文在寅の弱点は何処か

 
今日はこの話題です。
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1.韓国が望むのは仲裁ではなく、米国に味方になってほしいということだ

アメリカで、今後の米韓同盟に不安を覚える声が出てきています。

9月9日、アメリカ・ワシントンのシンクタンク、民主主義防衛財団(FDD)のデビッド・マクスウェル主任研究員は、韓国がGSOMIAを破棄したことによる米韓同盟に与える影響に注目していると、韓国中央日報のインタビューに答えました。次に引用します。
――文在寅(ムン・ジェイン)大統領が11月に協定終了を実行した場合、米国の立場は。

「本当に残念(shame)だ。歴史問題も解決できず、協定終了による被害はそっくりそのまま韓国が受けることになる。日本が譲歩しなければ文大統領はそのような決定を下す可能性がある」

――韓国がどのような被害を受けるか。

「GSOMIA中断の決定は腹立ちまぎれに自害した格好(Cutting off the nose to spite the face)だ。日本に補償を要求するのは感情的に満足を得るかもしれないが、北朝鮮という実在する敵の前で韓国の国防力を弱体化させることだ。韓国と日本の情報能力は同じではない。例えば、韓国は北朝鮮を観察する衛星がないが、日本にはある。米国は衛星写真の分析技術が最高水準だが、対人情報や言語は韓国に追いつくことができない。情報は相互補完を通じて完成される」

――GSOMIAを終了しても安全保障に損失がないという主張もあるが。

「GSOMIAは危機が迫ってはじめて、その価値が分かる。効用がないのは運良くまだリアルタイムで情報を共有すべき差し迫った危機が起こっていないという意味だ。それ自体が無駄ということとは異なる話だ。協定は国家間で交わされた情報の公開を禁止する。 「韓国が受けた情報はない」という主張は嘘か、韓国を信頼できないという日本の主張が正しいということを見せていることになる」

――韓国は米国の仲裁を期待している。

「米国は韓日葛藤に関与しないというのが基本的な立場だ。仲裁に出てどちらかの肩を持つように見えた場合、もう一方の不満が大きくなる。さらに、韓国が望むのは仲裁ではなく、米国に味方になってほしいということだ。米国としては受け入れがたいことだ。韓国も日本も重要な同盟だからだ」

――解決策があるか。

「韓日首脳がそれぞれの国内の政治的基盤と大衆情緒を後回しにして勇気と決断を示さなければならない。日本が韓国に大きな被害を与えたし、米国にも責任があるが、韓国人自身も基本的な問いかけをしなければならない。感情的に対応してしまうのか、理性的な姿勢で国の繁栄を遂げるのか、日本と北朝鮮のどちらがより大きな敵なのか」

――現在、韓米同盟が弱体化しているか。

「同盟は結婚のように浮き沈みを経る。同盟が弱まったというよりは解決すべき問題が多いというのが正確な表現だ。韓日の歴史葛藤とGSOMIA終了、防衛費分担金交渉と戦時作戦統制権の転換など懸案が山積している。しかし、自由民主主義と市場経済という価値を共有し、北朝鮮という共同の敵がいるため異見は解消できる」
このように中央日報の取材に対し、マクスウェル主任研究員は歯に衣着せぬ発言をしています。

「GSOMIA中断の決定は腹立ちまぎれに自害した格好だ」とボロクソです。

GSOMIAについて韓国政府が「受けた情報はない」と主張しているのに対しても、それは嘘か日本が韓国を信頼できないというのが正しいかどちらかだと断じています。

また、韓国がアメリカに日韓関係の仲裁を期待しているという質問にも、韓国が求めているのは仲裁ではなくアメリカに韓国の味方をして欲しいということだ、とキッパリと発言しています。

そして、解決策として、感情的に対応してしまうのか、理性的な姿勢で国の繁栄を遂げるのか、日本と北朝鮮のどちらがより大きな敵なのか、韓国人自身も基本的な問いかけをせよと切り捨てています。

要するに、今までの振舞いを反省しろということであり、相当イラついていることが窺えますし、遂にこういう意見がダイレクトに出る局面になったということでしょう。


2.CIAが文政権の転覆を図る

韓国がGSOMIA破棄を発表するまで、日米ともGSOMIAの破棄はないだろうとする見方が大勢でした。アメリカも直前までそう思っていました。

ジャーナリストの須田慎一郎氏は、8月16日にアメリカ大統領補佐官のピーター・ナバロ氏に「仮にGSOMIAから韓国が離脱したらどうなりますか、アメリカはどういった反応を示しますか?」と聞いたのですけれども、ナバロ氏は、鼻で笑って、「そんな仮定の問題には答えられないし、離脱するはずがない」と答えたのだそうです。

それでも「もし万が一、離脱することになったらどのように認識するか」と食い下がると、ナバロ氏は「それは韓国が中国側の陣営に加わるということだ」と指摘したのだそうです。

須田氏はGSOMIAについて、日本の自衛隊の佐官級の人に話を聞いたら、締結するまでこの交渉は8年くらい続けていたという話を紹介し、それを一瞬にして土台からぶち壊すというのは、大きな問題だと述べています。

これだけでも、アメリカが激怒するのに十分でしょうね。

既に、アメリカ政府は韓国の文在寅政権に厳しい目を向けています。

韓国がGSOMIA破棄を発表したことについて、国防省は次々と不満と怒りを表明しています。その報復なのかどうかは分かりませんけれども、シュライバー国防次官補は韓国に発表の撤回を要求し、韓国がGSOMIA破棄にアメリカが理解を示していると発表したことを嘘だと糾弾しています。

ある全国紙国際部記者は、「アメリカ国防総省の高官がメディアを使って文政権のウソをバラしたり、怒りを表明したりしているのは、すべて計算ずく。通常の外交なら水面下で韓国にアプローチするはずなのに、今回はあえてメディアに向け発信している。これは、"親北朝鮮"である文政権の性質を際立たせ、韓国国民の動揺を誘うためです。結果、韓国で反政権デモが拡大し、文政権が倒れてもいいとさえアメリカは考えているのでしょう」と述べています。

また、国際ジャーナリスト・山田敏弘氏は、「アメリカが、自国にとって不利益になる他国の政権を倒すために、CIAを動員して秘密工作などを行った例は数えればキリがありません。……文政権に敵対する政治組織に資金援助を行ったり、政権に打撃となるような情報を提供したりして、CIAが文政権の転覆を図る可能性は否定できません」と、CIAが文在寅政権転覆に動く可能性について指摘しています。


3.二分する韓国世論

実際、現在韓国では、文大統領を糾弾するデモが行われていますし、今も、チョ・グク氏を巡る不正問題が韓国世論を賑わせています。

けれども、それで文在寅政権が倒れるかというと、そうともいえないという見方があります。

毎日新聞記者で元ソウル支局長の澤田克己氏は「政権を支持する人たちはチョ・グク氏任命を歓迎し、不支持の人は反発する。8月末から9月上旬にかけて何回も行われた世論調査では、政権を支持する人の9割が任命賛成、不支持の人の9割超が反対という結果が続いた。チョ氏の娘が大学や大学院に不正入学した疑惑に対して怒っている若者は多いけれど、その怒りを全国民が共有しているわけではない」と述べ、チョ氏の法相任命強行は、世論が反対一色ではないことを見切った上でのことだと指摘しています。

要するに韓国世論が二分しているということなのですけれども、文大統領は、少しでも自身への支持が多ければそれでよしと判断したのかもしれません。

更に澤田氏は、朴槿恵前大統領が、いわゆる「ロウソク集会」で弾劾されたことと文大統領に対する反対について、興味深い違いを指摘しています。

それは、韓国人の知識人に対する感覚に差があるというのですね。

朴槿恵前大統領が弾劾される切っ掛けとなった崔順実被告は、「学もなく、公的役職に就いているわけでもない、ただの中年女性。しかも故人となっていた父親は、独裁者の娘だった若き日の朴氏に接近して権勢を振るっていたことで知られる新興宗教の教祖」であり、それは、「儒教の影響が残り、知識人による支配を当然視する韓国社会では崔氏のあやしげなイメージは受け入れ難いものだったのだろう」というのですね。

当時、澤田氏は「崔被告がソウル大教授だったら、ここまでの問題にはならなかっただろうに」と日本人の専門家と話していたのだそうです。

そして、韓国では、政治家の側近や家族が様々なスキャンダルに見舞われることは、これまでの政権でもずっと繰り返されてきたことであり、文大統領を朴前大統領と同じように弾劾訴追に追い込むのはハードルが高いと述べています。

この澤田氏の指摘が本当であれば、チョ・グク氏スキャンダルは韓国世論を二分し、韓国政治を不安定化させることはあっても、文在寅大統領の退陣には繋がらないということになります。

従って、もしも、アメリカ政府が文在寅大統領の退陣を画策し、CIAか何かに工作させようとするならば、チョ・グク氏スキャンダルではなく、別の手を使わなければならないことになります。


4.文在寅のウィークポイント

仮に、もしCIAなりどこかの工作が上手くいって、文在寅大統領を退陣に追い込むことが出来たとしても、その次の大統領が親米であるとは限りません。

9月9日から11日に掛けて、世論調査専門機関カンターコリアがソウル放送の依頼で、全国満19歳以上の成人1026人を対象に「来年すぐに大統領選挙をする場合どの候補を選択するか」との調査をしたのですけれども、その結果、李洛淵首相が15.9%で1位、黄教安韓国党代表が14.4%で2位。そして、問題のチョ・グク長官が7%で3位となりました。

チョ・グク氏は同じカンターコリアの8月15日の世論調査では4.4%と6位だったのが、スキャンダルに見舞われたにも関わらず、たった1ヶ月余りで2.6%上昇し、3つも順位を上げているのですね。

チョ・グク氏は「反日・離米派」とされる人物です。文在寅大統領を排除したと思ったら、また離米派が大統領になったとしたら意味がありません。

ただ、この世論調査では、来年の総選挙でどの要因を最も考慮するかという質問もしていて、それでは、「経済状況」という回答が43.4%で最も多く、「政界改編」24%、「外交問題」17%、「南北関係」9.4%の順となっているのですね。

つまり、経済問題が、今の文在寅政権の弱点であり、次の政権のポイントになるということです。

逆にいえば、韓国は経済問題で責め立てれば、文在寅政権への圧力になるということです。あとは経済問題ということですけれども、これは韓国が今後の経済立て直しおよび経済発展を、日米を頼りにするか、中国を頼りにするかのどちらを選択するかによって変わってくるだろうと思われます。

単に、韓国を経済焦土化すれば、アメリカに泣いて縋るかというとそうとは限らない。必ず米中を天秤に掛け、良さ気な方にコウモリする筈ですし、文政権の影響が残っていれば、それだけ中国を選ぶ可能性が高まると思います。

その意味では、韓国が中国側につく、レッドチーム入りすることも十分念頭にいれて、日本は今から韓国との関係を薄めていくことを考えるのが大事ではないかと思いますね。

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