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「妖印刻みし勇者よ、滅びゆく多元宇宙を救え」連載中!
1.実現性の低い韓国の報復案
今回の半導体材料の輸出管理強化措置について、韓国世論は反発しています。
7月4日、韓国調査機関のリアルメーターは4日、今回の輸出管理強化に関する世論調査で「世界貿易機関(WTO)提訴など国際法で対応すべきだ」と回答した割合が45.5%。「輸出入規制など経済報復で対応」が24.4%となり、「韓国が一部譲歩し、外交で解決」は22%と発表しました。
実に7割がWTO提訴や経済報復で対応すべしとなっています。唯一の解決策である韓国が譲歩する(一部では全然足りませんけれども)は2割しかありません。
つまり、韓国政府が日本に謝罪して外交解決を図ろうとしても、韓国世論が許さないという訳です。やるなら水面下で土下座するしかないのですけれども、土下座すべき案件が余りにも多すぎて、韓国国内を宥めることはほぼ不可能でしょうね。
韓国の産業資源部はWTO提訴以外に「戦略物資の対日輸出制限」、「日本製品輸入規制」、「日本観光ボイコット」、「日本製品の不買」、「米国や中国、EUなど國際社会と協調して日本に圧力を掛ける」等の対策を検討しているようですけれども、これについてコリア・レポート編集長の辺真一は、それぞれの対策について実現性は低いと指摘しています。
その要旨は次のとおり。
1)WTOへの提訴辺真一氏の指摘どおりだとすれば、ほとんど手がないということになります。単に優遇措置を無くしただけで、禁輸した訳ではないのに、この騒ぎ様。それほど日本に甘え、依存していたということですね。
韓国は「関税及び貿易に関する一般協定(GATT)11条に違反している」として日本の不当性を訴える構えに対し、日本は「優遇措置を外しただけで、輸出を禁じたわけではないのでWTO協定には違反してない」という立場。韓国が勝てるとの保証はない。仮に勝訴しても数年先のことで即効性に問題がある。
2)戦略物資の対日輸出制限
韓国産製品の対日輸出、特に世界市場で60%を占有しているDRAMとNAND型フラッシュメモリー半導体の日本輸出を制限する案もあるが現実的には難しい。半導体はグローバル戦略物資協定に基づき、戦略物資には該当しないので、対日輸出制限を正当化することはできない。半導体の対日輸出は韓国にとっては外貨稼ぎの「ドル箱」である。
仮に韓国が半導体輸出を規制すれば、短期的には日本に痛手を与えることができるかもしれないが、日本が台湾など代替国先を見つけるのは時間の問題だ。
日本への自動車部品の輸出規制も検討されているようだが、韓国企業の信頼度が損なうだけで、中小企業の日本輸出の道を閉ざす恐れもある。実現性は低い。
3)日本製品の輸入規制
自動車や衣類など各種輸入通関の手続きを強化する案。自働車の場合、排出ガスや騒音などを理由に、また韓国に進出した日本の代表的なブランド品やファッション製品には知的財産権違反などの理由に書類審査や検査などを強化することで規制を掛ける案だが、これまた日本のWTO提訴対象になりかねない。韓国人ドライバーのニーズにマッチした日本車を市場から排除するのは容易ではない。
4)米国や中国、EUとの協調による対日圧力
日本の規制措置で実際に韓国の半導体生産に被害が出れば、半導体を輸入している米国、EUなどにも被害が及ぶことからこれら国々と協調して日本を圧迫して、断念させる案。しかし、韓国よりも日本との貿易量の多いこれら国々がどこまで同調してくれるのか疑問である。
5)日本観光ボイコット
昨年、日本を訪れた韓国人は753万人。訪日外国人の4人に1人は韓国人である。日本旅行を制限すれば、日本の観光業界に打撃を与え、日本の観光客年間目標(4000万人)の達成は困難となる。
韓国の旅行代理店によると、7~8月に日本旅行を予約した人は55000人に上るが、今のところ、キャンセル料を払って、予約を取り消す人は少ないとのことだ。
6)日本製品の不買
オンラインやSNSを中心に日本政府不買運動が広がっており、カメラ、自動車、電子製品、ブランド品、時計、衣類など不買対象の日本企業のリストまで上がっている。
「日本の経済制裁に対して政府の報復措置を請願する」との青瓦台への国民請願は2日間で7400人が賛同していた。しかし、1ヶ月で180万人を超える賛同が集まった野党第1党の「自由韓国党」の解党を求める請願に比べると、反応は遥かに鈍い。
2.三品目が事実上の禁輸となる理由
けれども問題は、優遇措置撤廃が禁輸にまで繋がるかどうかです。件の管理強化する半導体材料3品目の在庫が韓国に1~3ヶ月分しかないことを考えると、禁輸になれば、半導体の生産ラインはたちまち止まります。
これについて、元通産官僚で、エネルギーコンサルタント、アゴラ研究所フェローの宇佐美典也氏は次のように述べています。
貿易管理の枠組みにおいて本省自ら個別契約の審査をするのは「原則NG」とするものが中心で、ある程度運用が固まり事務が地方局に降ろされるまでは輸出制限に近い効果が生じるものと思われる。
個別品目が韓国産業界に与える影響や、この措置の是非自体については、本稿の目的を超えるのでまた別の機会があればまとめることとしたいが、仮にこの措置が長期化した場合、韓国産業界の命運は日本の経済産業省に握られることになるのは間違いないだろう。
宇佐美氏によれば、今回の経産省の措置は、韓国が現状ホワイト国でありながら一部品目については包括許可の対象から取り外すことで、韓国だけを対象とした貿易管理を可能とし、更に、契約の許可の審査は各地方局ではなく、経済産業省本省が自ら審査するものとしたと指摘しています。
そして、この経済産業省本省が自ら審査する物品は、まず「原則NG」にして運用が固まってから地方に下ろしていくというのですね。従ってそれまでは事実上の「禁輸に近い」状態になるということのようです。
読売が今回の措置を「禁輸」としていたのも、こうした背景があった上での記事であれば、それなりの信憑性があると見てよいと思います。
件の3品目が事実上の禁輸になれば、韓国半導体メーカーは壊滅的な打撃を受けることは間違いありません。まぁ生産ラインが完全ストップにはならないまでも、生産効率が落ち、コストアップは避けられないでしょうね。
3.解決する意思がない文在寅政権
ここにきて、流石に韓国側からも徴用工判決問題に真剣に対応すべきではないかという声が上がり始めました。
7月2日、ソウル高裁のカン・ミング部長判事は、ネット上で「司法府も国家システム中の一つにすぎないと、外交の相手方は当然見なす……梁承泰司法府で宣告を遅らせていたのは、当時朴槿恵政権で外交的・政策的方法でこの問題を解決する時間を稼いでやった面がないわけではないとみられる。ところが今は司法権の乱用として追及され、大法院長が逮捕されるというまれな事態につながった」とコメントしました。
前朴槿恵政権で徴用工判決が中々出なかったのは、その間に外交的に解決するようにとの時間稼ぎだったというのですね。確かにその面はあったと思います。けれども、文在寅政権はそれを踏みにじって今の事態を招くことになった。
日本が何度も韓国政府に対応を促し、報復措置もあり得ると警告しました。それらを一切放置したのは文在寅政権です。
カン部長判事は「司法府の判断を政権としてはどうにもできない、という対応法は、外交関係では通用しない。最も避けるべきことは感情的な民族主義の扇動」とも語っていますけれども、今のところ文在寅政権に徴用工問題を正しく解決しようという意思は見られません。
韓国与党内でも、徴用判決があっても日本企業の賠償責任を一時的に免除する特別法を制定する案も検討されたそうなのですけれども、与党関係者は「特別法の議論があったが、大統領府が否定的だった」と述べ、ある元大使は「幾つもの解決策が、出るたびに青瓦台から拒否されている。大統領が乗り出すしかない」と苦言を呈したそうです。
ようやく、韓国政界の中でも、国内の徴用工判決より、国際法を優先すべきだという声が出てきました。ただ文在寅政権が聴く耳を持っていませんからね。
今後、経済的実害がどんどん出てきたとき、文在寅政権がどう対応するのか。要注目です。
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