかのように見せかけてくるのかもしれません。ただそうしたところで、マトモで説得力のある説でもない限り、嫌がらせの域を超えないでしょうね。
JNNの世論調査でも、今回の輸出管理強化について「妥当」と答えた人が58%と過半数を超えています。この流れは変わらないでしょう。
更に18日は徴用工仲裁委員会の回答期限です。この日にもまた何等かの動きがあると思います。
文在寅大統領は対決姿勢を見せていますけれども、日本は韓国からの世論工作に目を光らせ、たとえ嘘や戯言であっても、いちいち反論して潰していくことが大事だと思いますね。
この記事へのコメント
匿名
願ったり叶ったりでは無いでしょうか。
正にマスコミが焚きつけて営業した成果が韓国政府の意見広告ですから。