今日はこの話題です。


1.日米首脳会談
9月25日、安倍総理はニューヨークでトランプ大統領と会談し、中東地域の緊張緩和と情勢安定化に向けて日米両国で緊密に協力していくことで一致しました。
会談後の記者会見で安倍総理は「緊張緩和に向けた方策について率直な話し合いをした。相当突っ込んだ情勢についての意見交換を行った」と説明しています。
9月14日、サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコの施設2ヶ所が無人機による攻撃を受けて炎上する事件が発生。同じく14日、イエメンの反政府武装組織フーシが傘下のテレビ局「アルマシラ」で、東部アブカイクとクライスにある施設を無人機10機で攻撃したとの犯行声明を出しています。
これについて、アメリカのポンペオ国務長官は、イエメンからの攻撃だったという証拠は何もないとし、フーシを支援するイランによる犯行との見方を示しているのですけれども、今回の日米首脳会談で安倍総理はイエメンの親イラン武装組織フーシ派が行うのは能力的に困難だとの見方を示したようです。
その一方、「事案の評価については情報収集、分析を進めており、引き続き米国を含む関係国と連携していく」と、結論を先送りにしています。
安倍総理は、24日に行ったイランのロウハニ大統領との会談結果をトランプ大統領に伝え、「イランが情勢の沈静化に向けて自制し、建設的に影響力を行使するよう働きかけた」としています。アメリカとイランの両国首脳がコンタクト出来ない中、両者の仲立ちが出来る安倍総理の存在は、アメリカとイラン両国にとっても助けになっているものと思われます。
2.最近、韓国とうまくいっていないんだって?
会談では、北朝鮮問題についても意見交換し、北朝鮮が相次いで発射している短距離弾道ミサイルに関し、安倍総理は「国連安全保障理事会決議違反であるということは明確だ」と日米両国として引き続き安保理決議の完全な履行を進めていくとの考えを伝えています。
また、日韓関係については、トランプ大統領の方から、「最近、韓国とうまくいっていないんだって?」と切り出したそうで、安倍総理は、韓国をホワイト国から除外した経緯や、徴用工問題について、日本の立場を説明しました。
トランプ大統領は安倍総理の説明を頷きながら聞き、「文大統領は、北朝鮮からも信用されていない」、「尊敬されていない」、「最近は金委員長から電話もかかってこないらしい」と、文大統領を批判したと報じられています。
トランプ大統領は会談で、日米韓3ヶ国協力の重要性についても言及したとのことですから、GSOMIAの話が出なかったとされる先日の米韓首脳会談とは大違いです。
まぁ、トランプ大統領とて、北朝鮮から"も"信用されていない文在寅大統領に、日韓関係とかGSOMIAとかの話をしたくはなかったのでしょう。米韓首脳会談では文大統領への記者質問すら横取りして答えたくらいですからね。
3.韓国に対する関心と期待は韓国国民が築いたものだ
トランプ大統領の安倍総理と文大統領に対する態度の余りの違いに、韓国も焦りを感じているようで、ある元外交官は「アメリカ大統領が敏感な韓日関係について、韓国の説明なしに日本の主張ばかり聞く状況が生じたことは外交事故だ」と述べ、外交関係者の間からは「韓国の外交は透明人間、村の太鼓になっている」というコメントしています。
"村の太鼓"という言い回しは、「多くの人に叩かれる、あるいは相手にされない人物」の例えだそうなのですけれども、その前に"透明人間"と枕詞がついていることを考えると、後者の相手にされない人物の意味なのだと思われます。
実際、文大統領も国連の場でそれを感じたようで、26日韓国に戻ると、SNSで「国際会議に参加するたびに韓国の地位を実感する……韓国に対する関心と期待は韓国国民が築いたものだ……平和も経済活力も改革も変化の病を経験しなければより良い方向に向かうことはできない……国らしい国にわれわれはまだ到達していない」と述べています。
このコメントに対し、韓国のネットユーザーからは「こんなにも国と国民のために尽くしてくれる大統領は初めてだ」、「国らしい国になるため協力する」といった応援の声がある一方、「大統領が国をばかにしたような発言をするのは問題では?」、「統一しなければ国じゃないということ?」、「国らしい国になれないのは自分のせいだと気付いていないようだ」、「正義感は強いようだけど、結果を見せてほしい。まずは経済を復活させて」、「大統領が国民の反対を押し切って疑惑の人物を法務部長官に任命する国を、国らしい国とはいえない」という批判の声があがっているそうです。
筆者は、「韓国に対する関心と期待は韓国国民が築いたものだ」というコメントから、韓国国民が自国に対する自負ほど、世界は韓国を気にしていない、と、暗に自国民の自意識過剰を指摘しているのではないかと受け止めたのですけれども、韓国のネットユーザーのコメントからは、他人を評価するばかりで、自分自身を振り返る自己批判の面が薄いように感じます。
他人を批判するのは簡単ですけれども、自分自身を振り返ることをしなければ、一方通行の関係になってしまう可能性が高くなります。なぜなら間違っているのは他人であって、自分は間違っていないという思考を肯定してしまうからです。
畢竟、そんな国で選ばれる大統領は、自らの誤謬を認めることは殆ど出来なくなります。一度でも認めようものなら、ほらみたことかと叩かれ、引き摺り下ろされてしまいます。
4.コンデ
9月24日、イギリスBBCはフェイスブックの公式アカウントで、「今日の単語」として「コンデ(kkondae)」を取り上げて紹介しました。
この「今日の単語」コーナーは、世界的に興味が持たれていたり、社会的な問題となっていたりするキーワードを毎日1単語ずつ紹介するものだそうなのですけれども、BBCは「コンデ(kkondae)」の意味を「自分は常に正しく、他人は間違っていると主張する年寄りのこと」と説明しています。
「コンデ(kkondae)」については他紙も取りあげたことがあります。今年5月30日、イギリスの経済紙エコノミストは、「The word for "condescending old person" in Korean」という記事で、韓国語の「コンデ(kkondae)」という言葉を取り上げ、「若い人たちの服従を当然視し、自分はすぐに批判するが、自分に対する批判は認めない人」と説明しています。
筆者がこの記事で興味深いと思ったのは、「コンデ(kkondae)」は語源が不確かな現代の単語であり、おそらく、英語「condescend(見下す)」の改作だろうと指摘している点です。
記事では、韓国人はこの言葉を、ナルシストの上司達(narcissistic bosses)から、傲岸不遜な叔父(overbearing uncles)や腐敗した政治家(corrupt politicians)に至るまで誰にでも使うと述べているのですけれども、「コンデ(kkondae)」の語源が「condescend」にあるのであれば、そこには見下しているというニュアンスが含まれていることになります。
従って、若者が「若い人たちの服従を当然視し、自分は常に正しく、他人は間違っていると主張する年寄り」を指して「コンデ(kkondae)」という言葉を使うときには、その裏には「俺達を見下すんじゃねぇ」という反発の気持ちが含まれているのかもしれません。
もっとも、日本人からみれば、日本に対する韓国の態度は年寄りだろうが、若者だろうが「コンデ(kkondae)」そのものであり、国として日本を"下に見たい"願望があるのではないかと見えるのですけれども、"他者を見下す"という概念が単語レベルで韓国に浸透しているとするならば、民主国家としての韓国とは、国と国との対等な関係を結ぶのは非常に困難なのかもしれません。
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