昨日の続きです。


1.懸命な対応など求めても無駄
GSOMIAショックが日米政府を襲っています。
22日、韓国政府が、GSOMIAを破棄すると発表したことについて、河野外相は、韓国のナム・グァンピョ駐日大使を外務省に呼び抗議。
そして、記者団に対し「韓国政府が協定の終了を決定したことは現下の地域の安全保障環境を完全に見誤った対応と言わざるをえない。韓国政府が、安全保障の文脈において、韓国政府の今回の決定と、日本の輸出管理の運用見直しを関連づけているが、この2つは全く異なる次元の問題であり、韓国側の主張は全く受け入れられるものではない。こうした決定をしていることに断固として抗議をしたい……日韓関係は現在、今回の決定を含め、韓国側からの極めて否定的かつ非合理的な動きが相次ぎ、非常に厳しい状況が続いているが、日本政府としては、さまざまな問題についてのわが国の一貫した立場に基づき、引き続き韓国側に賢明な対応を強く求めていく」と述べました。
常識ではありえない決定ですからね。
韓国外交部もGSOMIA延長を望んでいたのを文在寅大統領が引っ繰り返したという話も伝えられています。
そこまで強権発動する文在寅大統領には、もう"賢明な対応"を求めても無駄のような気がします。
今の文大統領がどの程度支持されているかは次の世論調査を待たなければいけませんけれども、韓国のネットユーザーからは「ムンさすが」、「これが本当に保守の姿だ」、「大韓民国ファイティン!」、「韓日サッカー5対0で勝った感じ」と喜びのコメントで溢れていると伝えられています。自国の安全保障を危険に晒す決定をして批判どころか支持とは言葉もありません。
2.反日が壊したブレーキ
それでも、翌日には少し落ち着いたのか、「近いうちに世界地図から大韓民国が消えそう」とか「自傷行為、恐喝大韓民国」など、GSOMIA破棄を批判する声も出ているようです。
また、韓国マスコミと野党も流石に危機感を覚えているようで、ニュース専門のテレビ局「YTN」も「アメリカを含めた3ヶ国の協力を考慮して延長するという見方が多かった。政府は思い切った決断を下した」と報じ、「中央日報」の電子版は「日本との対立は歴史問題から経済を飛び越え、安全保障の領域まで広がった……1965年の国交正常化以降、これまでに見たことのない全面戦争のようだ」と報道。
韓国の通信社「連合ニュース」も「安全保障面での協力までもが破棄されたことで、両国の対立は最高潮に達するとみられる」と韓国国内への影響についても懸念を示しています。
最大野党「自由韓国党」は「日米韓の連携」よりも北朝鮮・中国・ロシア側を選んだ可能性を指摘し、「理性を失った決定」として強く批判し、文在寅大統領が法務部長官候補に指名したチョ・グク前青瓦台民情首席秘書官の家族に関する不正が取り沙汰され、この人事に対する批判が高まる中、このような決定を下したのは、批判をそらす目的があると非難しました。
更に、同じく「自由韓国党」のナ・ギョンウォン院内代表は記者団に対し、歴史問題が経済につながり、さらに安保問題にまで影響したことに強い懸念があるとし、「伝統的な韓米同盟と韓米日協力よりも北、中国、ロシア体制に入ろうとする内心を見せたのではないかと思う……結局は国益よりは政権の利益に従った決定ではないかという気がする」と指摘しています。
ただ、「自由韓国党」の一部では、GSOMIAの破棄を強く批判すれば、国民に「日本びいき」のレッテルを貼られる可能性があると懸念する声もあるそうです。ある意味、反日がブレーキを壊してしまっているといえるのかもしれません。
3.大いなる思い違い
一方、政府与党はけろりとGSOMIA破棄を日本のせいにして正当化しています。
韓国大統領府の関係者は、破棄の決定はあくまで「日本が先に優遇対象国の除外という措置を取ったためで、その後、韓国の外交努力にも応じなかった……そもそも協定のメリットは大きくなく、アメリカも決定に理解を示している」と主張しています。
本当に、アメリカが韓国の決定に理解を示しているのなら、 それなりのコメントがある筈ですけれども、現実は逆です。
22日、ポンぺオ国務長官は、訪問先のカナダでの記者会見で「失望した」と発言。さらにアメリカ国防総省は、「情報共有は共通の防衛政策と戦略にとってカギになる……私達は日本と韓国に意見の違いを解決するよう促している。彼らがそれを早く実現するよう望んでいる」との声明を発表しています。
理解を示しているのなら「失望」などという言葉は出てこないはずです。実際アメリカ政府消息筋は「米国政府はGSOMIA終了決定に不満だ……特に韓国政府が『アメリカが理解している』と言ったことが不愉快である。 事実ではない」と否定されています。
アメリカ国防総省の当局者からは「韓国軍もプロフェッショナルであり、最後は協定を延長するという判断に落ち着いてくれるだろう」との声も出ていたそうです。
また国務省の広報担当者によると「アメリカは文政権に対して、破棄を決めれば、アメリカと同盟国の安全保障上の利益に悪影響を及ぼし、北東アジアの安全保障問題の深刻さに対する文政権の大いなる思い違いを知らしめることになると繰り返し伝えてきた」と、韓国の決定を批判しています。
実際、トランプ政権の高官は、韓国政府から事前に「協定破棄の意思はない」との意向を伝えられていたそうですから、完全に裏切られた形です。
これまで日本に対してやっていたような「裏切り」をアメリカにやって、ただで済むとは思えません。間違いなく韓国は、自身の「思い違い」をアメリカから思い知らされることになるでしょうね。
ただ、日本とて対岸の火事と笑っていられるわけではありません。
米韓同盟破棄、在韓米軍撤退も視野にいれて準備を始めるべきだと思います。
在韓米軍撤退となると、対馬まで防衛ラインが下がることになります。それを考えると、いっそのこと、陸自の対馬駐屯地を拡張して、撤収する在韓米軍の一部を対馬に置くことも考えてもいいかもしれません。
対馬に数千人単位で米軍が駐留すれば、経済的にも助かる筈ですし、半島有事の際にも半島に近い分だけ有利です。また、破棄されるGSOMIAのカバーとして、対馬に大規模なレーダーサイトを置くなど情報収集の部分でも対馬を活用する案もあるかと思います。
この記事へのコメント
ばる
正: 1.賢明な対応など求めても無駄
さんさん
何故、このように極端に分かりやすい狂気にムンが走るかと不思議に成るんですが、北朝鮮内に残してきた、叔母一族が北の人質になってる疑いが有りますね
文在寅(ムン・ジェイン)である。盧武鉉の側近だった文在寅は、この時、市民社会首席秘書官として2回目の青瓦台入りを果たしていた。再会事業に参加した南鮮高官としては最も高位だ。
再会したのは叔母だった。文在寅の母親は北朝鮮中部・咸鏡南道の出身で朝鮮戦争中、夫と共に南鮮に逃れてきた避難民。新大統領は、いわば在南2世。訪朝経験者が大統領になった初のケースでもある。
氏族の出身地(本貫)が北朝鮮内にあることは特異ではない。初代大統領の李承晩も現在の北朝鮮西海岸が故郷だった。問題は、北朝鮮国内に人質として使える大統領の親族がいることだ。
10年以上前に再会した叔母が故人となっていても、その子や孫は北で暮らしている。土壇場にならずとも北朝鮮は容赦無く「人質カード」を切ってくるだろう。朝鮮半島に金正恩の高笑いが響く。
東アジア黙示録
2017年05月13日
南鮮に狂い咲く北の毒花…文在寅と金正恩の異榻同夢
ぽいぽい
そして、金正恩ならば、その人なりの正義を持ってはいるが、道を誤ってしまった、哀しい悪役として登場させられますが、ムンジェインには、どうでもいいチンピラ役しかさせられそうもありません。私の中では、金委員長のほうが、まだ筋が通っているからです。
低い城の男
日本もこれまで譲歩に続く譲歩をし、配慮の上にも配慮を重ねてきて、もう後がないようなので、日本の側から何かしたくてもできないのが現状なのでしょうか。
それでも日本が更に譲って配慮すべきだ、という声が、有力な新聞社や政党や政治家から出ています。
私は、もともとはどちらかというとリベラルの方なので、こういう主張をする方々の考え方が分からないでもないのですが、こういう方々の思いとは裏腹に、むしろ事態を悪化させ長期化する効果しか生まないのではないかと憂慮しています。
日本の元首相とか、元最有力自民党総裁候補からこういう声が出れば、韓国の方々が、日本のそういう然るべき方からこういう声が出ているのだから、韓国の考え方のほうが正しいと思ってしまうのは無理からんことでしょう。
これが、逆に、日本の非常にリベラルな方々まで韓国政府の対応はおかしい、と一致していれば、韓国の国民の方々も、これはひょっとしたら自分たちがマズいことをしているのではないか、と自省するきっかけになったはずなのですが。
思い起こせば、あの慰安婦の問題を提起したのも、リベラルといわれている朝日新聞社でしたが、その結果どうなったかというと、韓国との関係悪化に喝采をするいわゆるネトウヨらが大喜びするような事態に至っています。
朝日新聞社には、少なくとも社全体としては、日韓に亀裂を入れて、韓国を日米陣営から大陸諸国側に追いやろうとする深謀遠慮などはなかったのでしょうが、結果としては、その方向での一番の貢献者になってしまったのでした。
ここまできたら、日本としては、事実だけを潤色なしで世界に向けて説明をし、国際的に通用する普遍的な原理原則に従って、淡々と対応していくしかないと思います。
インド辛え~
初めまして、何時も拝見させて頂いております。 コメントを書込するのは、今日が初めてでございます。(何時もは、ヒロさん、ポカ~ン国等々に書込しています。)
アメリカに逆らって(軍事同盟のまま)、私も無事で済むハズが無い!と、思われますね。
かつて1989年~1990年にパナマの
「故ノリエガ将軍!。」が、軍事同盟関係まま、アメリカに「事実上の叛逆!」を起こして、当時の故ブッシュ元大統領の
「パナマ侵攻」を招き、アメリカの特殊部隊に「生け捕り!」されて、フロリダ州に送られました!。 トランプ大統領とアメリカ議会両院の軍事外交委員会も、文在寅政権を許すハズが無い限りですから、ランボー(乱暴)かつ妄想全開ですが、「パナマ侵攻の二の舞(笑)?!」は、可能性も有るかもしれないかなぁ~(笑)。
日比野
いつもすみません。訂正しました。
日比野
こんばんは。文在寅の親族が北朝鮮にいるというのは、前から指摘されていましたね。でも、曲がりなりにも韓国の大統領なのですから、韓国の国益を考えないというのはおかしいですよね。
日比野
こんばんは。
文在寅は暴走してますよねぇ。御指摘のとおり、金正恩のほうが一貫してる分、話は出来る気はしますね。トランプも金正恩とは話が出来ると思っているのではないでしょうか?
文在寅はもうすっかり信用をなくしましたね
日比野
こんばんは。
>とある韓国の会社と、ささやかながら取引のある身としては事態が改善の方向に向かうことを祈るばかりです。
それは気が気でないですね。
今のところは、文在寅政権のうちは改善はかなり厳しいかと。GSOMIAまで破棄するとは反日も筋金というか鉄骨が入っていますね。
もう十年前とは世論が大分変っていますから、リベラル系がこれまでの言論を繰り返しても却って反発を生むだけのように私も思います。
韓国はまだまだ(いつものように)プロパガンダを仕掛けてくると思われますので、スルーせずに一々撃ち落とすことが大事だと思います。
日比野
始めまして。こんばんは。何時も日比野庵を見て頂いているとのこと、有難うございます。
故ノリエガ将軍のようになるかは分かりませんけれども、日本政府関係者からは、「アメリカがとても怒っている。韓国は読み違えた」という指摘もあるようですから、やはり何等かの報復はあるでしょうね。
今後共よろしくお願いいたします。
インド辛え~
ご丁寧な挨拶とコメントをして頂きまして、ありがとうございます。
まるで、日本の歴史上の戦国時代に置ける、豊臣秀吉(トランプ大統領)と
北条氏政(文在寅大統領)との、狸と狐のケンカに名胡桃城(GSOMIAの破棄)が、巻き添え食った真田藩 真田昌幸(安倍総理)
との「温故知新モドキ(笑)!」みたいな主張は、穿ち過ぎな見方でしょうね(笑)。
お休みなさい。 敬具。